東京でカラヴァッジョ 日記

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【後期】「法然と極楽浄土」(東京国立博物館)

2024年05月29日 | 展覧会(日本美術)
法然と極楽浄土
2024年4月16日〜6月9日
東京国立博物館
 
 
 前期に引き続き、後期を訪問する。
 
 前期の目玉作品であった、早来迎および綴織當麻曼陀羅は、5/12および5/6をもって退出し、別作品に展示替えとなった。
 
 この別作品が、また見応えがある。
 
重文《當麻曼陀羅図(貞享本)》
江戸時代 貞享3年(1686年)
奈良・當麻寺
 
 国宝《綴織當麻曼陀羅》8世紀 の原寸大模本。
 1677年に本尊(《綴織當麻曼陀羅》)と室町時代の原寸大模本が修復されたが、その際の調査研究を踏まえて制作された、最も詳細であざやかな優品であるという。
 何が表されているのかほぼ見えない本尊と比べ、画面全体が明瞭で、色鮮やかで、本尊の当初の姿が伺えて、興味深い。
 およそ4メートル四方の大きさは同じだが、迫力は本尊ほどではない。本尊の迫力は、その長い歴史に加え、織物の存在感からもきているのだろうか。
 
 
重文《阿弥陀三尊来迎図》
鎌倉時代 14世紀
福島・いわき市
 
 縦2メートル超の大画面に、等身大で描かれる阿弥陀如来と、子供サイズで描かれる観音菩薩、勢至菩薩。着衣には繊細な截金により多彩な文様が表され、その姿は金色に光り輝いている。その輝きと背景の青は、今年(2024年)の府中市美術館の春の江戸絵画まつり「ほとけの国の美術」展に出品された、重文《阿弥陀二十五菩薩来迎図》鎌倉時代13世紀、福島県立博物館 を思い起こす。
 
 
 ほか、特に見た作品2選。
 
国宝《当麻曼荼羅縁起絵巻》
鎌倉時代13世紀
神奈川・光明寺
 
 通期展示だが、前後期で巻き替え。
 前期鑑賞時は軽く見ただけだが、後期の公開3場面は山場にあたるのだろう、見応えが格段に増している。
・観音の化身である女が現われる。女は曼荼羅を織り上げる。女は雲に乗って去る。
・仏尼は姫に曼荼羅の深義を説く。仏尼は自分は阿弥陀の化身だと姫に伝える。仏尼は去る。
・姫の臨終。阿弥陀聖衆の来迎。
 
 各場面に「綴織當麻曼陀羅」の下部が登場する。
 通常は横長につなぐ「料紙を縦に用いた異例の大画面が圧巻」との説明に、前期鑑賞時はピンとこなかったが、今回は納得。
 
 
重文《阿弥陀如来立像》&《像内納入品 源智阿弥陀如来造立願文、源頼朝等交名》
鎌倉時代 建暦2年(1212年)
浄土宗
 
 高さ約98センチ、ヒノキ材の寄せ木造り。切れ長で目尻がつり上がる理知的な顔が快慶の作風を踏襲しているという。
 1979年の解体修理で像内にあった大量の納入品を調査したところ、1212年(建暦2年)12月24日の「造立願文」から、浄土宗の宗祖・法然の一周忌に際して弟子の源智(1183~1238年)が全国に呼びかけて造ったとわかった。阿弥陀如来と縁を結んだ人々の名前を書いた文書「結縁交名」には、源頼朝ら4万6000人の名を確認した。
 1753年(宝暦3年)の修理では、本像の台座の銘文から、かつて堺市の堺稲荷宝祥院にあったとわかっている。その後の経緯は不明だが、滋賀県甲賀市の高野山真言宗・玉桂寺に伝わり、浄土宗が「宗派草創期の仏像で重要」として同寺と交渉、宗派の垣根を越えて2010年に浄土宗に戻り、話題となった。11年12月に京都国立博物館に寄託した。
 
 
 
 本展は2024年秋に京都国立博物館、2025年秋に九州国立博物館に巡回する。


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