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ミケマル的 本の虫な日々

『秋』 アリ・スミス著


 昼間は30℃近くまで気温が上がるけれど、家の中はまだ比較的涼しくて扇風機を時々かける程度で凌げる温度です。
今の時期は一番日が長くていいのですが、6時には目が覚めてしまうのがちょっと困ります。

 この頃、色々な沼が落ち着いてきて、本を結構読んでいます。
他の沼に落ちてると落ち着いて本読んでられない感じになってたのだな〜と思います。
本も一種の沼ですが、もともといたところなので本来の自分になった気がする(笑)
また図書館で借りた本を読みました。

『秋』 アリ・スミス 
    木原善彦訳



 この本はどこかで推薦されていたような気がします。
スコットランド生まれのアリ・スミスさんは現代イギリスを代表する作家だそう。
EU離脱が決まった時期のイギリス社会の分断も描いているのですが、施設で眠り続けている101歳のダニエル、少女時代にダニエルの隣人だったエリザベスが主人公です。
エリザベスは当時すでに老人だったダニエル(ゲイのおじいさん)の交流が素晴らしくて、何より彼はいつも「何を読んでいるのかな?」と彼女に聞くのです。
最近読む小説には、ずっと年上の友達が色々と語ってくれるというお話がなぜか出てくるのだけれど、このダニエルの言葉がすごく好き。
私も若い時にこんな事聞いてくれる人がいたらよかったなと思ったけど、今や私は若い人の立場じゃなくて年上の友達の立場なんだななんて思い出したのでした(笑)

 眠り続けるダニエルの夢か記憶かはわからない部分、エリザベスの色々な年代の記憶、そして現在のイギリスでの生活、若くして亡くなった画家、色々なことが断片的に書かれているようでつながっている。
そして、声高にではなくかつてないイギリス社会の分断と不穏な空気を描きつつ、変わっていく中でも忘れない記憶、諦めないで生きる事を感じさせられました。
なんとも言えない深い読後感で、読んでよかったと思う本でした。
この続編『冬』『春』などが図書館にあったと思うので、また借りて読んでみようと思います。


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