最近になって自己肯定感という言葉を耳にする様になりました。
自己肯定感とは海に泳ぎ出た時の浮き輪の様な物だと教えてくれた人がいましたが、何にしてもよく分からない言葉です。
わたくしメが中学生の後半くらいからは両親からの体罰や暴力は無くなっていましたが、姉たちが大学生になるまで常に欠点を指摘され、いかにわたくしメがダメな人間なのかを教え込まれる日々は変わりませんでした。
小学生の夏休み前半は母の姉(要はおばさんの家ですね)に預けられていましたので、おばさんはわたくしメの状況をわたくしメ自身よりよく見ていたらしく、わたくしメの母に「そんなにみふうずら(わたくしメの事です)が邪魔なのなら、うち(おばさんの家)の養女に欲しい」と申し出たそうですが、母は激しく反論して養女の話しを断ったと後に知りました。
要は他人が見ても両親のわたくしメに対する扱いは酷かったということです。
そんな両親から大学進学とか、家から出さないとか言われてもわたくしメの思考は停止したままでした。
なに者にもなれない、乞食にもなれないと言われ続けて育ったわたくしメは音楽が好きというだけで、夢とか希望とか持った事も有りませんでしたし、勉強したって意味がないと思っていました。
わたくしメに出来る事は早く両親の目の前から消える事、早く死ななければならない。
そういう思考しか有りませんでしたので、それなりの進学校に通っていても、進学も就職も自分の未来も考えた事が有りませんでした。
ですので、急に自分の進学とか未来を考えるチャンスを与えられても何も思い浮かばず、ただただ困り果てるだけでした。
高校3年生の秋になっても自分の進路が見つからず、本ばかり読んでいたわたくしメに父が「○△短大の音楽科へ行け」と言い出しました。
父はわたくしメが音楽が好きな事を誰よりも知っていたのでしょう。
4年制の音大と短大の音楽科は違う物で、短大なら簡単に入学出来ると思ったのでしょう。
ですが入試においては普通の4年制音大も短大の音楽科も何の違いは有りません。
自分の主科とする楽器の試験の他、ピアノ科以外は副科のピアノ、コールユーブンゲン、聴音、新曲視唱、楽典など…(もちろん学科も有ります)一般的にいうソルフェージュなどした事も無い試験が沢山有るのです。
ですので、4年制の音大であろうと短大の音楽科であろうと、音楽と名の付く大学を目指す人の殆どの人は早くから準備して試験に臨むものなのです。
ですからお金ももの凄くかかりますし、主科とする楽器も購入しなければなりませんでしたが、父は振り上げた拳を下ろす事が出来ず、訳も分からないまま4ヶ月後の入試に向けて動き出しました。
音楽は好きでも、ただ音楽を楽しむ事と音楽を本格的に学ぶ事は全く別物でした。
初めての習い事?が入試の勉強というのも皮肉な事でしたが、好きな事をさせて貰える喜びには代え難いものでした。
ここで頑張れば、乞食にもなれない・何者にもなれないと言われ続けたわたくしメが短大とは言え音大生になれるのですから、それはもう必死でした。
早く死んで両親の目の前から居なくなる事が自分のなすべき事と思っていたはずのわたくしメでしたが、本心は生きていたいと思っている自分に気がついた出来事でも有りました。
また続けさせていただきます。