ミケマル的 本の虫な日々

アメリカとキリスト教

 10月から毎週、大学院の『菊と刀』を読む授業に特別参加させていただいています。『菊と刀』はルース・ベネディクトが第二次世界大戦中にアメリカで日本の事を調べて政府に報告した論文をもとに、一般向けに書いた本で、戦後すぐに日本でも翻訳が出て、当時から現在まで日本論として長く知られている本です。知られてはいるけれど、ちゃんと読んでいないという人が多いのではないでしょうか。ということで、今回大学院の先生や院生(年齢も経歴も様々な)の方々と読んでみると、勝手に想像していた内容とは違うのだなと感じています。

 というわけで、市立図書館に行く時に、『菊と刀』関連の本を探して借りたり、読んだりしています。そんな中で、『菊と刀』の中でベネディクトが、自由(アメリカ)と階層社会(当時の日本)ということの対比を強調しているのを読み、アメリカの自由とはという疑問を持ってきたので、『聖書がわかればアメリカが読める』鹿嶋春平太著 という本を借りて読んでみました。とても興味深かったです 著者は、宗教社会学者だそうです。

 以前アメリカの南部に住んでいた時に、アメリカ人はみんなキリスト教を信じているようだし、教会活動がすごく盛んだなと感じたので、アメリカにとってキリスト教は重要なキーワードだとは思っていました。そして、西欧の国に比べてもキリスト教信仰が強いように思っていたけれども、西欧のカトリックやイギリス国教会主流なのに対して、アメリカがプロテスタント主流なのが原因なのかなと漠然と考えていました。

 ところが、この本を読んだら、すごくすっきりとアメリカのキリスト教との関係が理解できたように思います。とにかく、普通の日本人がまったく考えていない、ベースとしてのキリスト教があり、そのキリスト教も、ヨーロッパのカトリックやプロテスタントとも違うということが書かれています。アメリカのキリスト教は、日本人のキリスト教のイメージとはまったく違う、聖書主義と言うべきものであるというのです。聖書主義とは、聖書に対して、読み方も解釈も一人一人の自由に委ねられているというもので、聖書主義のキーワードは自由であるとしています。

 この本には、「創造主としての神」、「人間は肉体と霊からできている」、「神とキリストと人の関係」、「キリスト教と政治との関係」など日本人には分かりにくいことも、理解しやすく書いてあり、今まで疑問だった点についての筋道がはっきり分かったように思います。キリスト教の神の概念からして、日本人には本当に理解するのは、大変だと思います。アメリカ人やキリスト教徒の人に、この本に書いてあったことをどう思うかを聞いてみたいですね。

 おりから、アメリカ大統領選挙ですが、大統領が就任する時に聖書に手を置いて誓うのも、なるほどなと思いました。アメリカと付き合う上で、もっともっと宗教について理解する必要があると思いました。そして『菊と刀』を読む上でも、参考になると思います

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