自らのサッカーを表現する間もなく失点し、鬼門・九州勢が継続。
2016年に2敗、2021年以降は2分2敗と福岡に対してリーグ戦6戦未勝利が続くFC東京だったが、堅守の福岡を崩せず、終始主導権を握った福岡になすすべなく敗れ、鳥栖とともに鬼門と化した九州アレルギーを覆すことが出来ずに終わった。
ホームの福岡は、GK村上、湯澤、田邉、金森に代わって、GK永石、前嶋、ボランチに福岡大4年でJFA・Jリーグ特別指定選手の重見、今季リーグ初先発となる鶴野がスターティングメンバーに名を連ねた。FC東京は前節に負傷退場した中村帆高に代わって右SBに長友、CBには今季リーグ初先発となる木村誠二が木本とコンビを組む。
古巣対戦で意気揚々としていた紺野をはじめ、福岡は前線からの積極的なプレスでFC東京のビルドアップを制圧。その流れはほとんど試合終了まで完結されたといっていい。それはシュート数にも表われており、福岡の10本に対してFC東京は僅か2本。その2本も前半に放ったものだから、後半はシュート数0で終わったことになる。
そのシュート2本自体は有効なものだった。前半19分に仲川からのパスを受けた渡邊がペナルティエリア中央へ切れ込んだ左脚のシュートは、無情にも左ポストに跳ね返された。40分には長友がミドルシュート。奈良にヘディングでブロックされたが、停滞した流れを変えようとする意志は窺えた。
だが、それだけだ。福岡は紺野をはじめ、重見、前の中盤、小田、前嶋のDF陣もよく走った。鶴野、重見はスプリント回数も多く、ルキアンは攻撃では脅威といえるまでには至らなかったが、献身的な守備でFC東京の出足を止めていた。ホーム連勝が途絶えた前節・川崎戦の反省を活かしたいという気持ちが表われ、FC東京のボールホルダーに素早くプレッシャーをかけ、ボールを奪うことに成功していた。
FC東京は、戦術がどう、システムがどう、起用選手がどう、ということ以前に、何をとっても初動が遅い。パスを出すにしろ、受けるにしろ、ボールを持ち運ぶにしろ、次の判断にしろ、どれもがワンテンポ遅いから、ことごとく福岡の選手に詰められ、囲まれ、ボールを奪われる。パスも足元ばかりで、ボールを受けるための動き出しも福岡より遅いから、思うようにスペースを生み出すことが出来ない。相手を呼び込むまでボールを離さないのは、相手を交わし、剥がそうという意図はあるのかもしれない。だが、俊敏な判断や動き、スピードがないゆえ、次のパスや供給に繋がらず、攻撃のスイッチが入った段階でボールを奪われるから、ゴール前へ侵入するどころか、福岡にとっての高い位置からのカウンターの餌食を増やすだけになっている。状況を打開すべくワイドに展開しても、その先のサイドの狭い地域でペースダウンする間に詰められ、パス交換で抜け出せず、ボールを奪われるかサイドラインを割ることの繰り返し。高い位置でのスローインも有効に活かせず、易々と相手ボールにしてしまう。
福岡は68分に鶴野に代えて佐藤凌我を投入、それに対してFC東京は70分にバングーナガンデ、アダイウトン、森重をピッチに送り出す3枚替えを敢行。3-4-3へシステムを変更して打開を図ったが、その2分後の72分、山岸がペナルティエリア手前からの山岸のヘディングを受けた佐藤がDFに囲まれながらキープしてマイナス気味にパスを送ると、それを受けた山岸がペナルティエリア中央から左脚でゴールへ流し込み、福岡が先制。攻勢を続けるもゴール前での決定力にやや欠けていた福岡に助けられていたFC東京だったが、ついにゴールを割られてしまう。
福岡は当初DFの三國をFWとして配していたが、FC東京が木村を俵積田にスイッチして4-2-3-1へ戻すと、三國を最終ラインに移した5バックで逃げ切りを狙う。アダイウトンの個の突破力に賭けるくらいしか同点のチャンスを見出せないFC東京だったが、そこまでも至らず。FC東京陣内でボールをキープし、時間を進めた福岡がそのまま勝ち点3を獲得した。
たとえば、浦和、横浜FM、川崎あたりの相手なら、同じような動きだっただろうかという疑念が浮かぶ。少々荒れた試合となったが柏戦のような素早くボールを奪い、運動量豊富に動き回るという信念はどこかへ置いてきてしまったようだ。丁寧にボールを回そうとしたという見方もあるだろうが、そのパスも精度を欠いては、相手の餌食になるだけだ。
次はアウェイ札幌戦。札幌はホームで連戦、FC東京はアウェイの連戦で、しかも中2日と移動だけでテコ入れ出来るような時間はない。変化をもたらすのは、精神的な部分へのフォーカスくらいしかなさそうだが、反省と同時に淀んだ空気を引きずらずに切り替えて、アグレッシヴなプレーで戦いたい。連敗して国立での多摩川クラシコという最悪の展開は避けなければならない。
◇◇◇
明治安田生命J1リーグ 第11節
2023年5月3日(水・祝)15:03KO ベスト電器スタジアム
入場者数:10,360人
天候:晴 / 気温:24.5℃ / 湿度 41%
主審:小屋幸栄 / 副審:塩津祐介、船橋昭次
第4の審判員:松井健太郎
VAR:吉田哲朗 / AVAR:渡辺康太
福 岡 1(0-0 / 1-0)0 FC東京
【得点】
福 岡:山岸祐也(72分)
FC東京:
〈試合経過〉
36分 警告 東京 長友佑都
63分 交代 東京 仲川輝人 → 小泉 慶
68分 交代 福岡 鶴野怜樹 → 佐藤凌我
70分 交代 東京 徳元悠平 → バングーナガンデ佳史扶 / 松木玖生 → アダイウトン / 安部柊斗 → 森重真人
