みなさんこんにちは、平野です。ブログ開始時より、縫製工場での仕事を約束されて出稼ぎに出て人身売買の被害にあってしまう人が多いことについて度々触れてきました。縫製産業はカンボジアの輸出高の大半を占め、30万人近い女性を雇用しています。特殊な技能を要求されないこともあり、家族を助けたい貧しい農村部の女性の憧れの職業で、小学生が将来の夢として挙げるくらいです。今回と次回は、実際にプノンペンの縫製工場で働く女性に聞いたお話をご紹介したいと思います。
【3人で共同生活】
話を聞かせてくれたのは36歳のサニンさんと27歳のクンティアさん(ともに仮名)で、リダさんという女性と
合計3人で同じ部屋に住んでいます。工場からほど近い長屋のようなところで、日本流に言うと
6畳一間くらい、あるいはもっと狭いでしょうか。以下2人の話です。
サニン(以下サ)「私たちはみな親戚でみなスバイリエン州の出身です。私の家は農家なのですが、兄と姉は高校の先生をしています。私も先生になりたかったのですが、高校の卒業試験に通りませんでした。通った人はお金を払ったのでしょう。その後はとりあえずお菓子を売って生活していました」
ク「私は5人兄弟の長女で学校は4年生まで通いました。こちらに来る前は家で農業をしていました」
サ「私は縫製工場で働いて4年になります。クンティアは2年で、働きたいというので紹介しました。もともとはリダがプノンペンに遊びに来て縫製工場で働くようになったことがきっかけです」
ク「家賃は3人で22ドルで、水道とトイレは長屋で共同です。22ドルには水道代電気代が含まれています。工場の斡旋でここに住んでいます」
【縫製工場での労働】
サ「まず自分で技術を身につけます。工場近辺の一般家庭がミシン縫いを教えているので、そこで1時間2000リエル(約60円)のレッスンを4時間受けてから工場のテストを受けました。私の工場には
1000人くらいいますね。男性は10人くらいで管理職です」
ク「私の工場は…大きすぎてわかりません(笑)」
サ「勤務は1日8時間で週6日です。基本の賃金が45ドルですが、残業して10時間くらい働くこともあるので
60~70ドルの月収ですね」
ク「私の工場は出来高制なのですが、1日2~5ドルなので、結局月給制と同じくらいです。でも出来高のほうが人気みたいです」
サ「組合はありますが、私は特に活動していません。もし働いた時間とお給料が合わないときは自分で事務所に行きます。この仕事に満足ではないですが、他の仕事もないですし。農業よりは楽ですが、
管理されているのがイヤです。夫もこちらで警備員をしていますが、スバイリエンに帰りたいですね」
2人「プノンペン生活での
楽しみは特にありませんね。休みは家で寝ています」
今回は基本的な情報のご紹介でしたが、現金収入のない農村部の人々にとって60ドルの収入は魅力的です。しかし写真の通りの部屋で3人で生活しており、楽しい都会生活というわけではないようです。次回は村の人々や子どもの縫製工場勤務に対する見方や児童労働、ブローカーなどについて聞いたお話をご紹介したいと思います。
※写真は許可をいただいて撮影したお二人の部屋です。
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