東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

1990年のセガンティーニ

2011年12月25日 | 展覧会(西洋美術)

アルプスの画家 セガンティーニ -光と山-
2011年11月23日~12月27日
損保ジャパン東郷青児美術館

VS

Giovanni Segantini 1858-1899
1990年11月9日~1991年2月3日
Kunsthaus Zuerich

 

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「セガンティーニ展」。
会期は今日を含めて残り3日間。26日の月曜日も開館することにしたとのこと。
25日にNHKの日曜美術館の再放送があることを踏まえてのことなのでしょう。


セガンティーニについては、私が美術ファンになった当初、そのきっかけが何だったのかは記憶にありませんが、お気に入りの画家の上位にいました。
その後もお気に入りの画家という思いは持ちづづけているのですが、いくつかの展覧会で作品に出会っても、特段強い印象が残ることもなく、次第にセガンティーニの名前を思い出すことがなくなってきていました。


そういうときに知ったセガンティーニ展の開催。
いったん中止が発表されたときはがっかりしました。
その後、他の巡回先終了後に会期を変更し、約1か月と当初予定の半分ではありますが開催の運びに。関係者の皆さんに感謝します。


セガンティーニの魅力を存分に味あわせてくれた本展覧会。
本展の図録を購入しました。
それに飽き足らず、書店に並ぶ西村書店の本ではなく、また、美術館のショップに並ぶ今年1~4月まで開催されたバーゼルでの展覧会図録でもなく、
なぜか、1990年にチューリッヒで開催されたセガンティーニ展の図録(ドイツ語版)をインターネット注文しました。


両方の図録を眺めつつ、やっぱりセガンティーニはいいなあと思っている次第です。

 

1990年のチューリッヒ展です。


出品数は120点余。今回の日本展の約2倍です。


構成は、時系列に、初期から分割主義、象徴主義を経てアルプス3部作(ただし出品されていません)に至り、ジャコメッティが仕上げた「ふたりの母たち」およびジャコメッティ作「死の床のセガンティーニ」で終わるという、日本展と同様の構成です(ただし、日本展のように肖像画と自画像の章を別にはしていません)。


作品の出品元は、日本展と同様に、スイスおよびイタリアの美術館から集められたものが中心です。
天下のチューリッヒ開催の回顧展であっても、諸外国から作品を集めるのは困難だったのでしょうか。
諸外国からの大作としては、唯一、ウィーンから「悪しき母たち」が出品され、図録の表紙にも利用されています。
他の諸外国の主な大作は、図録に参考図版として掲載されています。
カラー掲載は、ミュンヘン、ハンブルグ、ライプツィヒ、リバプール、サンフランシスコなど。いずれも見ごたえがありそうな作品です。


出品120点中、油彩は72点。日本展が36点ですから、これまた2倍です。
23点が重なっています。
そのうちの一つ、ふくやま美術館の「婦人像」は、1990年当時はまだふくやま美術館所蔵ではなく、個人蔵(Torricella)として出品されています。(Torricellaって、イタリアの、長靴のかかとあたりに位置するプーリア州の町らしい。→訂正:誤りでした。スイスのティチーノ州の町のようです。それならばセガンティーニに合います。)


13点がチューリッヒでは出品されず、日本では出品されたことになります。
大原美術館や国立西洋美術館の作品がそれに当たるのですが、それ以外には、初期時代の作品が中心です。


意外なのは、
・チューリッヒ美術館の「虚栄」。
 当時まだチューリッヒ美術館所蔵ではなかったのでしょうか。
・ミラノのマッジョーレ療養院の「カルロ・ロッタの肖像」。
 チューリッヒでは出品されず、図録に参考図版(白黒ですが)掲載の作品が、日本展では出品されているのです。
 実は「カルロ・ロッタの肖像」が、今回の隠れた目玉作品なのかもしれません。

 

両方の図録を眺めつつ、やっぱりセガンティーニはいいなあ。


ミラノ市立近代美術館には、セガンティーニ作品が大作を含め、多数あるらしいことを初めて認識しました。

日本展図録での、コーディネーターの久保州子氏の文章に旅情を誘われます。

セガンティーニの旅、サン・モリッツ+エンガディンの山岳風景(+スイスのいくつかの美術館)&ミラノ。
行ってみたいなあ。



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