『あの図書館の彼女たち』 ジャネット・スケスリン・チャールズ
高山祥子訳
原題は「The Paris Library」
県立図書館で借りた本です
パリにあるアメリカ図書館を舞台にした戦時下の物語と、1980年代のアメリカのモンタナ州を舞台にした物語が交互に出てきます。
パリで英語の書籍を中心に所蔵し貸し出しを行っているアメリカ図書館では、第二次世界大戦下で多くの本を前線の兵士に送っていました。
そして、ナチス占領下でも図書館を開き続け、図書館に来られなくなった人達に本を秘密裏に届けていたという事実をもとに書かれています。
そのような図書館に司書として勤務していたオディールの物語です。
そして、パリからアメリカに行き月日が経ってからの隣人の少女リリーとの物語。
普通に暮らしているうちに、徐々に戦争が近づいてくるパリの感じがオディールと図書館を通じてリアルに感じられます。
その中で本や読書の重要性が描かれていて、それを大切にする図書館に関係する人たちの気持ちや恐怖も。
命がけで本を読んだり届けたりする世界が二度ときませんようにと強く思いました。
そして、オディールとリリーの関係がこの物語に広がりと深みを出しています。
本が好きな人、図書館が好きな人には特にグッとくる本だと思いますが、それ以外の女性の生き方や若い時の失敗、人生についてなど、色々な要素が入っているいい本でした。
何より読後感が良いのがよかったな。