沖縄・台湾友の会

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ウクライナはコサック、大飢饉、ユダヤ人虐殺という複雑な穀倉地帯    ウクライナ・マフィアの凶暴さを、西側メディアは忘れたようだ

2022-04-04 20:21:50 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)4月4日(月曜日)
       通巻第7285号 <前日発行> 
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 ウクライナはコサック、大飢饉、ユダヤ人虐殺という複雑な穀倉地帯
   ウクライナ・マフィアの凶暴さを、西側メディアは忘れたようだ
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 ウクライナにもオリガルヒ(新興成金)がいる。ロシアのそれには及ばないものの、ウクライナ経済に深甚な影響力をもつ。ウクライナ新興財閥の代表はイーホル・コロモイスキー(フォーブス誌のランクでウクライナ富豪三位)。嘗てはサッカーチーム「FCドニプロ」のオーナーであり、現在は国有化されたプリヴァト銀行の創設者でもあり、そのうえ2014年から一年間はドニプロトペトロウシク州知事でもあった。

 野党支持かと思えば与党にも近づき、ゼレンスキーの最大胴元であり、テレビ局を八つ、地域間ローカル航空の五つの管理権を持ち、私兵軍をかかえてボディガードとしている。
加えて驚くべきは、いわゆる『ウクライナのネオナチ』と言われるドニプロ大隊、アイダー大隊、アゾフ連隊の資金提供者であり、外国からの志願兵募集の胴元でもある。

2014年のクリミア併合でコロモイスキーはクリミアにあった財産を没収され、それ以来、プーチンを恨んでいたようである。
 ティモシェンコとは一時同盟関係にあった。ガスのビジネスであてた実業家でもあったユーリア・ティモシェンコ女史は、ロシア生まれのラトビア系で、中年までウクライナ語をしゃべることがなかった。ウクライナ首相を務めたが、汚職の罪に問われて失脚した。ティモシェンコのあとがヤヌコヴィッチ、ポロシェンコと親露派政治家が続くが、ポロシェンコは2014年に大統領選挙に勝つと、ロシアへ強硬な態度をしめすようになった。かれはチョコレート企業の経営者だった。

 ヤヌコヴィッチ大統領は親露派だったが、米国の仕掛けた、2014年の「マイダン革命」で転落し、ロシアへ亡命した。背後にヌーランド女史(現米国務次官)の陰湿なかげがちらつく。

 政治に食い入るコロモシスキーは、所有する「1プラス1」のテレビ局番組でコメディアンが大統領になるストーリーの「国民の僕」というドラマを作成、そのときの主演コメディアンだったゼレンスキーが、本命と言われたポロシェンコに勝って、瓢箪から駒、ほんとにウクライナ大統領になってしまった。ゼレンスキー大統領はユダヤ人である。

 コロモイスキーもウクライナ生まれのユダヤ人だが、イスラエルとキプロスの市民権ももち、ウクライナ憲法は二重国籍をみとめていないが、「三重国籍を認めないと憲法には書いていない」と開き直る猛者だ。


 ▲ウクライナの凶暴な民兵組織にコロモイスキーが資金提供

 プーチンはコロモイスキーを名指しして、「稀代の詐欺師」と罵倒した。
英国のサッカーチーム「チェルシー」のオーナーであり、ロシア財閥の代表、ロマン・アブラモウィッツから数十億ドルをだまし取って国際裁判になった。
米国はロシア制裁の関連で、コロモイスキーの米国入国をも禁止している。ブリンケン国務長官は「ウクライナ民主化プロセスを台無しにする脅威となりかねない」と強い警告を出している。

 さて問題は、このコロモイスキーが資金提供したと言われる、いわゆる「ウクライナのネオナチ」である。
 まず「アイダー大隊」だが、アムネスティは「ウクライナ東部において住民の拉致、不法拘留、虐待、窃盗、恐喝などの残虐行為に関与した」と批判した過激な民兵組織だ。

 「アゾフ連隊」はナチス親衛隊の紋章を自らのロゴにして、ロシア系住民への虐待を繰り返したと非難され、UNHCR(国連人権高等弁務官事務所)は、「民間人の財産を強奪し、女性を強姦した」と批判した(2016年報告書)。
ロマ(ジプシー)やLGBTQ活動家への襲撃も報告されており、チェチェン人部隊をおそった戦闘的集団である。構成員は3000名とされる。

 「右派セクター」を言われる組織は民族主義的傾向が顕著で、ナチス鍵十字が紋章。創設者のドミトロ・ヤロシュはウクライナ国家安全国防委員会の副書記となっている。
構成員はおよそ一万名。欧米の武器供与は、ウクライナ正規軍のほか、こうした民兵組織へ供与されているのではないかと懸念されている。

プーチン大統領は屡々、このウクライナの「ネオナチ」に言及し、「ロシア系住民の保護」「非ナチ化」を訴えるのは、このような背景からである。西側メディアは、この件ではあまり大きく報じない癖があるようだ。

 「ウクライナは欧州でもっとも腐敗した国家だ」と英紙の『ガーディアン』が書いたことがある。 
 「ウクライナは政府軍のなかにネオナチ部隊を含んだ世界で唯一の国家である」(米誌『ネーション』)。
 「ウクライナは国ではない。神がロシアに与えた特別な場所だ」(プーチン、2008年、NATO・ロシア首脳会議。この四ヶ月後にロシア軍はジョージアに侵攻した)

 プーチンの歴史認識ではウクライナは「レーニンが誰にも相談なく作った区域であり、スターリンは大戦後、ポーランド、ルーマニア、ハンガリーから土地を奪い、ウクライナに与えた。フルシチョフはロシア領土だったクリミアを勝手にウクライナに移管したのだ」とする。だから奪うのではなく、元に戻るのだという考え方である。

 2021年のプーチン論文では「帝政時代、大ロシア、小ロシア(ウクライナ)、白ロシア(ベラルーシ)は同じスラブ民族であって家族だった。ソ連の民族政策が三つに分けてしまった」と歴代ソ連共産党の過去の政策は誤りであるとした。
こうした歴史認識から現状変更は許せないという国際常識に違反する。だが、欧米の批判はどこ吹く風。プーチンが前掲ルールはウクライナには通用しないとする「制限主権論」が出てくるのである。
 またプーチンの周りを囲むKGB人脈は、同じ考えをしている。

 留意しなければならないのはプーチンらKGB人脈と嘗てのソ連時代の共産主義イデオロギーには染まっておらず、それなりにロシア正教を尊び、またプーチンはレーニン、スターリンを批判しており、ピョートル大帝とエカテリーナ女帝を尊敬していることである。
西側のプーチン理解は、こうした時代錯誤的歴史認識をもって「プーチンは狂った、別人になった」と批判するわけだ。

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