神仏・異類・人 ―奈良絵本・絵巻にみる怪異―
2015年11月21日~2016年2月7日
國學院大學博物館
前期に続いて後期も訪問。
國學院大學博物館は、18時まで開館、入場無料が、有難い。
常設展示や特集展示もあるなか、お目当ての企画展は、入口のすぐ右手。限られたスペースに、20点ほどの絵巻や絵本が、少しずつオープンされている。全て國學院大學図書館蔵。
前期:11月21日~12月23日
後期:1月8日~2月7日
前期もそうだったらしいが、後期期間中の場面替えがある(1/26から)。
章立て
1 王朝の絵巻
2 異類の顕現
3 神仏の哀歓
4 異類の活躍
印象に残ったもの。
《賢学草子》元禄頃(1688-1704)
女性を裏切った僧・賢学が、蛇に変化した女性に日高川へ引きずり込まれる物語。
前期公開場面。
舟で日高川を渡り逃げようとする僧(舟には僧と船頭)。追って女性が川に飛び込み、泳ぐ。蛇への変身を開始。
後期公開場面
大蛇に変化した女性。賢学が隠れた寺の鐘に巻きついている。(このあと、鐘を砕き、賢学を日高川に引きずり込むらしい。)
なお、並んで展示の《道成寺絵巻》の公開場面。
大蛇に変化した女性が、僧が隠れた寺の鐘に巻きつき、炎を噴く。
→寺の僧が鐘を横に倒すと、いい具合に焼き焦げた僧。寺の僧は供養する。
《熊野の本地》江戸前期17C
苦難を味わった天竺の五衰殿の女御らが、日本の熊野に飛来して神になる物語。
前期の公開場面。
五衰殿の女御は、無実の罪で殺されて首がなくなりながらも、その子に乳を与える。
首のない女性に抱きかかえられる子供。周りに動物たちが見守っている。
後期の公開場面。
断首された五衰殿の女御の首を囲み、嘆く人たち。
→五衰殿の女御を復活させるべく、ちけん上人が秘法を振るう。
《いなり妻の草子》江戸中期18C(後期展示)
ある貧しい男が裕福になるよう稲荷大明神に祈願。大明神は男の妻として白狐を遣わし、男の家は裕福になる。やがて、妻は自分の正体が白狐であることが男にばれたと勘違いし、虚空へと消える。男が悲しんでいると、夜な夜な妻は戻ってきて、男はますます豊かになる。
ほのぼのとした話だが、その話のとおり、ほのぼのとした描写を好ましく感じる。
カラー版リーフレット2種に加え、今回訪問時には、展示作品目録兼作品の主なあらすじ説明資料も用意されている。前回訪問時は、在庫切れだったらしい。