歸空庵コレクションによる
洋風画という風
-近世絵画に根づいたエキゾチズム-
2024年5月3日〜6月16日
板橋区立美術館
当館では、1990年以降、主に洋風画より成る歸空庵コレクションをお預かりしてきました。この個人コレクションは、特に秋田蘭画や司馬江漢の名品によってつとに知られ、多くの様々な展覧会で存在感を放ってきました。
そのような中で、2004年に当館では「日本洋風画史展」を開催し、全171件を一挙公開しました。その後約20年ぶりとなる本展覧会では、新たな寄託作品を加えた選りすぐりの作品73件をご紹介します。当館寄託の歸空庵コレクションは、現在248件を数えるほどになりました。
本展は、73件の出品で、歸空庵コレクションが72件(うち新寄託19件)、1件が板橋区立美術館所蔵。
観覧無料。
作品キャプションも楽しい本展。
ただ、大きめ太字の「作品番号 画家名《キャッチコピー》」の表記は、習慣で、つい、《 》内を作品名と思って、??となることしばしば。
(作品名は、一段小さな文字で表記。出品リストでも確認できるが。)
以下、新寄託作品より、5選。
作者不詳《ブロンホフ家族図》1818年頃
司馬江漢《西洋風景人物図屏風》江戸時代・18〜19世紀
石川大浪原図《浜田弥兵衛台湾討入図》江戸時代・19世紀
広渡湖秀《万国人物貼交屏風》江戸時代・18世紀
安田雷洲《山水人物画》江戸時代・19世紀
従来からの寄託作品より、3選。
作者不詳《少女愛犬図》江戸時代・19世紀
✳︎亜欧堂田善の同作品も強烈であった。
司馬江漢《樹下美人愛児図》江戸時代・18〜19世紀
亜欧堂田善《三囲雪景図》江戸時代・18〜19世紀
✳︎壁面展示であり、間近でじっくり観ることができる。その鑑賞環境込みで、本展のベストお気に入り作品とする。
【本展の概要】
1 洋風画の2つの時代、思い描かれた西洋
・初期洋風画/第一次洋風画
桃山時代、キリスト教の伝来
・後期洋風画/第二次洋風画
江戸時代中期以降、蘭学の隆盛
2 秋田蘭画と司馬江漢
・秋田蘭画
秋田藩士の小田野直武(1749~1780)
秋田藩主の佐竹曙山(1748~1785)
・司馬江漢(1741〜1818)
3 石川兄弟と西洋医学の肖像
・石川兄弟の作画活動
石川大浪(1762~1817)
石川孟高(1763~1826)
・西洋医学に関わる肖像画
・長崎で描かれた人物表現
4 青空広がる日本の風景
・眼鏡絵
・空を描くことを本格的に意識し写実的に表現する
【📚「洋風画という風」関連図録いかがでしょう📚】「洋風画という風」展では、図録は制作していませんが、関連した図録を販売中です。当館では発行年度より5年以上経過した図録を半額で販売しているので、かなりおトク!作品キャプション風のPOPもつくってみたので、参考になさって下さい。 pic.twitter.com/ytKZj0ZVBg
— 板橋区立美術館 (@itabashi_art_m) May 10, 2024
本展用の図録は制作されていないが、2004年の「日本洋風画史展」の図録を販売中。
半分ほどが白黒図版であるが、当時の寄託作品全171点が掲載されているようだ。