東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ぬぐ絵画(東京国立近代美術館)

2011年12月24日 | 展覧会(日本美術)

ぬぐ絵画 日本のヌード1880-1945
2011年11月15日~2012年1月15日 
東京国立近代美術館


章構成は、次のとおりです。

1 はだかを作る
1-1 入浴と留学
1-2 はだかの教育
1-3 黒田清輝とはだか

2 はだかを壊す
2-1 萬鉄五郎とはだか
2-2 恋するはだか
2-3 古賀春江とはだか、熊谷守一とはだか

3 もう一度、はだかを作る


一番期待していたのは、黒田以前の初期洋画時代のはだか作品。
1-1章がそれに当たるのでしょう、五姓田義松(2点)、百武兼行(1点)、松岡寿(2点)などが展示。
興味深く見たのは、五姓田義松の「銭湯」。
それから、ラグーザ玉の「京都風俗」と「箱根の湯」の2作品。図版では見かけるのですが、実物が見れたのはうれしい。


1-3章で黒田作品が登場。
重文「智・感・情」がデンと鎮座しているほか、腰巻事件で有名な「裸体婦人像」(静嘉堂文庫美術館)、さらには戦争で焼失した「朝妝」の実物大(?)の写真パネルまで、豪華な布陣。
展覧会の流れとしては、「野辺」(メナード美術館)が以降の章につながる鍵とされています。
黒田作品の女性は美しく描かれてますね。


2-1章は、萬ワールド。
東京国立近代美術館所蔵の「裸体美人」「もたれて立つ人」「裸婦(ほお杖の人)」の3作品をメインに、
岩手県立美術館からの作品が加わって、見応え十分。
萬作品をまとめて見るのは初めてでしたので、非常に楽しめたコーナーでした。


2-2章。お気に入りは、青春謳歌という感じの中村彝「少女裸像」です。
ただ、その少女が、村山塊多「尿する裸僧」と、甲斐庄楠音のエロチック2作品に挟まれているのは何とも不思議な光景。


2-3章。古賀作品は、昨年の回顧展で多数の作品を見たためか、今回ピンとくるところなし。
熊谷作品ではやっぱり「夜」が印象的。ただ、その題材を知ると、決して楽しめない/見たくはない作品です。個人的には。


3章。前田寛治は初めて知る名前ですが、マネ風の作品は、マネ好きの私としては少し惹かれました。
小出楢重も楽しめます。他の大御所のお二人はスルー。


常設会場でも「特集 ぬぐコレクション」を実施中とのことで、訪問。
小企画展(写真、近代版画)を別にすると、通常の展示会場については、戦争画も含めて東近美定番の作品は、いつもどおり展示されていて、言われてみれば、確かにはだか作品の割合がいつもより少し高いような気はしますが、言われなければ、全くいつもどおりで、特にはだかを意識することはない感じでした。
作品としては、小倉遊亀「浴女 その一」が初見で印象的。


総じて興味深い企画展でした。

宮下氏「刺青とヌードの美術史」や故若桑氏「隠された視線」を再読しようかな。



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