
ゾッとする展
なつだ オバケだ 全員集合!
2024年7月19日〜9月20日
柏市郷土資料展示室
想像していたよりも充実!
柏市の寺院や個人などが所蔵する、伝説ゆかりの品や、幽霊画、妖怪画、地獄絵・十王図、九相図、絵馬などが集結! しかも入場無料。
柏市の法林寺所蔵の幽霊画がずっと気になっていたところ、ネットにて本展を知る。
柏市に行くこと自体が初めて。都心には近いが、私の住む多摩地区から行くとなると時間がかかる。

柏市郷土資料展示室は、JR柏駅からバスで13分(実際にはもう少しかかる。本数が1時間に4〜5本と結構多いのは、その先に大型ショッピングモールがあるからだろう)、停留所から徒歩3分の、柏市沼南庁舎内にある。
もとは2005年に柏市へ編入合併した沼南町の庁舎だったようだ。
第1庁舎(2階建)の1階がこども図書館で、2階が柏市郷土資料展示室。
通常時は、常設展示が中心で、一画に企画展示が設けられるという感じのようだが、今回はすべてが本展にあてられている。
一部の展示品を除き撮影可。
以下、画像を掲載する。
多様な展示品があるなか、私の好みのものを取り上げている。



今回訪問のお目当て、法林寺の幽霊画コーナー。
掛軸装14幅が展示されていて、しかも露出展示で、堪能する。
法林寺は、檀家の方の寄贈によりたくさんの「お化け」絵を所蔵していて、例年お盆の時期には本堂に展示されるとのことだが、近年は開催しているのだろうか、ネットで開催情報を探すも見当たらない。

法林寺は、妖怪画コレクションも所蔵している。
画像に写っていないものも含め、17点が展示される。

この人形は、「ねねこ カッパ」という女河童。
「関東のカッパの元締めとして、女だてらに暴れていた」という。
茨城大学教育学部美術科の皆さんが、『利根川図志』に掲載されている挿絵をもとに制作したとのこと。
子ども向けのフォトスポットとなっていて、子どもはカッパの足元に置かれたキュウリを手にして、カッパと仲良く(触ってはダメ)写る、という趣向。

その『利根川図志』も展示されている。
現在の茨城県北相馬郡利根町布川の医師・赤松宗旦義知によって1857年頃に出版された、中利根川から下流の地域にかかる地誌。
少年期を布川で過ごした柳田国男にも影響を与えたという。

『利根川図志』が展示される「地獄の世界へようこそ」の章。

茨城県利根町の徳満寺が所蔵する《間引きの絵馬》は、あまりにも強烈。
少年期の柳田に衝撃を与えたという。
地蔵が削られている。

続いて、柏市泉の龍泉院が所蔵する《十王図》。露出展示。

さらに、柏市片山の南蔵院が所蔵する《十王図》6幅。

さらに、弥惣治文庫コレクションの《十王図》7点も。
弥惣治文庫コレクションとは、名戸ヶ谷村(現柏市)の名主役を代々務めた村の草分けである薮崎家が収集した地元ゆかりの資料群。
自宅の一角には、展示施設「弥惣治文庫」を開設しているという。柏市HPによると、東武野田線・新柏駅から徒歩約15分、開館は土・日曜日で、要予約とのことである。
そのコレクションには「お化け」絵も数多く含まれており、本展は、《十王図》のほか、掛軸装などの作品を何点も「特別にお借りして」展示している。

柏市今谷上町の稲荷神社に昭和30年代に奉納された「小絵馬」5点。
絵は奉納者自身によるものと思われるという。
画像は掲載していないが、龍伝説にまつわる寺宝のコーナーや、「柏のむかしばなし」紹介コーナーも。
上記以外にも多様な展示品があって、柏市ゆかりの品が、よくこれだけ存在し保管され、よくこれだけ本展に集めることができたものだなあ、と感心する。
楽しい時間を過ごさせてもらう。
多摩地区から遠征した甲斐があった。