カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

スタディーツアー報告⑬振り返り(感想その3)

2008年11月28日 16時42分36秒 | Weblog
今日はスタディーツアー報告⑬振り返りの時間に出たツアー参加者の方の意見や感想と甲斐田代表理事、カンボジア事務所スタッフの近藤からの補足説明についての報告その3です。・の部分が参加者意見や感想で、★の部分が補足説明です。

① フレンズ事務所とトゥクトゥクインタビュー
・トゥクトゥクドライバーとフレンズ、お互いにメリットのある関係いいなと思った。

・トゥクトゥクドライバーの教材が写真で字が読めない人の為にもいい教材だと思った
★フレンズには、「エンパワメントだけでは子どもは守れない。だから、すべての人を見方につけて、社会全体で子どもを守る、すべての人が子どもを守る力がある。」という良さがある

・トゥクトゥクドライバーの話を聞いて、NGOか警察に通報する際の勇気すごいと
思う。特に、子どもの年齢を判断しかねるときの勇気は想像を超えるものだと思う。

・通報するのは警察か、NGOかというトゥクトゥクドライバーの話が印象的だった。

・フレンズレストランのトレーニングが印象的だった。
★「ストリートチルドレンだから」と言って妥協をしない所がフレンズの良い所
  ・ドライバーの現実的な話を聞くことが出来てよかった。

② アフェシップ・トムディセンター
・HCCセンターに泊まった後だったから余計に、保育室にいた母と子が一緒にいる姿がとても幸せそうに見えた。
★性産業にかつて従事して新しい道を歩もうとする女性にとって保育室は重要

③ アフェシップ・フェアファッション
・話を聞いて、フェアトレードをビジネスとしてやっていくことの難しさを感じた。同時にカンボジアではすべてが難しいのだと思った。(例:救急車お金<前払い>がかかる)

・アフェシップ・警察・子どもが連携して、トレーニング中に家庭訪問を3回、トレーニング後に地域再統合を目指すというプロセスが印象的だった。

・工場のように大量生産ではなく、作っている本人のペースで商品を生産していること感心した。
★政府の汚職と、今後の汚職を無くすための役人の役割について
★政府の汚職をなくすことも子どもたちの権利を守るために重要で、ヒューマンライツナウなどその問題に取り組むNGOもある。
★フェアファッションでの保育室の必要性とトムディーセンターの保育室への継続的な援助について

④ HCCスラム学校
・「人の為に何かしたい」という子ども達の夢に感動した。

・「自分の周りに困っている人がいるから助けたい」という子ども達の夢を聞いて、日本の子ども達の周りには困っている人がいないから、「人助け」という夢を抱かないのかと思った。

・先生の、子どもたちを出来るだけ公立学校に通わせられる様に努力している姿が印象的だった。

・「子ども一人くらい持って行ってもいいよ」という村人と「行かない!」と泣く子どもの姿を見て、家族の大切さを感じた。
★「子ども一人くらい(は海外で)」という親の態度はカンボジアを象徴するもので、「子どもには貧しい暮らしではなく、海外で豊かに暮らしてほしい」と考える親が多く、それが人身売買にもつながってしまう
★養子縁組について

・今後のスタディーツアーでのスラム訪問、また取り入れた方がいいと思う。でも、もっと時間が欲しかった。学校だけでなく、村の中も歩いてみたかった。家庭訪問もしてみたかった。

⑤ 中川香須美さんのお話
・カンボジア現地で活躍し、現地の生の声を聞いている貴重な人との貴重な時間だった。
★カンボジアと日本の高校生へのワークショップを実施した後「あなたの大切なものは」というテーマで教材をEduという団体が製作したが中川さんが通訳してできたもの。例えば日本の高校生:携帯 カンボジア:牛、家族、種

・今現在就職活動中でアサヒビールの説明会に行って来た時、「CSRがまだまだなのは時代遅れ」という説明があったが、カンボジアのアサヒは、CSRがまだ不十分だという話を聞いて、日本本社でやっていることを海外でも波及させてほしいと思った。

