平島二郎 「世界建築史の旅」 中公新書
1992年4月10日発行
1967年10月に美術出版社からでた同名の本に第15章を追加して再出版している。
著者は1929年東京生まれ。
1954年東京芸術大学美術学部建築科卒。
1961年スペイン政府名誉留学生に選ばれ渡西。
この留学の前後をあわせて世界47カ国を旅する。
世界建築史の旅中央公論社このアイテムの詳細を見る |
この本の雰囲気は今和次郎の「日本の民家」に似ている。良書です。著者が見た世界各国の建築物がその国の風土や人との出合いと合わせて書き連ねられている。登場する国の時代風景を考えながら読むと面白い。この本の影響を受けて世界に旅立って行った人や建築を学ぶきっかけになった人も多いと前書き(?)に書いてあったと思うがうなずける。
著者が留学した1961年のスペインはフランコ独裁政権時代。日本とは1956年に外交を再開しているから、それから5年後の話になる。
ちなみに日本はスペイン内戦の最中である1937年にフランコ政権を承認している。他国が躊躇するなかとてもすばやい動きだったが、第二次大戦末期マニラでのスペイン人宣教師殺害事件がきっかけで1945年4月に国交を断交された。
で1961年のスペインのバラハス空港は、係員は全員軍服にピストル携帯で憲兵さへいるような状態だったらしい。著者はどこよりも最低の空港と書いている。
第15章(p284)ではインドネシアのガルーダ航空のパンフレットの路線図に、カロリン諸島(旧南洋諸島:日本統治領)が、日本領土と記されていたことに驚くという箇所がある。この第15章は1967年版にはなかった章だから、それ以降の旅行のものと思えるが、いつかわからない。同じ文の後の方に1990年頃のことが出てくるのだが、まさかね・・・。
◆↓人気blogランキングにご協力ください↓◆