「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)5月24日(月曜日)
通巻第6920号
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中国が建てて寄付したAU本部からデータが北京に流れていた
アフリカの大統領官邸、国会、外務省、警察本部ビルを中国が建てる理由は?
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パプア・ニューギニアの国際会議場は中国が建設して寄付した。APEC国際会議のホスト国になっても、ポート・モレスビーにはろくな会議場がなかったからだ。いざ会議となると習近平のお泊まりになった超一流ホテルは、中国が会期中、全館を借り切り、玄関には朱色の中華門を建てた。
フィジーの首都はスパ。大統領官邸の修復工事を中国が寄付した。大学のキャンパスに孔子学院を開校した。パプアもフィジーも台湾と断交した。
アフリカ諸国において中国の「活躍」はもっと凄いことになっている。
「マスク外交」「ワクチン外交」そして「政府ビル寄付外交」である。
モザンビーク、シエラ・レオネ、ウガンダ、ケニアの外務省本部ビルは中国が建てた。多くが寄付、もしくは無利息融資である。
大統領官邸、警察本部、外務省ビルが中国の寄付対象。ほかに国際会議場などは、国際会議に併せ、中国礼賛の国際会議となりそうなら寄付する。
2021年、エチオピアの首都アジスアベバにはAU連合本部の立派なビルが建って、中国の寄付だった。合計二億ドルだったという。後日、FTや『ル・モンド』の報道によれば、データが「技術的なミス」で中国に漏れていたことが分かった。
2021年5月13日、王毅外相はアフリカ諸国訪問の旅でコンゴ民主共和国にも外務省ビル建設を約束した。
5月22日、突然、この国の火山が噴火した。ニーラゴンゴ火山噴火で、溶岩はゴマ空港近くにまで達した。東北部イヴ州に位置する。
中国の今後への異常な肩入れはモブツ独裁時代からで、大統領宮殿、モブツ庭園のほか、国立競技場、便ゲラ鉄道を建設支援した。理由は、コンゴがレアメタルの宝庫であり、とりわけコバルト鉱床は世界一である。
▲独裁国家は中国と馬が合う
ムガベ独裁だったジンバブエの国会議場は6階建て、中国が1・4億ドルを投じた。ジンバブエの法定通貨は人民元である。
ザンビアの首都ルサカにも国際会議場を建てた。
エチオピアには「アフリカ疫病対策センター」(CDC)を中国が8000万ドルを投じて建築される。昨師走に起工式を行った。仏紙『ル・モンド』は、「ゲノムのデータが中国に筒抜けになるだろう」と書いた。
欧米は、これらの中国の寄付外交には特色があり、第一に支配階級への賄賂、また中国側へのキックバックが常識。第二に外務省などを狙うのはデータ盗取が目的であることだと分析している。
ところで、中国にのめり込んだかに見えたエチオピアは5G通信網の契約をボーダフォンを基軸とする日英コンソシラムと決め、中国のファーウェイ、ZTEを排斥した(ウォールストリートジャーナル、5月22日)。日本は住友商事が投資会社の三割出資して加わる。エチオピアは人口1億強。電話普及率はまだ四割、商機ありと睨んだのだろう。
しかし、中国を袖にしたエチオピア、なかなかやりますね!
令和三年(2021)5月24日(月曜日)
通巻第6920号
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中国が建てて寄付したAU本部からデータが北京に流れていた
アフリカの大統領官邸、国会、外務省、警察本部ビルを中国が建てる理由は?
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パプア・ニューギニアの国際会議場は中国が建設して寄付した。APEC国際会議のホスト国になっても、ポート・モレスビーにはろくな会議場がなかったからだ。いざ会議となると習近平のお泊まりになった超一流ホテルは、中国が会期中、全館を借り切り、玄関には朱色の中華門を建てた。
フィジーの首都はスパ。大統領官邸の修復工事を中国が寄付した。大学のキャンパスに孔子学院を開校した。パプアもフィジーも台湾と断交した。
アフリカ諸国において中国の「活躍」はもっと凄いことになっている。
「マスク外交」「ワクチン外交」そして「政府ビル寄付外交」である。
モザンビーク、シエラ・レオネ、ウガンダ、ケニアの外務省本部ビルは中国が建てた。多くが寄付、もしくは無利息融資である。
大統領官邸、警察本部、外務省ビルが中国の寄付対象。ほかに国際会議場などは、国際会議に併せ、中国礼賛の国際会議となりそうなら寄付する。
2021年、エチオピアの首都アジスアベバにはAU連合本部の立派なビルが建って、中国の寄付だった。合計二億ドルだったという。後日、FTや『ル・モンド』の報道によれば、データが「技術的なミス」で中国に漏れていたことが分かった。
2021年5月13日、王毅外相はアフリカ諸国訪問の旅でコンゴ民主共和国にも外務省ビル建設を約束した。
5月22日、突然、この国の火山が噴火した。ニーラゴンゴ火山噴火で、溶岩はゴマ空港近くにまで達した。東北部イヴ州に位置する。
中国の今後への異常な肩入れはモブツ独裁時代からで、大統領宮殿、モブツ庭園のほか、国立競技場、便ゲラ鉄道を建設支援した。理由は、コンゴがレアメタルの宝庫であり、とりわけコバルト鉱床は世界一である。
▲独裁国家は中国と馬が合う
ムガベ独裁だったジンバブエの国会議場は6階建て、中国が1・4億ドルを投じた。ジンバブエの法定通貨は人民元である。
ザンビアの首都ルサカにも国際会議場を建てた。
エチオピアには「アフリカ疫病対策センター」(CDC)を中国が8000万ドルを投じて建築される。昨師走に起工式を行った。仏紙『ル・モンド』は、「ゲノムのデータが中国に筒抜けになるだろう」と書いた。
欧米は、これらの中国の寄付外交には特色があり、第一に支配階級への賄賂、また中国側へのキックバックが常識。第二に外務省などを狙うのはデータ盗取が目的であることだと分析している。
ところで、中国にのめり込んだかに見えたエチオピアは5G通信網の契約をボーダフォンを基軸とする日英コンソシラムと決め、中国のファーウェイ、ZTEを排斥した(ウォールストリートジャーナル、5月22日)。日本は住友商事が投資会社の三割出資して加わる。エチオピアは人口1億強。電話普及率はまだ四割、商機ありと睨んだのだろう。
しかし、中国を袖にしたエチオピア、なかなかやりますね!