こんにちは。甲斐田です。1週間のカンボジア滞在を終えてバンコクに戻りました。スバイリエン州のコンポンロー地区では、NGOやユニセフの取り組みによってベトナムへの子どもたちの物乞いの出稼ぎがかなり減っていることがわかりました。でも、村のリーダーからは、畑仕事のためにぜひ水牛の支援をしてほしいという要望を聞きました。土地が粘土質なため、牛よりも力のある水牛が必要なのだそうです。今回のスタディツアー報告は牛銀行に関してです。写真は、報告してくださった岩崎さんと支援している牛です。
一頭の牛から広がる希望、支援開始から約一年
岩崎浩二(大学生)
牛銀行!?日本で普通に生活している私たちにとってはなじみの少ない言葉かもしれません。しかし、スタディーツアー2日目、牛銀行の仕組みを学び、その支援を受けている家庭を訪れ、話を伺った私は、牛銀行はカンボジアでは大変重要で効果的な農村支援の手段になっていることを知りました。ここでは、牛銀行についての概要、支援を受けている方のお話、私が気がついたこと、私の感想、の順番で牛銀行と支援を受けてから約1年経った方の想いを紹介していきたいと思います。
まず、牛銀行について簡単に説明したいと思います。支援は国際子どもの権利センター(C-Right シーライツ)のパートナー団体の現地NGO、HCC(Healthcare Center for Children)が主体的に行って、シーライツはHCCの活動を支援しています。
牛銀行の第一歩は家庭の選定から始まります。家庭の選定で大切にしていることは、家庭の生活状況と家庭に女の子がいるかどうかです。女の子の方が学校に行かせてもらえないことが多いので、女の子のいる家庭に支援を行っています。家庭の選定には、実際に家庭を訪問したり、学校の校長先生などの意見も参考にされるそうです。HCCのスタッフの方の正義感はとても強く好感がもてもした。選定にあったても公平性が確保されていると感じました。
その後、2~3日かけて牛の飼育の仕方を支援家庭の人にトレーニングします。さらに、「貯蓄グループ」を作るよう働きかけています。これは、経済的に困った時や牛が病気の時の使えるお金を、牛銀行から支援を受けている人々同士で助けあえるようにするためのシステムです。この貯蓄グループで定期的にミーティングがあります。このように、もし、牛の飼育やその他の問題で経済的に困った場合でも、頼れるシステムがあることで、支援を最も必要としている、最貧困層のセーフガードとしての機能を果たしています。
HCCから牝牛を借り、子牛が生まれた場合、一頭の子牛はHCCに返します。二頭目は支援を受けた家族のものになります。また、最初の牝牛はHCCに返します。
2005年から2007年の間にHCCは20世帯の家庭にそれぞれ一頭ずつ支援を行いました。20頭の牛から4頭の子牛が生まれました。
次に、支援を受けている方のお話を中心に紹介したいと思います。私たちはマティー村を訪ね、牛銀行の支援を受けている女性からお話を聞きました。彼女は5人家族で、男の子が二人、女の子が一人います。彼女の夫は村から近い、ベトナムの工場へ日帰りで働きに行っています。食事については「7、8、9、10月は生活がちょっと厳しいので、3回食事はできますが、ごはんや小麦のみ」とおっしゃっていました。「牛銀行の支援を受けて大変だったことはありますか?」という問いに、彼女は「牛の水と餌の心配」と、答えておられました。「一番助かっていることは何ですか?」というと問いに、彼女は「牛を貸してもらっていること」と答えられました。「一番嬉しいことはなんですか?」という問いには、「牛が畑を耕すので、その時間で、子ども達を学校に通わせることができるのが嬉しい」と答えられました。
私が現地を訪れて感じたことは、子ども達の笑顔が素敵だったことです。また、訪れた家に近所の子ども達が集まって遊んでいたことから、近所付き合いが盛んな様子を伺うことができました。さらに、その場で木から取って頂いたマンゴーの味は、とてもみずみずしくて忘れられません。
私は、国際子どもの権利センターが支援しHCCが実施している「牛銀行」という援助の仕方はとても有効だと考えています。子どもの商業的性的搾取の問題への対策として、被害が発生してからの支援と発生する前の支援があります。問題の深刻さからも新たな被害者を出さないことが大切です。牛銀行は被害が発生する前の支援です。出稼ぎに行かなければならなくなってしまう危険性が高い女の子がいる家庭を支援しているので、子どもの商業的性的搾取につながる危険性が伴う出稼ぎにでることを的確に予防しています。一頭の牛から子ども達の将来への希望が広がる現場を実感しました。
最後に牛銀行の問題点を紹介したいと思います。それは、牛銀行などの支援を受ける必要がある家庭すべてを支援することができない点です。そこで、最後まで私の文を読んで頂いた皆さんにお勧めしたいことがあります。もし、まだ国際子どもの権利センターの会員になっていられない方は是非、会員になってみてはいかがでしょうか。カンボジアでの牛一頭の値段は一般正会員2人分の会費とほぼ同じかそれより安価です。小さな一歩がカンボジアの子ども達に大きな可能性を作ります。