・男性被害者について知れてよかった。その被害者のその後と今についてもっと知りたかった。


写真は、ベトナム・カンボジア国境での集合写真です。

子どもたちが人身売買の手口に騙されないようにするため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること: http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ: http://www.c-rights.org/

中川香須美さん:カンボジア国ジェンダー政策立案・制度強化支援計画プロジェクト
http://project.jica.go.jp/cambodia/0211055E0/index.html

スタディーツアー報告⑬振り返り(感想その2)

2008年11月24日 16時40分41秒 | Weblog
今日はスタディーツアー報告⑬振り返りの時間に出たツアー参加者の方の意見や感想と甲斐田代表理事、カンボジア事務所スタッフの近藤からの補足説明についての報告その2です。
・の部分が参加者意見や感想で、★の部分が補足説明です。

④ HCC事務所訪問
・テリーさん(HCC代表)の活動を始めたきっかけと感想(ゴミ拾いをしている子に10000リエル($2.5)渡したら、喧嘩になり、その時にお金をあげることは解決策ではないと思った)に感動した。同時に私には出来ないと思った。

・お金の事やNGOに携わること、「助ける」という事、自分に出来るのか不安だったけれど、テリーさんの話を聞いて「好き」という気持ちだけでも、私にでも、出来るのかもと思った。

・「オーストラリアに居たけれど、自分はカンボジア人」というテリーさんの言葉に、自分も地元で頑張ろうと思った。

・ピアラ(HCCスタッフ、テリーさんのHCC活動紹介の後、写真説明をしてくださいました。)は小柄なのに、持っている想いが熱く、頑張っている姿が頼もしかった。

・難しいことに取り組んでいる団体ですごいと思った。

⑤ HCCグッデイセンター
・子どもが純粋で目が合うだけで笑いかけてくれた事が嬉しかった。お土産として持参した写真も喜んでくれるか心配だったけれど、思っていた以上に喜んでくれて、私も嬉しかった。何をしていても、子どもたちが楽しんでくれた。日本の同世代の子どもたちは写真であれだけ喜ぶか疑問に思った。

・日本とカンボジアの貧富の差が目に見えてしまうので、写真を持ってこようか迷って持ってこなかった。

・家族の写真も、家族と離れて暮らす子供たちにとって、子どもたちの家族の事を思い出させてしまうかもしれないと思い、持ってこなかった。
★子ども達が将来家族を築くにあたって、見本・ヒントになるから持ってきてよかった。説明不足だった。

・子ども達が日本人の顔をすぐに覚えた事に驚いた。

・私は訪問で1日だけだった。でも子ども達にとっては、そこでの生活。日本に帰っても、文通など、自分に出来ることしたいと思った。

・子ども達の気遣い(ご飯を盛ってくれたり、寝床を作ってくれたり)は共同生活で培われたものなのか、とても感心した。泊らなければ、出来なかった貴重な経験だった。

・今後のスタディーツアーでも宿泊したほうが良いと思う。

・水浴びについてもっと説明が欲しかった。外で水浴びをするものなのかと思っていた。

・もてなし方、気遣いがとても上手だった。

・遊具(ラグビーボール)を持って行ってよかった。上手な子が一人いて、とても印象的だった。

・運動会ゲームのルール説明が欲しかった。

・歌の練習もっとしておくべきだった。もしかしたら、コーラス(男声と女声)で出来たかも。

・子ども達が見せてくれたアプサラダンス(カンボジアの伝統舞踊)に感動した。

・蛍がいた。

写真は、HCCグッデイセンターの子供たちが職業訓練や生活の場として使用している建物です。

子どもたちが人身売買の手口に騙されないようにするため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること: http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ: http://www.c-rights.org/

スタディーツアー報告⑬振り返り(感想その1)

2008年11月21日 12時09分51秒 | Weblog
今日はスタディーツアー報告⑬振り返りの時間に出たツアー参加者の方の意見や感想と甲斐田代表理事、カンボジア事務所スタッフの近藤からの補足説明についての報告その1です。
・の部分が参加者意見や感想で、★の部分が補足説明です。

