東シナ海のガス田「樫」付近で、中国が掘削のための海洋プラットホーム建設に着手するなど、一方的に開発を進めている。尖閣周辺での度重なる領海侵犯に加え、重大な背信行為だ。
外務省が駐日中国大使に抗議したのは当然である。中国は「自国が管轄する海域だ」として、抗議を受け入れない意向だ。
中国が開発する海域は、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線「日中中間線」より中国側にあるが、中国の主張は通らない。
平成20年6月、日中両国はガス田の共同開発などで合意した。中間線をまたぐ4つのガス田のうち「白樺」には日本も出資し、「翌檜」付近も共同開発海域を設定すると決めた。「樫」「楠」の2つのガス田については、継続協議とされた。
「樫」付近では現状維持が求められているのだ。中国は21年1月にも掘削を行い、生産段階に入ろうとした。今回の行為も明確な合意違反であり、ただちに開発をやめるべきだ。中国の無断開発は許されない。
日本は中国に対抗するため17年、当時の中川昭一経済産業相が中間線の日本側海域に鉱業権を申請していた石油会社に試掘権を付与した。しかし、後任の二階俊博経産相が「私は試掘の道をとらない」とストップをかけたままになっている。
中国にこれ以上の既成事実を積み重ねさせないためにも、安倍晋三政権はガス田付近の試掘を再検討してほしい。日本側にも対抗措置が必要だ。
最近はガス田以外でも、中国による日本のEEZの管轄権への侵害行為が相次いでいる。
日本最南端の沖ノ鳥島周辺のEEZでは今月初め、中国科学院所属の海洋調査船の航行が確認された。調査に必要な日本の同意を得ておらず、海上保安庁の巡視船が無線で呼びかけたが、応答はなかった。中国は沖ノ鳥島を「岩」と主張し、日本のEEZ設定を一方的に批判している。
尖閣周辺のEEZでは、中国の石油会社所属の海洋調査船が先月から無通告で航行している。
中国の挑発行為は、参院選を意識したものとも考えられる。各党はこれに臆せず、日本の領土と海洋権益をいかに守るかについても熱い論戦を期待したい。
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