沖縄・台湾友の会

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(承前)  西側がロシア制裁で団結し、ウクライナを熱烈支援した(その4)   ロシアに分裂の兆し、プーチンの権力基盤に「地割れ」

2022-03-09 18:45:20 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022) 3月9日(水曜日)参
        通巻第7252号
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(承前)
 西側がロシア制裁で団結し、ウクライナを熱烈支援した(その4)
  ロシアに分裂の兆し、プーチンの権力基盤に「地割れ」
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 プーチンの計算違いは山のように目立つが、西側がこれほど強固に制裁をなすとは思っていなかった。そのうえ、西側各国が武器供与を決断し、ポーランドは戦闘機を供与。
中立国のデンマーク、スウェーデンもウクライナへの軍事支援。日本も防弾チョッキを供与した。
これではウクライナ局地戦ではなく、事実上の第三次世界大戦の様相である。

とくにポーランドがミグ29を「無償」で、ウクライナに供与する決定に米国も驚いている。ミグ29は、ロシア製であるがゆえに、ウクライナ空軍パイロットはミグなら操縦できるのだ。
代替に米国はポーランドにF16の中古機を供与する。制空権を完全に掌握できていない露軍にとって、脅威となるのは明白である。すでに戦線ではロシアの司令官クラスが複数死亡して、指揮系統に乱れがあるとも報告されている。

ニューヨークポスト紙に拠れば、米陸軍退役軍人がウクライナへ義勇兵として向かった。
一方、ロシア国内は反プーチンの抗議集会、デモを弾圧しているが、ロシア人のかなりがウクライナ侵攻を支持していない分裂状況が読み取れる。
またエリツィン時代の新興成金は殆どが海外へ出たが、替わってロシアの新興財閥を形成したのはプーチンマフィアで、これまたユダヤ人が多い。プーチン与党と見られてきたが、アブラモウィッツやフリードマンらがプーチンと露骨に距離を置き始めた。

議会証言でバーンズCIA長官は「プーチンはもっと過激な作戦で軍事力を投入する可能性が高い」とした。ロシア軍内の士気低下は、プーチンに取って想定外だったのではないか。軍人がプーチンを見限る兆候である。

あまつさえ西側企業の多くが制裁路線に同調し、投資中断、撤退、規模縮小、販売の一時停止など、ロシアの市民生活に深刻な影響が拡がっている。猛烈インフレとルーブルの暴落、この困窮は、必然的にプーチンへの不審、不満となり「大祖国戦争のナショナリズム」が「燃え滓」となって、権力基盤に地割れが起きている。

上層部がささくれ立ち、齟齬が発生し、さらに長期戦となるとロシア国内に厭戦気分が蔓延し、軍のクーデターを期待する流れにもなりかねないだろう。
またロシアのメディアの幾つかがプーチン批判の報道をしており、『プラウダ』は嘘放送という評価が定着してきた。


 ▼突然の落剥ぶりのロシアに中国は狼狽した

 さて中国の対応はどうか。
 おりから全人代が開催されているが、世界的に霞んでしまった。経済成長を5・5%、軍事費増大は7・1%と数字だけが踊って、中味の薄い大会となった。

 「無限の友情」を誓い合った筈なのに国連総会で、中国はロシア支持をせず、棄権した。西側の経済制裁には反対と言ったが、仲介の労をとるとも発言し、態度が曖昧。そのうえ中露が「鉄壁の団結」なら、中国人民解放軍を援軍として差し向けるだろうに、そっぽを向いた。
 8日にはフランス、ドイツ首脳と習近平がオンライン会談を開いた。欧州の動きに呼応するとは言わなかったが、かなりの狼狽が見て取れるだろう

 というのも、ロシアのウクライナ侵攻に対して、西側がとった経済制裁の強靱さを習近平は目の当たりにしたからだ。

 外国ファンドは中国債券をおよそ5800億ドル保有しているが(22年二月現在)、すでに106億ドル分を売却した。
もし中国が台湾を侵攻すれば、西側は台湾に義勇兵を送り、物資、人道的援助にくわえて武器供与の競演を演じるだろう。とりわけ対空、対艦ミサイルなどで台湾が防御態勢を強化すれば、強襲どころではなくなる。
志願兵(ボランティア)に見せかけて海兵隊やグリーンベレーが台湾軍に混入するか、地域外での特殊作戦を展開するだろう。

 外野も黙ってはいまい。
世界各国で反中デモが組織され、主導権は海外へ逃れた民主活動家や、留学生、チベット、ウイグル、南モンゴルなどの留学生や移民が中心となって大規模な抗議活動を展開するだろうが、日本のメディアとて、これまでの黙殺軽視から一転して、大きく報じざるをえなくなるだろう。

反中感情の強いフィリピン、インドネシア、ベトナムなどでは反中暴動が確実に起こる。チャイナタウンは焼き討ちされないように自警団を組織するだろうし、台湾系華僑が背後で軍資金を用意するだろう。

 世界のメディアは、日本の某新聞も含めて一斉に中国批判に転じ、親中路線のテレビ局も、コメンティター総入れ替えで批判一色になるのは、今回のウクライナ報道をみても分かる。ロシアに味方するメディアはほぼ皆無となった。

 経済制裁は中国に進出した西側企業の撤退を加速化させる。中国の経済力はこれで脳死状態に近くなる可能性がある。
 習近平は台湾問題での発言に注意しなければならなくなった。王毅発言を克明に辿ると、アフガニスタン以後の「戦狼外交」のトーンを静かに弱め、露骨にロシアと距離を置き始めたことが分かる。

 ロシアに仲裁を名乗り出ているのはイスラエルとトルコ、これにフランスが重なるが、中国はリップサービスを除外して、仲裁できる立場でもないことに中国外交部は気がついた。

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