私はコハクチョウという鳥です。
毎年、春と秋になると、仲間と一緒に長い旅をします。これを「渡り」と言います。渡りは、寒い北の地から暖かい南の地へ、あるいはその逆へと移動することです。
渡りは、私たちコハクチョウにとって必要なことなのですが、正直言って、あまり好きではありません。
渡りはとても疲れるからです。私たちは空を飛び続けなければなりません。時には風に乗って楽に飛べることもありますが、時には強い向かい風に苦しめられます。
また、途中で休む場所を探すのも大変です。あまり休んでいると、仲間に置いていかれてしまいます。そして、一匹になってしまったら、危険な目に遭うかもしれません。
渡りは危険だからです。私たちは空の王者と呼ばれる鷹や鷲などの肉食鳥に狙われます。
彼らは私たちを見つけると、すばやく迫ってきます。私たちは必死に逃げますが、時々捕まってしまう仲間もいます。それを見るたびに、胸が痛みます。
渡りは寂しいからです。
私は南の地で出会ったあるコハクチョウのことが好きです。彼は優しくて勇敢で、私を守ってくれました。でも、ある日、彼は鷹に襲われてしまいました。
私は彼を助けようとしましたが、間に合いませんでした。彼は私に「さようなら」と言って、空から落ちていきました。それ以来、私は彼のことを忘れられません。
でも、渡りは止められないからです。私たちは渡りをすることで生き延びてきました。
渡りをすることで、寒さや飢えから逃れることができます。 渡りをすることで、新しい場所や出会いを見つけることができます。 渡りは私たちコハクチョウの運命なのです。
だから、私は今日も空を飛びます。仲間と一緒に北の地へ向かいます。風に乗って雲を越えて飛びます。そして時々思います。彼は今どこで何をしているのだろうかと。