前回の記事(観艦式 Vol.2)はコチラ
受閲艦艇部隊に続き、受閲航空部隊が観閲部隊後方より飛来します。
第1群
哨戒ヘリ SH-60J×3機
救難ヘリ UH-60J×2機
もう珍しくともなんともない、UH-60のシリーズです。海自にはSH-60Jが約100機、UH-60Jが約50機あり、現在新型のSH-60Kが配備中(最終生産数35機予定)です。
第2群
掃海・輸送ヘリ MH-53E×2機
巨大なヘリ、MH-53Eです。機雷を除去する掃海具を海上に引きずりながら飛ぶこともできる力持ち。ですがさすがに老朽化が進み、後継機MCH-101にとって代わることになっています。次の観艦式では、もう見られない機体かもしれません。
第3群
輸送ヘリ CH-47J×3機(陸上自衛隊)
ベトナムで大量に投入され、その優秀性から世界各国で採用されているタンデムローターの輸送ヘリです。陸自のCH-47Jは、CH-47Dをベースにエンジン出力を強化したもので、川崎重工で製造されています。
従来の護衛艦にはCH-47のような大型機は着艦できませんでしたが、「おおすみ型」や「ひゅうが型」の登場で柔軟に運用できるようになりました。今後は災害派遣などを中心に、海自との共同作戦も当たり前になってくることでしょう。
第4群
練習機 TC-90×3機
軍用機っぽく見えないですが、それもそのはず。ビーチクラフト社のキングエアがベースの双発ターボプロップ練習機です。徳島の第202教育飛行隊から飛来しました。
第5群
救難飛行艇 US-1A×1機
救難飛行艇 US-2×2機
※21日はUS-1A×2機+US-2×1機
そのルーツは往年の名機、二式大艇にまで遡ることができる飛行艇です。これほど大型の飛行艇を現在でも開発・生産し軍事利用しているのは日本のみ。とはいえ、目的は救難活動です。離島で急患が発生した場合に、その島の港に直行できる能力で、多くの人命を救ってきました。
US-2はUS-1Aと似ていますが、予圧キャビン、グラスコクピット、FBW、エンジンとプロペラの換装を中心に大幅に改められ、全体の8割は新設計といわれています。ちなみに操縦の難しい着水にはオートスロットルを用いることでパイロットのワークロードを大幅に軽減、パイロットはエンジン出力や飛行速度を気にせず、操縦桿の操作のみに専念できるそうです。
第6群
哨戒機 P-3C×3機
派生型を含め、海上自衛隊では110機が活躍しています。対潜哨戒機というイメージが強いですが、高度なセンサーや強力な通信設備を有する当機はその呼称も「哨戒機」もしくは「固定翼哨戒機」に変更されています。“北”の工作船を発見し追跡したのもこのP-3Cですし、現時点でも海賊対処航空隊として、遥かアフリカまで2機を派遣しています。
次回は国産のP-1哨戒機が見られるだろうか?
第7群
戦術輸送機 C-130H×3機(航空自衛隊)
空自のC-130Hは、3機とも水色のPKO仕様機でした。
なお、21日は通常の迷彩塗装の1機がカメラプレーン?として随伴し、観閲部隊の直上をフライパスしました。
次回は国産のC-2輸送機が見られるでしょうか?(XC-2は重大なトラブルを抱えているようで、いっこうに初飛行できていません)
第8群
戦闘機 F-2×3機(航空自衛隊)
垂直尾翼の部隊マークは、第3航空団第3飛行隊(三沢基地)でした。はるばるご苦労様です。ちなみに従来の「支援戦闘機」という呼称は廃止される(された?)ようで、自衛隊のイベント用パンフレットなどにも、「F-2戦闘機」の記述があります。同様にF-15も「邀撃(ようげき)機」から「戦闘機」に変わっています。
現在の戦術機はマルチロール化があたりまえなので、あえて「戦闘機」「支援戦闘機(=攻撃機)」と分ける必要もなくなってきています。
第9群
戦闘機 F-15J×4機(航空自衛隊)
第7航空団第05飛行隊(百里基地)のF-15Jイーグルです。10/21は4機編隊、10/23は3機編隊でのフライバイでした。搭載しているF100エンジンは、推力を絞っていると意外と静か。合計8基のF100が奏でるサウンドが、上質のアカペラのようにハモッていました。
以上で航空部隊の観閲は終了です。
三浦半島と伊豆大島の中間海域を西進していた艦隊は、取り舵で逐次回頭を行い、今度は東京湾口に向けて東進します。
訓練展示を行う受閲艦艇群も東の海面で180度回頭し、そのうちヘリの発艦を見せる艦艇などは(準備に時間がかかるために)隊列の後方に移動しています。単純に先頭から逐次回頭しているわけではないようです。
左に回っていく「くらま」の左舷からは、順光できれいに随伴艦の姿が見えました。
観閲部隊「こんごう」「あぶくま」と、いつの間にかついてきていた艦艇群
殿軍には、受閲部隊の先導艦を務めた「あしがら」がついていました。
「こんごう」は「くらま」のすぐ後ろを走っているフネです。
トップヘビー気味なんじゃないの?と思うくらい艦上構造物がデカく、その独特の威容は遠くからでも見間違えることはありません。
ちなみに日本の6隻のイージス艦のうち、アンテナマストがトラス構造で、ヘリ格納庫がないのが「こんごう型」、アンテナマストがモノポール(ステルスマスト)でヘリ格納庫があるのが「あたご型」です。
「くらま」左舷より。伊豆半島をバックに逐次回頭する観閲部隊
「くらま」右舷より。観閲付属部隊も回頭中
次の「訓練展示」は観閲部隊の左舷側で行うため、観閲部隊の右舷にいる観閲付属部隊からは見えにくくなります。そのため観閲付属部隊はかなり接近して併走します。
距離を詰めてくる観閲付属部隊(先頭は「ちはや」)
航空機の観閲が終わり、次はいよいよ訓練展示。
ある意味ここからが観艦式のメインイベントです。
なお、前回と今回の記事の内容は、映像でもご覧いただけます。
“Kelly Pictures”N氏が撮影・編集された素晴らしい動画をご堪能ください!
■実録 平成21年度 観艦式 『第二章』
Nさん、ありがとうございます。「軍艦」(軍艦マーチ)はやはりいいですね!
音楽が「海ゆかば」だったら絶対泣いてました…