72分 得点 福岡 山岸祐也
74分 交代 福岡 山岸祐也 → 三國ケネディエブス
77分 交代 東京 木村誠二 → 俵積田晃太
84分 警告 福岡 ドウグラス・グローリ
88分 交代 福岡 ルキアン → 金森健志
90+2分 警告 東京 東 慶悟
90+3分 警告 福岡 小田逸稀
【FC東京】
〈スターティングメンバー〉
GK 27 ヤクブ・スウォビィク
DF 05 長友佑都
DF 04 木本恭生
DF 47 木村誠二
DF 17 徳元悠平
MF 10 東 慶悟
MF 08 安部柊斗
MF 07 松木玖生
FW 11 渡邊凌磨
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 39 仲川輝人
〈控えメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 03 森重真人
DF 49 バングーナガンデ佳史扶
MF 37 小泉 慶
FW 15 アダイウトン
FW 22 ペロッチ
FW 33 俵積田晃太
〈監督〉
アルベル
◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 2023シーズン FC東京試合日程・結果】
第01節 02月18日(土)14:00〇FC東京 2-0 浦 和(H・味スタ)
第02節 02月26日(日)15:00△FC東京 1-1 柏 (A・三協F柏)
第03節 03月04日(土)14:00✕FC東京 0-2 京 都(A・サンガS)
第04節 03月12日(日)15:00〇FC東京 3-1 横浜FC(H・味スタ)
第05節 03月18日(土)14:00△FC東京 0-0 名古屋(A・豊田ス)
第06節 04月01日(土)15:00✕FC東京 0-1 鳥 栖(A・駅スタ)
第07節 04月09日(日)15:00△FC東京 2-2 湘 南(H・味スタ)
第08節 04月15日(土)16:00✕FC東京 1-2 C大阪(H・味スタ)
第09節 04月22日(土)14:00〇FC東京 2-1 広 島(A・Eスタ)
第10節 04月29日(土)15:00〇FC東京 2-1 新 潟(H・味スタ)
第11節 05月03日(水)15:00✕FC東京 0-1 福 岡(A・ベススタ)
第12節 05月06日(土)14:00 FC東京 ✕ 札 幌(A・札幌ド)
第13節 05月12日(金)19:30 FC東京 ✕ 川 崎(H・国 立)
第14節 05月20日(土)15:00 FC東京 ✕ 鹿 島(A・カシマ)
第15節 05月27日(土)14:00 FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ)
第16節 06月03日(土)15:00 FC東京 ✕ 横浜FM(H・味スタ)
第17節 06月11日(日)18:00 FC東京 ✕ G大阪(A・パナスタ)
第18節 06月24日(土)19:00 FC東京 ✕ 名古屋(H・味スタ)
第19節 07月01日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 (H・味スタ)
第20節 07月08日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和(A・埼 玉)
第21節 07月16日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島(H・味スタ)
第22節 08月06日(日)19:00 FC東京 ✕ C大阪(A・ヨドコウ)
第23節 08月12日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都(H・味スタ)
第24節 08月19日(土)19:30 FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス)
第25節 08月26日(土)19:00 FC東京 ✕ 神 戸(H・国 立)
第26節 09月02日(土)00:00 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ)
第27節 09月16日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎(A・等々力)
第28節 09月23日(土)00:00 FC東京 ✕ 鳥 栖(H・味スタ)
第29節 09月30日(土)00:00 FC東京 ✕ G大阪(H・味スタ)
第30節 10月21日(土)00:00 FC東京 ✕ 横浜FC(A・ニッパツ)
第31節 10月28日(土)00:00 FC東京 ✕ 広 島(H・味スタ)
第32節 11月11日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟(A・デンカS)
第33節 11月25日(土)00:00 FC東京 ✕ 札 幌(H・味スタ)
第34節 12月03日(日)00:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS)
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