① SBPN学校訪問
・子どもから日本でも子どもが参加したり人権を守ったりする活動があるか、という質問という、他参加者が日本の児童会や生徒会について説明されていた。それらと子どもの人権を守る活動が結び付いていなかったので、勉強になった。
★子ども参加について。生徒会は子どもと教員がいっしょに規則を作るという意味で、学校運営への子ども参加の場である。ただし、子どもと共に規則を作る生徒会というのは理想で、現実には少なく、大人・先生に生徒会に参加させられている生徒が多いのが現状。

・子どもに権利があるという考えが私にとってとても新しい考えであったと同時に、自分に権利があると知った子どもたちが自信に溢れていて、輝いている姿がとても印象的だった。
・自分の権利を理解して、他の人に説明出来る事が凄い事だと思った。日本の同年代の子どもたちに、同じことが出来るかどうか疑問に思った。
・自分の権利が侵されている時に、周りの大人に支えられて、声を上げられる事が印象的だった。
★子どもは責任を任されることによって育ち、他人から期待されることによって
その期待に答えようと責任感は自然とつくと太田喬先生の本にある。
  
・事前に質問を伝えていたわけでもないのに、(準備していたわけでもないのに)難しい質問にも子どもたちがあまり困らず答えている姿が印象的だった。またその姿から、普段から考えている様子が伺えた。
・発表に至るまでの段取りがとてもよかった。始めに、紙を折って、折り目にそって字をまっすぐ書けるように等

② 牛銀行
・牛をもらって嬉しそうな姿が印象的だった。一方で数か月前までは出稼ぎに出ていたと聞いて、考えさせられた。
・牛銀行の支援を受けている家庭の中1か中2くらいの少女が、自分の権利について
説明している姿が印象的だった。
・子どもの権利について、子どもは知っているのに、親にはあまり知られていなかった。
★今後は親・地域住民への啓発活動が必要

③ 奨学金家庭
・将来の夢をみんな持っていることに驚いた。文具などの奨学金を支給されることで、夢を抱くことが出来ること、いいなと思った。
★カンボジアの娘は、親に自分の為に出費させることを申し訳ないと思いがち。
★「与える援助」ではなく「エンパワメント」を目指したい。だからこそ、奨学金支給という「与える援助」について、初期は疑問を抱いていたが、実際に奨学金支
給を実施してみて、「エンパワメント」になっている。

・「もっと学びたい」という子どもの姿が印象的だった。自分も含めて、日本の子どもたちの勉強嫌いは何故だろうと思った。日本の子どもたちは、将来の夢について、今日インタビューした子どもたちの様に答えられるか疑問に思った。
★将来、日本とカンボジアの子どもが交流できるようなプログラムを実施したい。

写真は、SBPN学校訪問時の交流で「伝言ゲーム」をした時のものです。

子どもたちが人身売買の手口に騙されないようにするため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること: http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ: http://www.c-rights.org/

スタディーツアー報告⑬振り返り(子ども保護ポリシー)

2008年11月17日 19時21分02秒 | Weblog
 今日は、スタディーツアー報告その13、振り返りについてです。スタディーツアー最終日、ツアー参加者がアンコールワット遺跡観光旅立つ前に、これまでのツアーについての振り返りの時間を設けました。その振り返りの時間の最初に、甲斐田代表からカンボジアで活動するNGO団体の「子ども保護ポリシー」についての説明がありました。今日はその報告を宇野がさせて頂きます。
 
 フレンズのチャイルドセーフセンターに訪問の際、参加者から良い団体の見分け方について質問があったため、「子ども保護ポリシー」を団体が持っているかどうかも一つの指標になる、ということで紹介がありました。甲斐田代表から具体的な内容をご参考までに紹介させて頂きました。

【セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルの子ども保護ポリシー(2003年5月策定)】
スタッフたちは、決して、
 子どもに対して暴力をふるったり殴ったりしてはならない。
 虐待的な、または、虐待のリスクが生まれるような立場に子どもを置いてはならない。
 子どもと同じ部屋、または、同じベッドで寝てはならない。
子どもと接触のあるスタッフたちは、次のようにすることが大切である。
 リスクの起きるような状況を把握し、対処できるようにすること。
 子どもと接しているときは、できる限り人から見えるようにすること。
 子どもをエンパワーすること…子どもの権利や、何が受入れられて、何が受入れられないか、もし問題が起きたときにどんなことができるか、を子どもたちと話し合う。

【ワールド・ビジョンの子ども保護ポリシー(2003年策定、2006年改訂)】
行動規範協定
 職員は子ども保護ポリシーに記載された行動規範読んで理解したことにサインをしなければならない。
 職員は、1人以上の子どもと一人で一晩を過ごしてはならない。
 職員は、子ども(18歳未満)を家事使用人として雇ってはいけない。
 職員は、子どもを不適切なやり方で撫でたり、抱いたり、キスしたり、触ったりしてはならない。

【プラン・カンボジアの子ども保護ポリシー(2005年11月)】
プランの関係者は、決して、
 人が監督していない状況下で自分が仕事をしている相手の子どもを自分の家に泊めてはいけない。
 子どもを辱めたり、自尊心を傷つけたり、けなしたりするような子どもを精神的に虐待する行為をしてはならない。
 バイクや車、家を貸すなどをして、子どもの商業的性的搾取に直接的・間接的にかかわってはならない。
 他人から離れたところで子どもと二人きりで必要以上に長い時間を過ごしてはならない。

写真は、振り返りの時間に、「子ども保護ポリシー」について説明をする甲斐田代表と、熱心に耳を傾けるツアー参加者のものです。

子どもたちが人身売買の手口に騙されないようにするために、ぜひ会員なってください!
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/

スタディーツアー報告⑫カンボジア女性省ジェンダー専門家・中川香須美さんのお話

2008年11月14日 11時34分09秒 | その他
今日はスタディーツアー報告その12、中川香須美さんのお話についての報告です。中川香須美さんは、1997年よりカンボジアに滞在しており、現在はJICAからカンボジア女性省にジェンダー専門家として派遣されています。中川さんには、長年に渡ってシーライツの活動を支えて頂いております。スタディーツアーも終盤に近づいた日の夜、お忙しい中にも関わらず、中川さんの貴重なお時間を頂き、ジェンダーについてのお話を伺いました。その報告をツアー参加者の大塚さんが以下にして下さいます。

ジェンダー(中川香須美さんのお話を聞いて)
大塚朝咲

ビアホールなどで働く女性で、「ビアガール」と呼ばれる人たちがいます。彼女たちはそれぞれのビール業者の服をまとい、接客をします。その際に客からの性的被害があるそうです。しかし店のオーナーも、ビール会社もきちんと対応していないのが現状です。
そもそも「ビアガール」はセックスワーカーだったという考えがあるようです。平気で性を売るイメージがあるそうですが、実際には既婚者やボーイフレンドがいる人たちばかりだそうです。縫製工場より給料も高く、チップやノルマをこなすとさらに高額のお金が手に入るそうですが、やはりイメージが良くないために村に帰ると中傷されることもあります。結局「ビアガール」は守られていないということです。

カンボジアでは妻は夫に尽くせ、という昔の日本のような概念があります。夫は妻を殴ってもいいし、どのように扱おうと勝手であるということです。最近はだいぶ知識も広まりそのような考えも少なくなってきているようですが、子どもに対してはまだあるようです。
また、多くの男性は買春を悪いと思っていません。女性は夫やボーイフレンドがそういう場所へ行くのを嫌だと思っているのに言い出さずにいるのです。

