私はそれまで岩魚といえば5寸~7寸程の岩魚しか釣った事がありませんでした
そんなある日書店で見かけた「大イワナの滝壺」
イワナの滝壺なら納得だが大イワナってなに?岩魚って尺位のも居るのかなと思いとりあえず購入
しかしその内容は私の想像を遥かに上回るもので、この本の筆者「白石勝彦氏」は静内のコイボクシュシビチャリ川で70センチほどの大岩魚を針掛りさせているのである
海から70キロも離れた山奥深くにそんなにも巨大に育った岩魚が居るなんて想像もしていなかった
それからの私の釣は大岩魚に出会う為、山奥深くまで釣りに出かけるようになった
必ず前の日に家を出て目的の川の車止めで一夜を明かし、夜明けと共に遡行開始
まず上流目指してひたすら歩く 他の釣師があまり行けないような所まで
静内川のコイボクやコイカク、そしてシュンベツ 小田西川、道南では相沼内川と出かけたが大岩魚といえる魚体には出会えないでいました
そんな私がようやく大岩魚に出会えたのは結局我が故郷の後志利別川だった
その日はKW氏と私二人車止めで夜明けを待ち朝4時遡行開始、ここへの釣行は今回で2度目でした
1時間ほど歩いてから釣り開始、尺物混ざりでポツポツ釣り上げているうちに前回水量が多く止めた通らずのゴルジュに着いたのが8時位
今回はなんとか突破出来未知の世界へと突入!渓相は抜群!変化にとんだ流れで遡行も楽しい
時間を忘れ2人とも釣りに夢中に・・・もう何処まで来たのか分からない、気が付いた時には12時だった
いつもならもう帰る時間だが後30分、後10分などと言いながら釣りは続けていた
そんななかKW氏が滝を発見 5メートル程だろうか いかにも大物が居そうだ
まずはKW氏が竿を出すもアタリはあるが針掛りしない いてもたってもいられず私も横から竿を出す
餌は変えないまま、柳虫の中身の無い皮だけだったがそこに微かなアタリ 軽くあわせる
竿は満月のように曲がる、「根掛か?」いやグングンと引きが伝わってくる 重いそして強い引きだ
長い時間耐えているとそいつはようやく姿を現す
「デカイ!」「鮭だ!鮭が掛かっている!(当時は本当にそんな感じだった)」と2人で叫ぶ
私の心臓の鼓動は早くなり心臓の音が聞こえるのではないかと思うくらいだった
さてどうやって取り込もうか ネットなど無いしこのままでは奴に負ける(いつの間にか岩魚と私の戦いに・・・)
こうなったら私の手で!と竿をKW氏に預け私が軍手をはめ手づかみに・・・
やった!ついに私はやった! 「大イワナの滝壺」の本に出会い大岩魚に憧れて何年経っただろう 今まさに私の手の中に
47センチ アメマスだと今ではさほど珍しいサイズでもないがここは海からの遡上は出来ない場所、まぎれもない居付きの岩魚だ
KW氏もつづけて尺二寸程の岩魚を釣り上げるもそこで時間切れ、もう2時を過ぎていた
帰路は走るように川を下がるが車に着いたのは5時位 もう足もガクガクだったがこれから札幌まで帰らなければいけない私達だったのである・・・
それからは狂ったようにここに通うことになる 滝をこえさらに上流へも
各支流、ペタヌ沢 チュウシベツ 茶屋川など、ある滝壺では何十匹もの岩魚を目撃したことも
今はもうあそこまで行くことはかなり厳しい状況ではあるが、またいつの日かいける事を願っている
本当は白石勝彦氏について書こうと思っていたが何故か私の釣行記になってしまった
また次回にでも・・・