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ウクライナ危機の基本問題はNATOにあり。   もしウクライナが加盟すれば、攻撃を受けるとNATOは出撃義務を負う

2022-02-16 16:11:24 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月16日(水曜日)
     通巻7221号
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 ウクライナ危機の基本問題はNATOにあり。
  もしウクライナが加盟すれば、攻撃を受けるとNATOは出撃義務を負う
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 クレムリン宮殿へ足を運んだのは英、仏、独などNATOの主要国の首脳たち。焦燥を滲ませるのは国境が近いか、隣接しているバルト三国、ポーランド、ドイツ、ルーマニア。距離が離れていて緊張感に温度差があるのはブルガリア以西、とくに南欧のポルトガルとかスロベニアあたりは予想されるウクライナの戦場が遠いこともあって、対岸の火事視だ。

 そもそもロシアがなぜかくも強硬なのかといえば、冷戦終結とソ連崩壊のどさくさに、電光石火のごとく旧東欧諸国がNATOに加わったことで、最後の加盟は北マケドニアだった。(未加盟はスウェーデン、フィンランド、そしてスイス)。
 「これ以上増やさないとして約束を裏切ったのは西側だ」というのがプーチン大統領の論理である。

 ざっとNATOの歴史を振り返ると、そもそもの設立動機はソ連の脅威に対しての共同防衛を目指す集団保障体制の構築であり、創立メンバーは米・英主導のもとに、ベルギー、カナダ、デンマーク、イタリア、フランス、アイスランド、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェイ、ポルトガルだった。ドイツが加わったのはベルリン危機以後である。

 1950年から1990年までに追加で加わったのはギリシア、トルコ、西ドイツ、スペイン。そしてソ連崩壊後、2000年までにNATOのメンバー入りしたのはチェコ、ハンガリー、ポーランドという強烈な反ソ意識の国々であり、この列に現在までに旧東欧諸国が仲間入りする。具体的にはブルガリア、ルーマニア、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、スロバキア、クロアチア、アルバニア、スロベニア、モンテネグロ。そして直近の加盟はギリシアと国名で揉めていた「北マケドニア」である。

 問題はNATOは条約という堅い制限、規約が付帯していることである。
「もし加盟国のひとつでも、敵に攻撃された場合、すべての加盟国は防衛義務を負う」とする第五条である。

 現段階では、NATO加盟国ではないウクライナが攻撃を受けても、NATOは軍事的反撃には移行できない。辛うじて英米独が武器援助をおこなった。


 ▼ウクライナはNATOの「パートナー」として扱われている

 NATOは加盟を希望していても、条件が満たせないとして「パートナー」と扱っているのがウクライナ、グルジア(ジョージア)、そしてボスニア&ヘツェゴビナである。旧ユーゴスラビア連邦でNATOに背を承けているのはセルビア、孤立しているコソボ(コソ場は国家とは言えず防衛はNATO軍がしている)。

 西側との協議を継続するため、ロシア軍は一部の軍を「演習が終わった」として撤収を始めたが、「近くへ移動しただけで、撤収ではない」と噛みついているのが英国(『ザ・タイムズ』、2月15日)。

 主要国は大使館員を引き揚げさせ、キエフの米国大使館ははるか西方の街へ『移転』した。大使館がからになれば外交機能はとまり、首脳会談は電話となった。緩和方向に傾いたとしてウォール街も兜町も株価が反発しているが、緊張が去ったとは、とても言えないだろう。

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