*** june typhoon tokyo ***

FC東京×松本@味スタ

 可能性を繋げた勝ち点3。

 前半から松本に主導権を握られていたFC東京だったが、我慢強くゴールマウスを守り少しずつボール支配率を増やしていくと、前半20分に右CKを獲得。太田のCKは一度はクリアされるも、跳ね返されたボールを収めた太田が再びニアに低めのライナー性のクロスを送ると、一度は相手DFと競り合った後の前田がGK村山の手を弾くような強いヘディングを決めて先制。松本の終盤のパワープレーを何とかしのぎながら、この1点を守りきって勝利。勝ち点3を積み上げて、年間順位で上位の浦和、広島との差を広げずに優勝戦線にギリギリ踏みとどまった。

 ただし、勝利という結果は最低限の条件であり、内容からすればあまり褒められたところがあまりない試合でもあった。確かに、焦れずに我慢強く失点を防いだということについては、評価も出来るだろう。とはいえ、松本の一番のストロングポイントであるオビナが累積警告にて出場停止、1週間で中2日を2回こなしてきて疲労の度合いも激しい松本に対し、前後半の試合開始直後から数10分、試合終了間際のパワープレーと攻め込まれる場面を多く作られ、複数点を得なかったのは大きな課題だ。

 もちろん、下位であるからやりやすい相手ということはなく、90分ハードワークする松本のガムシャラな戦術はなかなか厄介だ。だが、優勝やチャンピオンシップ出場権を狙うチームとしては、自分たちのペースに落とし込むくらいの余裕を持つような試合をしてもらいたかった。ガツガツとプレッシャーを掛け、前へ前へと推進力を高めてくる松本に対し、やや押され気味でパスコースを寸断されてパスミスを多発するなど、攻撃を形作れない場面や時間が続いていた。
 前田とサンダサと中盤との連係もそれほど良くなく、テンポよいボール回しや前線への進出がほとんどみられなかった。太田は決勝点となるアシストやセットプレーで質の良いボールを供給してはいたが、流れの中のプレーとしてはいま一歩か。状態が万全ではないことが影響しているのだろうが、攻撃では停滞の誘因に、守備ではピンチをしっかりと遮断するまでにはならず、攻守ともに精彩を欠くようなパフォーマンスも(この試合だけではないが)見受けられた。
 橋本はよく走ったが、まだ周囲との連係という面で後手を踏んでいるところも。河野も意図は解かるのだが、細かい部分での意志疎通が不十分で、チャンスを決定機へと結びつけるまでにはなかなか至らない。

 今季のFC東京は判断の素早さと積極性をどう高めていくかがポイントのようだ。それらが停滞すれば思うような試合運びには持っていけない。我慢する時間、集中力を持続させる時間を非常に長く意識させなければならないというのは、肉体的にも精神的にも厳しい。やはり、自分たちのペースで試合展開を続けていくことが重要で、それが出来ていれば最少得点差でも精神的に優位に立てるはずだ。それが動きを軽くし、判断の素早さを生む。だが、残念ながら、この日の試合では、そういった展開にあまり感じられなかったのが実状だ。残留争いをしているチームに対して苦しい内容では、上位に追いつくことは難しい。

 ただ、幸いにも結果は積み重ねた。残り5試合、クライマックスが迫ってきた。次節は勝ち点6差で一つ上に位置する広島とのアウェイ戦だ。続く湘南を挟んで、現在首位の浦和と、10月の3戦は優勝するためには絶対に負けが許されない3戦となる。広島、浦和に勝利出来なければ、優勝戦線からの脱落を意味する。この3戦で全てが決まるという思いで、用意周到にして臨んでもらいたい。

 そして、松本。味スタへ駆けつけた約4000人のサポーターが選手の背中を押し続けたが残念ながら実らず、降格圏から脱することが出来ないまま。残留争いで一つ上の順位の新潟とは5、その上の鳥栖とは7、さらに上の甲府、神戸、仙台とは8の勝ち点差となっている。松本の10月の対戦相手は清水、新潟、鳥栖と、奇しくも残留争いをしているクラブとの3連戦だ。残留するならば、これらのライヴァルには是が非でも勝利しなければならない。最低でも2勝1分け、勝ち点7は加えないと降格が現実のものとなってしまう。

 ラスト5戦という時点では、得策はない。しかしながら、方策はない訳ではない。自分たちのサッカーをやり切ることと、どれくらいのプラスαをしていけるかだろう。プラスαとはさまざまあるが、松本に一番求められているのは得点、決定力だ。そのためにはシュートを打ち切る、シュートで終える攻撃を何度も続けていくことしかない。勇気を持った攻撃を止めた時、それは負けに限りなく近くなることだと肝に銘じてピッチを走り回ることだ。もちろん、これはFC東京にも突き付けられた課題の一つでもある。

 松本は確かに厳しいが、この3連戦は2試合がホームのアルウィンで試合を迎えられ、アウェイも新潟と比較的近距離での開催となるのは利点となるはずだ。まずは、サポーターの後押しで選手たちに勇気をもたらす雰囲気を創り上げ、いつも以上に12番目の選手として相手を圧倒する声援を送ることが必要だ。そのために、サポーターは出来る限りスタジアムへ足を運ぶこと、ここからだろう。

 FC東京もとにかくアウェイ広島戦に勝利して、その勢いでホームで湘南、浦和を撃破する展開へ繋げたいところ。松本戦の観客数は4万に達しなかったが、湘南、浦和戦は4万超えを果たしてFC東京に力をもたらせば、残り5試合を終えた時には、何かが起こるはずだ。

