意思のない肉体
クラゲのように静かにたゆたう
快楽を知らない(感じない)肉体
満ちる一体感(共鳴や共感)を知らないと同時に喪失を知らない
血凍る憎悪を知らないと同時に血沸き立つ愛情も知らない
魂はすでに悲鳴をあげている
しかし悲鳴のあげ方を知らない(あげることを知らない)
ある日 姫君は言う
唯静かに老い朽ちたい
わたしはもう何も入らぬ
生きようとも死なうとも一つ事ぢや
僕は舞台俳優をやっている
それは身体を見詰める仕事で
ここ20年 現代の身体が急速に変化してきていることを感じていて
10年前くらいのある日 友人の俳優に その現代の身体を説明している際
ふと使用した言葉がある
「そうだな… だから それは 希薄な肉体とも言えると思うんだ…」
希薄な肉体
いま僕は「六の宮の姫君」にその肉体を重ね始めている
【語り 配信中】
珠玉の短編 声と音 想像力が織り成す豊かな物語を是非
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