レイプされた女性とは結婚したくない。男性の9割がこう答えています。どんなに好きでも彼女にレイプされた過去があれば結婚しないというのです。女性は「純潔」であるべきだという考えがあるので、レイプされた女性は結婚できなくなる確率が非常に高くなるのです。
また男性が被害にあうこともあります。男性がレイプされた場合、自分は男性であるのにレイプされたという屈辱や恥ずかしさで心に深い傷を負います。同性愛を受け入れられない人が多いので軽蔑されるためです。
最近は少年、先生や僧侶までが少女をレイプするという事態が起こっているそうです。性教育の徹底度の低さがこのような事態を招いています。

その他箇条書
●買春宿の経営者は逮捕できるが、実際買春宿の多くは営業している。
●弁護士・裁判官・政治家の女性率は10%以下とまだまだ少ない。
●男女の収入の違いは3割ほど。
●97年人身売買防止法制定。15歳未満の子供との性行為禁止。08年改訂。実際にはまだ十分に普及していない。

感想
女性の被害についてこんなにも深く考えたことはありませんでした。子どものことを見る機会が多かった今回のツアーで、女性の被害について知れたことがとても新鮮でした。同時に、こんなにも悲惨な目にあっている人がいるということを目の当たりにしてショックもとても大きかったです。貧困家庭ではないのに、ものほしさに援助交際を始めたり性売買に手を染める少女がいることも衝撃的でした。
最近では日本も女性が活躍するようになってきましたが、カンボジアではまだまだ女性の活躍が乏しいようです。ですが大学への進学率も増え、男性の女性への理解度も広まりつつあるのは嬉しいことだと思いました。
お話をして頂いた中川さんの自らカンボジアの若者にインタビューをし、研究されているという行動力に圧倒されました。仕事をする女性の良いお手本ではないかと思います。時間が少なかったのは残念でしたが、いろいろなことを教えて頂けてよかったです。

写真は、中川香須美さんにお話を伺っている時のものです。

中川香須美さん:カンボジア国ジェンダー政策立案・制度強化支援計画プロジェクト
http://project.jica.go.jp/cambodia/0211055E0/index.html

スタディーツアー報告⑪スラム学校訪問

2008年11月10日 16時34分59秒 | Weblog
こんにちは。今日はHCCが支援をしているスラムでの学校訪問について、スタディーツアー報告その11として、宇野が報告をさせて頂きます。

まずは、この学校で先生として勤務されている、チャンター・バーさん(女性)のお話です。チャンター・バーさんは、1966年スバイリエン州K村に生まれました。1983年高校を卒業し、1985年に結婚、4人の子どもに恵まれました。夫は所有する土地で農業によって自立した仕事をしていました。しかし、よりよい収入が得られるようにと、彼女の伯母から勧められ、カンボジアとタイ国境付近のポイペトで養豚業を始めましたが、それが不運にも失敗に終わり 、彼女たちは土地を売らなければなりませんでした。そして、1993年、彼女の家族は、プノンペンにある‘建設村(Building Village)’と呼ばれる地域の小さな借家に移り住みました。このような‘建設村’と呼ばれる地域には、古くて小さな家々が密集しており政府が公に人々が住むことを認めているもので、実際多くの家族が住んでいます。
プノンペンでは、チャンター・バーさんは公園の庭師として、夫は建築業労働者として働いていました。しかし2000年、建設村で放火事件がおき、プノンペン市役所によって、452家族がプノンペンA村に強制移住をさせられました。彼女の家族もその家族の一つでした。そこは、政府が彼らに土地使用権を与えた場所で、新たなコミュニティが生まれました。しかし、彼女の夫は、彼の低収入ではプノンペンまでの通勤にかかる高いガソリン代や食料をまかなう事が出来ず、働き続けることが出来ませんでした。チャンター・バーさんは、2000年から2002年の間、新しく移り住んだコミュニティで自ら進んで無償でノンフォーマル教室(カンボジア事務所注:ノンフォーマル教育とは、NGOが公立の学校に通えない貧しい子どもやストリートチルドレンなどに対して行う教育)の先生となりました。というのも、新しく移り住んだ地区から学校は遠く、学校に行かない子供たちが沢山いたからです。2002年からは、HCCによってチャンター・バーさんの給料は支払われ、彼女の授業のための教材も支給されるようになりました。高い学費が支払えないために子どもを公立学校へ通わせることに反対をする親が多いという事実に直面し、HCCのサポートを受けながら、チャンター・バーさんは「出来るだけ多くの子どもを公立学校に通わせられるように、知人などに学費交渉をしている。」と言います。ツアー参加者からの「学校で教えていて困ることは?」という質問に、チャンター・バーさんは
「以前は床が(地面が)赤土だったので、雨季は大変だった。今はコンクリートで状況は改善されているけれど、壁がないので、雨期の時は未だ苦労が多い。」
「給料($30/1か月)が少ない、また、カンボジア国内の物価が高騰し、生活が苦しい」
と答えていました。

