この夏、漫画家の故水木しげるさんが出征前につづった手記が見つかり話題になったそうです。
死を覚悟して苦悩する青年の内面が、赤裸々に記されています。
水木さんは妖怪漫画で一家をなす一方「水木しげるのラバウル戦記」と並ぶ代表作が「総員玉砕せよ ! 」だそうです。
敗戦間近の1945年3月南太平洋ニューブリテン島。
主人公が属する日本軍守備隊は玉砕のための最後の突撃を敢行するのですが、たまたま彼は生き残りました。
指揮官は「貴様、なぜ死ななかったのか ! 」と再び突撃を命じたそうです。
-ただ死ぬだけの突撃です –
死屍累々、最後の場面は戦野にさらされた日本兵の白骨です。
水木さんはあとがきで物語の「90%は事実」と書いています。
穏やかな風貌明るい人柄の裏に、かくも理不尽で悲惨な体験を持っています。
時に命令に従わず、現地の住民となかよくしたといいます。
だから上官によくなぐられたそうで、それでも「自分の頭で考えること」にだけはやめなかったそうです。
人間性と自由を全不定された軍隊で、最も困難な道を進んだのです。
戦後70年の節目に稀有(けう)な日本兵水木さんが11月30日に逝った。
強靭な精神に深く敬意を表したいと思います。
12月8日は水木さんらを戦地に送った太平洋戦争開戦の日でした。
水木しげるのラバウル戦記
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