◇◇◇

【J1リーグ 2ndステージ 第12節】
2015年09月26日/味の素スタジアム/18:34キックオフ
観衆:36,671人
天候:曇、無風
気温:23.2度 湿度:75%
主審:今村義朗/副審:相樂亨、武部陽介

 FC東京 1(1-0/0-0)0 松 本

得点:
(東):前田遼一(20分)
(松):

≪スターティングラインアップ≫
46 GK ブラダ・アブラモフ
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
05 DF 丸山祐市
06 DF 太田宏介
07 MF 米本拓司
22 MF 羽生直剛
37 MF 橋本拳人 → 吉本一謙(90+2分)
17 FW 河野広貴 → 東慶悟(56分)
20 FW 前田遼一
21 FW サンダサ → ネイサン・バーンズ(60分)

≪サブスティテューション≫
13 GK 榎本達也
29 DF 吉本一謙
50 DF 松田陸
34 MF 野澤英之
38 MF 東慶悟
16 FW ネイサン・バーンズ
39 FW 中島翔哉

≪マネージャー≫
マッシモ・フィッカデンティ

◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 1stステージ】
第01節 03月07日(土)14:00△ FC東京 2-2 G大阪(A・万 博)
第02節 03月14日(土)14:00△ FC東京 0-0 横浜FM(H・味スタ)
第03節 03月22日(日)17:00〇 FC東京 2-0 神 戸(A・ノエスタ)
第04節 04月04日(土)16:00〇 FC東京 1-0 甲 府(H・味スタ)
第05節 04月12日(日)16:00〇 FC東京 1-0 湘 南(A・BMWス)
第06節 04月18日(土)16:00✕ FC東京 1-2 広 島(H・味スタ)
第07節 04月25日(土)18:30〇 FC東京 1-0 山 形(A・NDスタ)
第08節 04月29日(祝)14:00〇 FC東京 1-0 新 潟(A・デンカS)
第09節 05月02日(土)16:00〇 FC東京 2-1 川 崎(H・味スタ)
第10節 05月06日(休)19:00〇 FC東京 3-2 仙 台(A・ユアスタ)
第11節 05月10日(日)16:00✕ FC東京 0-1 鹿 島(H・味スタ)
第12節 05月16日(土)15:30✕ FC東京 1-4 浦 和(A・埼 玉)
第13節 05月23日(土)19:00✕ FC東京 0-1 名古屋(H・味スタ)
第14節 05月30日(土)19:00〇 FC東京 2-1  柏 (H・味スタ)
第15節 06月07日(日)16:00〇 FC東京 2-1 松 本(A・松本平)
第16節 06月20日(土)16:00〇 FC東京 2-1 鳥 栖(A・ベアスタ)
第17節 06月27日(土)19:00〇 FC東京 3-2 清 水(H・味スタ)

【明治安田生命J1リーグ2ndステージ】
第01節 07月11日(土)18:30✕ FC東京 0-2 川 崎(A・等々力)
第02節 07月15日(水)19:00〇 FC東京 3-1 新 潟(H・味スタ)
第03節 07月19日(日)19:00△ FC東京 0-0 山 形(H・味スタ)
第04節 07月25日(土)18:30✕ FC東京 1-2 鹿 島(A・カシマ)
第05節 07月29日(水)19:00〇 FC東京 3-1 仙 台(H・味スタ)
第06節 08月12日(水)19:00〇 FC東京 1-0 甲 府(A・中銀スタ)
第07節 08月16日(日)18:00〇 FC東京 2-1 G大阪(H・味スタ)
第08節 08月22日(土)19:00△ FC東京 0-0 名古屋(A・豊田ス)
第09節 08月29日(土)18:00△ FC東京 1-1 清 水(A・アイスタ)
第10節 09月12日(土)19:00〇 FC東京 3-0 神 戸(H・味スタ)
第11節 09月19日(土)19:00× FC東京 0-1 横浜FM(A・日産ス)
第12節 09月26日(土)18:30〇 FC東京 1-0 松 本(H・味スタ)

第13節 10月03日(土)19:00  FC東京×広 島(A・Eスタ)
第14節 10月17日(土)14:00  FC東京×湘 南(H・味スタ)
第15節 10月24日(土)14:00  FC東京×浦 和(H・味スタ)
第16節 11月07日(土)14:00  FC東京× 柏 (A・日立柏)
第17節 11月22日(日)13:30  FC東京×鳥 栖(H・味スタ)

【J1リーグ 順位表 年間】
01 浦 和 64/29/19/07/03/57/31/+26
02 広 島 62/29/19/05/05/62/28/+34
03 FC東京 56/29/17/05/07/39/27/+12
04 G大阪 54/29/15/09/05/44/28/+16
05 川 崎 50/29/15/05/09/54/41/+13
06 鹿 島 47/29/14/05/10/48/37/+11
07 横浜FM 45/29/12/09/08/39/28/+11
08 湘 南 39/29/10/09/10/34/36/-02
09 名古屋 39/29/11/06/12/35/40/-05
10  柏  38/29/10/08/11/37/37/+00
11 仙 台 32/29/08/08/13/41/40/+01
12 神 戸 32/29/08/08/13/36/38/-02
13 甲 府 32/29/09/05/15/21/35/-14
14 鳥 栖 31/29/07/10/12/33/52/-19
15 新 潟 29/29/07/08/14/36/51/-15
16 松 本 24/29/06/06/17/27/48/-21
17 山 形 21/29/03/12/14/21/43/-22
18 清 水 21/29/04/09/16/33/57/-24
※(勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点差)

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