東京でカラヴァッジョ 日記

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【画像】2024年9月の「インド細密画」は「ラージャスターン地方の絵画」(東京国立博物館東洋館常設展示)

2024年09月16日 | 東博総合文化展
 2023年の府中市美術館の展覧会により、「インド細密画」に少し関心を持った私。
 
 2024年1月から、東博の東洋館の地下1階、一番奥の13展示室に常設展示される「インド細密画」鑑賞を始める。
 概ね1ヶ月単位で展示替えが行われるようであり、今回は9度目の鑑賞。
 
 今回鑑賞(2024年9月3日〜9月29日)
・テーマ:ラージャスターン地方の絵画
・展示数:9点
 
 以下、画像を掲載する。
 
 
《テラスに坐る女》
ビーカーネール派、18世紀
 夕陽に赤く染まった空の下、女性はテラスに黄色い敷物を敷き、クッションにもたれて坐っています。テラスの向こう側には、細長い幹の木が見えています。女性は身に着ける豪華な装身具から、身分の高い人物であったと想像されます。
 
 
《タンブーラを弾く女》
ビーカーネール派、18世紀
 女性は柳のような木に寄りかかりながらタンブーラを弾いています。タンブーラとはインド音楽に用いられる撥弦楽器です。演奏は楽器を立てて、右手を竿の裏から表にまわし、指で1本ずつ順に弾きます。
 
 
《テラスに坐る王女》
ビーカーネール派、18世紀末
 王女が、宮殿のテラスに絨毯を敷き、クッションにもたれながら坐っています。王女はイヤリングやブレスレット、ネックレスなどを身に着けています。テラスの向こう側では鳥たちが水辺で遊び、大きく湾曲した地平線が描かれています。
 
 
《酒に酔って見つめあう二人の女》
ビーカーネール派、18世紀
 動物たちに囲まれた茂みの中で、二人の女性たちが酒に酔って見つめあっています。美しく着飾った二人の姿から、おそらく宮廷の女性(左)とその侍女だと思われます。女性の掌には、メヘンディーとよばれる身体装飾が施されています。
 
 
《球投げをする二人の女》
ビーカーネール派あるいはジョドプル派、18世紀末
 球投げをする2人の女性はいずれも手のひらと足の裏に赤い文様を描いています。これはメヘンディーとよばれる身体装飾の一つで、その起源は古代インドにまで遡るといわれています。女性の姿が際立つように、地平線を高い位置に表し、背景のほとんどを黄緑色の地面として描いています。
 
 
《水差しと数珠をもつ女性出家者》
ビーカーネール派、18世紀中頃
 女性は右手に数珠を、左手に水瓶をもって立っています。女性はイヤリング、ノーズリング、ブレスレット、アンクレットなど身に着け、身分の高さがうかがわれます。女性の頭上には小さな虫が群れをなして飛んでいます。
 
 
《英国婦人の肖像》
ビーカーネール派、18世紀中頃
 女性は上品な服を着て、豊かな装飾品を身につけ、両手に花をもちながら、ウサギを抱きかかえています。女性の頭の後ろには金色の輪郭線で頭光を描き、神仏と同じように女性もまた高貴な存在であることを表現しています。
 
 
《川を渡る恋人たち》
ブーンディー派、18世紀後半
 男性は手に槍を持ち、女性を背負いながら、川を渡っています。川岸には楯、失などの武器が置かれ、右側の庵の中には男性が一人坐っています。この絵は下絵のままですが、白絵具による下絵の修正が見られ、インドの細密画の製作工程を知る手掛かりとなっています。
 
 
《館の庭に坐る僧》
ブーンディー派、18世紀
 男性は上半身が裸で、白いドーティを身に着け、赤い長枕を背に坐っています。目尻の先が黄色く塗られ、また額の中央にはティラ力とよばれる装飾を施すことから、男性がヒンドゥー教のヴィシュヌ信仰の僧であることをうかがわせます。
 
 
 
 インド細密画はその細密ぶりに毎度感心するが、今回の人物像(主に女性像)は、神々の世界に比べると、とっつきやすく、その細密ぶりを味わいやすい。
 
 引き続き、展示替えの都度皆勤を目指すのではなく自然体で、展示が一巡するまでを目途に鑑賞するつもり。


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