ミケマル的 本の虫な日々

慶応三年生まれ七人の旋毛曲がり

 連休に読んだ本
1.慶応三年生まれ七人の旋毛曲がり 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨                 とその時代 坪内祐三著
2.『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内 小谷野敦著
3.煩悩リセット稽古帳 小池龍之介著
4.きみはポラリス 三浦しをん著
5.茗荷谷の猫 木内昇著

 本の中で1の『慶応三年生まれ七人の旋毛曲がり』は、以前から少しずつ読んでいたもので、連休中に読み終わりました。この本は2001年に発行されたもので、大分前に書評で読んでいたのですが、市図書(山口市立図書館)で見つけて読んだら面白く、しかし量的に2週間では読みきれずにとうとうアマゾンで買ってしまった本です。著者の坪内氏は私と同年の生まれです。最近本を読む時に著者のプロフィール、特に年齢を見てしまいます。特にエッセイや評論系の本は著者が生まれた時代背景が影響していると思うので、自分に近い年代の人だと面白いことが多いと感じますが、どうなのでしょう。この本は長くても最後まで飽きない面白い本でした 
 
 明治の初めから20年代までの文学界?の動きを慶応三年生まれの7人の青年を通して描いているものです。この本の面白いところは、今では文豪と言われている人達が若者であった頃の事を著者が友人のことを書くようにフランク?に書いていて、それぞれがとても近い存在に思えてくることです。
 
 漱石と子規が私の中では最も近い存在でしたが、さらに詳しく語られているので、そうだったのねと思うことしきりでした。特に子規についてはどうしても病気になってから晩年までの印象が強かったけれど、元気だったころ、そして俳句に行き着くまでの様々な模索があったということが新鮮でした。新聞に載せていた文章などはすごく面白くて、小説家になってもよかったのではと思わせられました。
 
 熊楠は粘菌の大家だけれどすごく変わった人、露伴は『五重塔』などを書いたちょっと難しそうな人(どちらかというと幸田文の父という感じ)、紅葉は『金色夜叉』という程度の認識でしたが、この3人も漱石や子規と同年代だったのね、そしてそれぞれの動きと思いが親しく感じられるようになったなという感じです。 特に露伴は幸田文の文章に出てくる気難しい父という印象が強かったので、青年時代の露伴の生活の苦労や才能の発露とそれゆえの苦悩が新鮮でした。
 
 ほとんど知らなかった、緑雨と外骨も面白い人たちだしたよ。7人それぞれの青年としての姿が立ち上がってくる感じです

 その他、仮名垣露文、坪内逍遥、二葉亭四迷、泉鏡花、それから森鴎外、樋口一葉、島崎藤村なども出てきて、この本の中では明治の初期から中期くらいまでの時代と文学がとても身近に思えました。この本を読んでいるうちに県立大学でK籐先生の講義で使った『明治文学アルバム』を思い出して、登場する人たちや本の写真など見てみたら、なかなかの面構えだったり、奥さんが美人だったりと面白かったです。先生の授業でも出てきたななどと、ちょっと難しかった授業と県大在学中最も難しかったテストを思い出しました。

 ちょっと前に読んだ、水村美苗の『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』の中で絶賛している明治の文学の成立過程が、水村氏の明治維新直後の書き言葉としての現代日本語(そして明治の文学)の成立からの見方と、坪内氏の時代と個々の青年の動きとしての見方でそれぞれ示されていて、対称としても面白かったです。

 読んだ本の中の2から5は小倉で買った本です。2と4が面白かったので、次回に書こうと思います 

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