舟越桂 - 私の中にある泉
2020年12月5日〜21年1月31日
渋谷区立松濤美術館
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彫刻家・舟越桂(1951生)の中規模回顧展。
初期から今日までの彫刻作品(約20点)を主に、関連するドローイング、版画、書き留めたメモ、その他自作のおもちゃ・小物など。彫刻家である父・保武や同じく彫刻家である弟・直木のドローイングや、俳人でもある母・道子のグアッシュ作品も最後に展示されている。
私の好みで言えば、地下1階の展示室に並ぶ、1980年代制作の実在モデルの姿をリアルに表した人物上半身像。
特別な格好ではなく、普段の格好をしたモデルの姿を、楠に彫り、彩色を施す。ほぼ人の高さになるよう設置。見ているとなんかゾクゾクする。
作品は、1990年前後から異形化が始まる。
地下1階の展示室には、頭部と胴体の前後が逆で、手も通常ではあり得ない位置にある1992年制作の人物の上半身像と、山の形をした胴体に頭部が置かれた2000年制作の人物の上半身像。
2階の展示室では、2003年から始まる、本格的に異形化し、かつ裸体化した女性の上半身像が並ぶ。
本展のメインビジュアルである2003年制作の《水に映る月蝕》がその始まりで、おってスフィンクス・シリーズに至る。
イラク戦争への抗議として制作したスフィンクス、東日本大震災の衝撃から立ち上がるために制作した異形の女性、本展のために制作した最新作のスフィンクス。キッカケの違いはあったとしても、結局は異形化した裸体の女性の上半身像に向かうのだなあ。
2020年度初訪問の渋谷区立松濤美術館、その感染症拡大防止対策について3選。
入館前に紙に名前・連絡先・入場時刻を記載、チケット購入時に提出。
(鉛筆は消毒済用と使用後用とに分けて箱を用意しているが、私の前の人は、普段の癖だろう、取った方(消毒済用)の箱にそのまま戻していた。)
入場者数を最大50名に制限。
チケット購入時に入場者に整理札が渡される。退館時に所定の場所に返却。
(硬質カードケース入りの整理札のサイズが大きい。返却漏れ防止に有効だろうが、携帯には不便。)
コインロッカーの使用を一部停止、窓口での預かりは休止。
(使用可能なロッカーは半分を大きく下回り、私の訪問時は満杯、整理札(とバック、コート)をしまいたい私はしばらく空くのを待つ。一部停止の効果がよく分からない。)
コメントありがとうございます。
異形化した像の、実在モデルがいるのでしょうかね。
私は舟越さんの作品は、そのものかちょっとアレンジした程度のもので、これほど異形化したものは見たことはありません。
それなりに異形化の意図はわかりますが、モデルになった人はどう思ったでしょうね。