その左隣に劇作家で演出家の太田省吾さん
写真の右端には若き日の大杉漣さんがいらっしゃる
転形劇場の旅公演のスナップであろう
「いつの写真でしょうか。70年…」
「あ、それ?…80年代かしらね」
優しい眼差しで真っ直ぐにレンズを見詰める精悍な太田さん
少し緊張の色の見える漣さん
屈託のない三人の女優さんたちの笑顔が鮮烈で
全体を色濃く包む なんと言えばいいのだろう 豊かさと言えばいいのだろうか
ひとつの志を成功とかお金とかその尺度とは全くかけ離れたところで信じ全霊をかけて追いかけ強い絆で結びついている
そしてけしてそんな単純なものだけではない 言葉にし難い その それが 僕の心を鷲掴む
かような笑顔を僕もいつかどこかで見たことがある
いつかどこかで僕もこの写真の中にいたことがある
我武者羅に作品のクオリティだの
息のドラマだの足だの丹田だの呼吸だのと
喧々諤々語気荒げ稽古を続けてくる中で 僕が見失ってきたものがそこにはあった
帰途
独りになり その写真が猛烈な勢いで僕の奥に迫る
僕は本当に素敵な人達と仕事をしてきているのだ
なぜか40年も昔のセピア色の他団体の一枚の写真にそれを突きつけられ教えられる
太田戯曲を上演するに至る出逢いへと導いてくれた力に感謝
太田さんのお宅を訪問させて頂けた幸い
素敵な奥様とお話ができた幸い
太田省吾さんの貴重なエピソードの数々を伺えた幸い
そして一枚の写真…
たった一晩
されど大きな一夜
翌日から三日三晩
僕は39.6°の熱に倒れる
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