チャンター・バーさんの教える学校には、70名の生徒が登校してきます。私達が訪問した日には、8歳1名、9歳2名、10歳7名、11歳6名、12歳4名、13歳11名、14歳1名という年齢層の子どもたちが同じ教室で、机を並べて、算数を勉強していました。
その子どもたちにツアー一行はいくつか質問をしてみました。
現在の仕事は?→あひるの卵・魚・お菓子・アイスクリーム売りなど
将来の夢は?→医者・看護師・縫製工場・学校の先生・技術者・建築家・テーラー(仕立て屋)・バイクタクシー・パイロット
トイレのある家庭は?→9家庭
(シーライツはこの学校におけるトイレと井戸の設置を支援しました。)
この学校に来て勉強することを親に反対された人は?という質問に、挙手する子どもはいませんでした。

子どもたちが一生懸命に算数に取り組んでいる姿をみて、私が子どものころ算数は本当に嫌いでいかに算数ドリルから逃げるか、という事しか考えていなかったことが思い出されました。幼い子どもたちが将来の夢を語っている姿をみて、「病気の人を治したいから、医者、看護師になりたい」「自分のように、多くの子どもが学校に行けるように、自分も学校の先生になりたい」など、如何に彼らが現実問題に直面しているかを痛感したと同時に、子どもたちが語ってくれた将来の夢が一つでも多く叶うように願わずにはいられない瞬間でもありました。今の私に出来る事は、多くの皆様にカンボジアの状況をお伝えする事だと思いました。

写真は、学校で授業をしているチャンター・バー先生と熱心に耳を傾ける子どもたちの様子です。

1人でも多くの子どもの夢が叶うようにするため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること:http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org/

スタディーツアー報告⑩アフェシップ・フェアファッション訪問

2008年11月05日 11時57分39秒 | Weblog
今日はスタディーツアー報告その10、アフェシップ・フェアファッションについての報告を以下に参加者の平川さんがして下さいます。

報告の前に少しだけフェアファッションについて説明をさせて頂きます。フェアファッションは、人身売買、性的搾取の被害にあった経験を持つ女性が、経済的自立を果たし、自分の育った地域に戻って元気で生活していけるよう、縫製とその商品販売を通じてサポートしており、女性たちの縫った服や小物をフェアトレード商品として販売しています。現在フェアファッションでは、保育室がないために、そこで働く女性の子どもたちが、母親とともに時間を過ごしています。子どもたちは、はさみや針が目の前にあったり床に落ちていたりする環境にいます。シーライツは、フェアファッションで働く女性たちが縫製に集中できるよう、また、彼女たちの子どもが縫製道具でケガをしないように保育事業を開始できるよう、現在、保育士の人件費のための支援を募っています。

アフェシップ・フェアファッション(モード)報告書    
平川 果絵

【開発事業担当マネージャーのジョンソンさんからの説明】

1、組織に関して

2003年設立。当時は従業員6名。
2005年にアフェシップから独立。
現在は20名が勤務。勤続年数3~5年の従業員が多い。
半NGO、半企業の形態。
月~金曜日は8時間労働(7~17時のうち、11~13時が休憩)、土曜日は8-12時。
ヘルスケア、カウンセリングも行なわれている。
従業員は共同で家を借りて住んでいる。

