2年連続のモネ油彩画100%の「モネ展」。
モネ 連作の情景 ▪️
2023年10月20日〜2024年1月28日
上野の森美術館
(大阪中之島美術館に巡回)
モネ 睡蓮のとき ★
2024年10月5日〜2025年2月11日
国立西洋美術館
(京都市京セラ美術館、豊田市美術館に巡回)
この2つの回顧展により、モネの連作「ロンドン風景」も、多く見ることができた。
以下、それらの画像を掲載する。
【「ロンドン風景」連作】
1899年9月、イギリスで勉強中の次男ミシェルに会うため、妻と義理の娘とともにロンドンに行き、1ヶ月あまり滞在する。この間「ロンドン風景」連作に着手し、10点以上を制作する。
1900年2〜4月、「ロンドン風景」連作を制作するため、ひとりでロンドンに滞在する。70点近く制作する。
1901年1〜4月、ロンドンに再度滞在する。
1904年5〜6月、1903年に予定しながら作品を完成させることができずに延期となっていた「ロンドン風景」連作による個展を開催し、「チャーリング・クロス橋」、「ウォータールー橋」、「国会議事堂」の3モティーフによる37点を出品する。
【「チャーリング・クロス橋」連作】
モネは、宿泊したサヴォイ・ホテルの6階の部屋の右手に見える「チャーリング・クロス橋」を描く。
《チャーリング・クロス橋》★
1899年、65.0×81.0cm
メナード美術館
《チャーリング・クロス橋、ロンドン》★
1902年頃、65.3×100cm
国立西洋美術館
《テムズ河のチャーリング・クロス橋》▪️★
1903年、73.0×100.0cm
吉野石膏コレクション(山形美術館に寄託)
《チャリング・クロス橋、テムズ川》▪️◯
1903年、73.4×100.3cm
リヨン美術館
《チャーリング・クロス橋》★
1899-1901年頃、60×100cm
マルモッタン・モネ美術館
【「ウォータールー橋」連作】
モネは、宿泊したサヴォイ・ホテルの6階の部屋の左手に見える「ウォータールー橋」を描く。
《ウォータールー橋、曇り》▪️◯
1900年、65.0×100.0cm
ヒュー・レイン・ギャラリー、ダブリン
《ウォータールー橋、ロンドン》★
1902年、65.7×100.5cm
国立西洋美術館
《ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ》▪️
1904年、65.7×101.6cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《ウォータールー橋、ロンドン、日没》▪️
1904年、65.5×92.7cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
【「国会議事堂」連作】
モネは、15時過ぎにはホテルからテムズ川を渡ったところにあるセント・トーマス病院に移動し、日没までそのテラスから対岸の国会議事堂を描く。
《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》▪️
1900年、82.0×92.6cm
ポーラ美術館
以上10点。
「チャーリング・クロス橋」連作の油彩画は、34点が知られているという。うち5点をこの1年で見たことになる。
日本では、国立西洋美術館、メナード美術館、吉野石膏コレクションのほか、茨城の笠間日動美術館が1点所蔵するようだ。
「ウォータールー橋」連作の油彩画は、41点が知られているという。うち4点をこの1年で見たことになる。
日本では、国立西洋美術館のほか、鹿児島県霧島市の松下美術館が1点所蔵する。また、サントリー・コレクションにもある?ようだ。
「国会議事堂」連作の油彩画は、19点が知られているという。うち1点をこの1年で見たことになる。
日本では、ポーラ美術館が唯一の所蔵者であるようだ。
と、今更ながらまとめたのは、現在ロンドンで、次の展覧会が開催されていることを芸術新潮2024年11月号で知ったから。
モネとロンドン:テムズ河の風景 ◯
2024年9月27日〜2025年1月19日
コートールド美術館
モネは、1904年のパリでの「ロンドン風景」連作による個展の成功を受け、翌年に同連作を制作地ロンドンで展示することを計画するが、実現しなかった。
それから120年。
モネが実現できなかった個展が、モネが宿泊しアトリエとしたサヴォイ・ホテルからわずか300メートルのコートールド美術館において、1904年の個展への出品作37点のうち18点、イギリス国内にある非出品作3点とあわせて計21点の「ロンドン風景」連作により、初めて開催されているのだ。
美術館ウェブサイトにて、展示室のバーチャルツアーを見ることができる。2つの展示室に世界各国から集められた21点の作品が並ぶ様にため息。
マルモッタン・モネ美術館所蔵の《チャーリング・クロス橋》完成作は、日本には来ずに、ロンドンに行ったのか、残念。
なお、同展のチケットは既にSOLD OUTであるようだ。