【編集部より】
多くの少女たちの家庭に牛を支援し、人身売買を防ぐことができるようご支援ください。↓
http://www.c-rights.org/join/donation.html
一頭の牛から広がる希望、支援開始から約一年
岩崎浩二(大学生)
牛銀行!?日本で普通に生活している私たちにとってはなじみの少ない言葉かもしれません。しかし、スタディーツアー2日目、牛銀行の仕組みを学び、その支援を受けている家庭を訪れ、話を伺った私は、牛銀行はカンボジアでは大変重要で効果的な農村支援の手段になっていることを知りました。ここでは、牛銀行についての概要、支援を受けている方のお話、私が気がついたこと、私の感想、の順番で牛銀行と支援を受けてから約1年経った方の想いを紹介していきたいと思います。
まず、牛銀行について簡単に説明したいと思います。支援は国際子どもの権利センター(C-Right シーライツ)のパートナー団体の現地NGO、HCC(Healthcare Center for Children)が主体的に行って、シーライツはHCCの活動を支援しています。
牛銀行の第一歩は家庭の選定から始まります。家庭の選定で大切にしていることは、家庭の生活状況と家庭に女の子がいるかどうかです。女の子の方が学校に行かせてもらえないことが多いので、女の子のいる家庭に支援を行っています。家庭の選定には、実際に家庭を訪問したり、学校の校長先生などの意見も参考にされるそうです。HCCのスタッフの方の正義感はとても強く好感がもてもした。選定にあったても公平性が確保されていると感じました。
その後、2~3日かけて牛の飼育の仕方を支援家庭の人にトレーニングします。さらに、「貯蓄グループ」を作るよう働きかけています。これは、経済的に困った時や牛が病気の時の使えるお金を、牛銀行から支援を受けている人々同士で助けあえるようにするためのシステムです。この貯蓄グループで定期的にミーティングがあります。このように、もし、牛の飼育やその他の問題で経済的に困った場合でも、頼れるシステムがあることで、支援を最も必要としている、最貧困層のセーフガードとしての機能を果たしています。
HCCから牝牛を借り、子牛が生まれた場合、一頭の子牛はHCCに返します。二頭目は支援を受けた家族のものになります。また、最初の牝牛はHCCに返します。
2005年から2007年の間にHCCは20世帯の家庭にそれぞれ一頭ずつ支援を行いました。20頭の牛から4頭の子牛が生まれました。
次に、支援を受けている方のお話を中心に紹介したいと思います。私たちはマティー村を訪ね、牛銀行の支援を受けている女性からお話を聞きました。彼女は5人家族で、男の子が二人、女の子が一人います。彼女の夫は村から近い、ベトナムの工場へ日帰りで働きに行っています。食事については「7、8、9、10月は生活がちょっと厳しいので、3回食事はできますが、ごはんや小麦のみ」とおっしゃっていました。「牛銀行の支援を受けて大変だったことはありますか?」という問いに、彼女は「牛の水と餌の心配」と、答えておられました。「一番助かっていることは何ですか?」というと問いに、彼女は「牛を貸してもらっていること」と答えられました。「一番嬉しいことはなんですか?」という問いには、「牛が畑を耕すので、その時間で、子ども達を学校に通わせることができるのが嬉しい」と答えられました。
私が現地を訪れて感じたことは、子ども達の笑顔が素敵だったことです。また、訪れた家に近所の子ども達が集まって遊んでいたことから、近所付き合いが盛んな様子を伺うことができました。さらに、その場で木から取って頂いたマンゴーの味は、とてもみずみずしくて忘れられません。
私は、国際子どもの権利センターが支援しHCCが実施している「牛銀行」という援助の仕方はとても有効だと考えています。子どもの商業的性的搾取の問題への対策として、被害が発生してからの支援と発生する前の支援があります。問題の深刻さからも新たな被害者を出さないことが大切です。牛銀行は被害が発生する前の支援です。出稼ぎに行かなければならなくなってしまう危険性が高い女の子がいる家庭を支援しているので、子どもの商業的性的搾取につながる危険性が伴う出稼ぎにでることを的確に予防しています。一頭の牛から子ども達の将来への希望が広がる現場を実感しました。
最後に牛銀行の問題点を紹介したいと思います。それは、牛銀行などの支援を受ける必要がある家庭すべてを支援することができない点です。そこで、最後まで私の文を読んで頂いた皆さんにお勧めしたいことがあります。もし、まだ国際子どもの権利センターの会員になっていられない方は是非、会員になってみてはいかがでしょうか。カンボジアでの牛一頭の値段は一般正会員2人分の会費とほぼ同じかそれより安価です。小さな一歩がカンボジアの子ども達に大きな可能性を作ります。
【編集部より】
多くの少女たちの家庭に牛を支援し、人身売買を防ぐことができるようご支援ください。↓
http://www.c-rights.org/join/donation.html