国内で生産されるグレード1からグレード3のシルクを主に使用。中でも、織りが一番細かくスムースなグレード1シルクを使っているフェアトレードをうたっている。
草木などの天然染料と化学染料を用いて染められている。
スペイン、ドイツ、カナダなどからのボランティアがデザイン、スタイル、技術を伝授。
カタログを作成してインターネットでも購入できるようにしている。

スタッフは裁断、縫製、仕上げ(品質チェック、アイロンかけ、袋づめ等)の3チームに分かれて作業。
各チームのリーダーがチームの作業をチェック。
一人で服作りができるよう、全ての技術を身につけるために定期的にチーム替えを行なっている。

一般の縫製工場の最低月給は45ドルだが(注)フェアファッションは72~100ドル(チームリーダーが100ドル)
年間休日24日。
(カンボジア事務所注)中川さんは約60ドルと説明されましたが、正確には2008年度の最低賃金は実質US$56となっているそうです。ただ、実際の平均賃金は残業代(平日10時間労働)、皆勤手当などの手当てが加算され、平均$70-80となっているとのことです

2、現在抱えている問題

・ フェアファッションで働く女性同士のいざこざ
今まで一人で何かをする事が多かった事、他人を信用することが出来なくなってい るという2つの理由で、カウンセリングを行ない、チームワークを学んでもらえるよう努めている。


・ フェアファッションの女性と働くことの難しさ
フェアファッションで働く女性は、貧困家庭出身で若い時に人身売買されてしまったために教育を受ける機会がほとんどなかったため、読み書きや計算ができないことも多い。このため、簡単な計算をしなければいけない時も困難だったり、覚えてもらうのに時間がかかったりするが、作業のスピードは彼女たちに合わせるようにしている。


【縫製室】
10畳くらいの部屋に、ミシンが8台ほどありました。
3畳ほどのスペースにカーペットが敷かれ、床に座って作業できるようになっている。
カーペットには3歳くらいの子どもも1人。子どもが同じ部屋にいると仕事に集中できないし針などが危ないので保育部屋を設けたいが、資金不足のため実現していない。(別の部屋でも子ども二人がハンモックで寝ていた)
電力不足のため、作業が1~8時間中断してしまうことも。
訪問した時は、カーペットの上の従業員はネックレス(1cmほどの丸プラスチックを布でくるんだパーツをつなげたもの)を作っていた。
ドイツからのボランティアのイーナさんは、短い着物のような服を作るとおっしゃっていました。

 
【1階の縫製室兼売り場】
スペースの半分ほどにミシンとカーペット、残りの半分にショーケースとハンガーにかけられた服が並べられていた。
一番の売れ筋は中国風ジャケット。
メンズも少しあり。
バッグ、シュシュなどもありましたが、品数はかなり少なく、お店という雰囲気ではない。

【感想】
いろいろな国からのボランティアが技術指導をしているという話を聞き、どんな商品があるのだろうと期待しましたが、商品はあまり並んではいませんでした。受注生産が基本なのでしょうか(注)。ドイツからいらしたイーナさんは着物のような服を作るとおっしゃっていましたが、欧米人をターゲットにしているのでしょうか。質問タイムがなかったため疑問を持ったまま帰国してしまいましたが、マーケティングは念頭にあるのだろうか等、疑問を感じました。一緒にモードを訪問した他の5人も服のコーナーを真剣に見ている人はあまりいなかったように感じました。
人身売買や性的搾取の被害にあった経験のある女性が働いている場所というよりも、ビジネスとしての観点から見たため、辛口な感想になってしまいました。運営面で抱えている問題も大きいようですし、全ての面に気を配るのはとても難しいことだとは思いますが、今後に期待したいです。
(カンボジア事務所注)アフェシップ・フェアファッションは、CDカタログなどによる受注生産が基本で、訪問した場所やお店ではなく洋裁所です。マーケティングのスタッフも不定期で雇われており、力を入れたいと考えているようですが、資金面、技術不足などから難しいようです。


アフェシップ・フェアファッションにおける保育室設置のため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること: http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ: http://www.c-rights.org/