向井湘吾さんの『お任せ!数学屋さん』(ポプラ社)を読了。
5月にやってきた転校生・神之内宙の将来の夢は、数学で世界を救うこと!宙は”数学でみんなの悩みを解決する”数学屋を始める。隣の席の天野遥は、初めは宙のことを変わったやつと思い、隣で数学屋をやられることを迷惑に思っていた。けれど、遥の悩みを宙は数学で即座に解決!遥は数学屋さんの仕事にワクワクを感じ、数学屋さんを一緒にやることにした。
図書館では大人向けのコーナーに置いてあったが、中高生に読んでほしい作品。「数学は生活に役立つのか?」という学校の勉強だけしていると思いがちな疑問を、身近な悩みの解決法に数学を使うことで答えている。中学生時代に読んで面白かった作品に『数学ガール』があるが、本作品で解説されるのは中学レベルの数学で比較的分かりやすい。数学の苦手な読者でも、遥と一緒に、宙みたいに高いレベルの数学ができなくても、数学に対してポジティブになっていく感覚を共有できるのではないだろうか。
個人的には最後の展開が蛇足かな~と感じたけれど、数学屋さんがまだまだ続くという点では嬉しい。遥が作中で「数学者は私たちの住むこの世界とは違う『数学の世界』に住んでいるんじゃないか?」と何度か言っていたが、私もそう思う。私自身は数学が嫌いではなかったけれど、高校の数学の授業や課題は理解できなかったときに噛み砕いて咀嚼する時間があまりなかったな、と思い出した。皆さんは数学、好きでしたか?
※2021/3/3追記 続編読了。続編をあんまり考えていないと思われる構成。2巻は文化祭の話、ストーリーは軽めで読み飛ばしても問題なさそう。3巻は宙の文学好きな親友、宙の夢「数学で世界を救う!」に関わる話で読む価値あり。