モネ 連作の情景
2023年10月20日〜2024年1月28日
上野の森美術館
「100%モネ。」
嬉しくなるモネ作品が多数出品される本展。
東京会場と大阪会場あわせて75点の出品。
東京会場では、63点(東京限り6点)。
大阪会場では、69点(大阪限り12点)。
国内外50館以上からモネの油彩作品を集めている。
【ドイツ:4館6点】
シュテーデル美術館 2点
アルベルティヌム美術館、ドレスデン
ハッソ・プラットナー・コレクション 2点
ファン・デア・ハイト美術館、ヴッパータール
【オランダ:6館9点】
クレラー=ミュラー美術館 2点
デン・ハーグ美術館 2点
ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館 2点
ザーンズ博物館、ザーンダム
トゥウェンテ国立美術館、エンスヘデ
アムステルダム市立美術館
【スイス:3館7点】
ジュネーブ美術歴史博物館
5点(うち3点が東京限り)
ラングマット美術館、バーデン
ヌシャテル美術歴史博物館(大阪限り)
【デンマーク:1館2点】
ニュ・カールスベア美術館 2点
【ハンガリー:1館1点】
ブダペスト国立美術館
【イギリス:5館6点】
グリン・ヴィヴィアン美術館、スウォンジー
サウサンプトン市立美術館
グラスゴー・ライフ・ミュージアム 2点
クライスラー美術館、ノーフォーク
ニュー・アート・ギャラリー・ウォルソール
【スコットランド:1館2点】
スコットランド・ナショナル・ギャラリー 2点
【アイルランド:1館1点】
ヒュー・レイン・ギャラリー、ダブリン
【モナコ:2館4点】
モナコ王宮コレクション 3点
モナコ国立新美術館
【フランス:5館5点】
ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール
モルレー美術館
ウンターリンデン美術館(東京限り)
リヨン美術館
ドゥルー美術歴史博物館(大阪限り)
【イスラエル:1館1点】
ヘヒト美術館、ハイファ
【アメリカ:4館6点】
ワシントン・ナショナル・ギャラリー 2点
メトロポリタン美術館 2点
コロンバス美術館
ロサンゼルス・カウンティ美術館
【日本:18館25点】
吉野石膏コレクション
4点(2点が東京限り、2点が大阪限り)
福島県立美術館
茨城県立近代美術館
栃木県立美術館(大阪限り)
群馬県立近代美術館(大阪限り)
埼玉県立近代美術館(大阪限り)
国立西洋美術館 2点
アーティゾン美術館(大阪限り)
東京富士美術館 2点
ポーラ美術館 2点
上原美術館
三重県立美術館 2点
福田美術館
和泉市久保惣記念美術館(大阪限り)
大原美術館
島根県立美術館(大阪限り)
愛媛県美術館(大阪限り)
北九州市立美術館(大阪限り)
パリからの作品がないのが特徴か。
本展監修はオランダのデン・ハーグ美術館館長で、企画・構成にはハタインターナショナルの名が入っている。
毎度のことながら、国内美術館のモネ作品の充実度には感心するが、大阪限りが多いのは、会場のキャパシティの関係もあるのだろうか(結果として、連作展示に影響する)。
大阪中之島美術館(会期:2024.2.10〜5.6)のほうが、鑑賞環境は良いのは確か。
【本展の構成】
1章 印象派以前のモネ
2章 印象派の画家、モネ
3章 テーマへの集中
4章 連作の画家、モネ
5章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭
東京会場では、最後の2つの展示室、4章の後半と5章の作品が撮影可能となっている(1点を除く)。
最初の展示室、第1章から嬉しい作品が並ぶ。
印象派以前の作品群。以下、4選。
クロード・モネ
《昼食》
1868-69年、231.5×151.5cm
シュテーデル美術館、フランクフルト
1870年のサロンに出品した大型作品。
食卓の母親と子ども、食卓の横に立つ訪問客の女性、部屋の様子を伺う使用人の女性、食卓の手前の空席は子どもの父親の席。
モネの妻カミーユが母親と訪問客の、長男ジャンが子どものモデルを務めているという。母親と訪問客の容貌が同じなのは少し違和感。二人は姉妹と考えておくが、異時同図法も想像する。
自信作であったようだが、落選する。これを機に、モネはサロンから離れる。
クロード・モネ
《桃の入った瓶》
1866年頃、55.5×46.0cm
アルベルティヌム美術館、ドレスデン
瓶と大理石の板、光の反射の表現を見る。
モネは静物画を100点弱制作した(画商デュラン=リュアルの邸宅のための装飾約40点を除くと60点)らしい。油彩画制作数2000点以上に対しての静物画100点。
クロード・モネ
《ザーン川の岸辺の家々》
1871年、47.4×73.7cm
シュテーデル美術館、フランクフルト
クロード・モネ
《ザーンダムの港》
1871年、47.5×74.0cm
ハッソ・プラットナー・コレクション
1870年7月、普仏戦争が勃発、10月、モネ一家は兵役を逃れるためにロンドンに向かう。1871年5月、普仏戦争が終結、同月、ロンドンを離れ、アムステルダム近郊のザーンダムに滞在する。
「水辺のモティーフの宝庫のような街」ザーンダムには4ヶ月ほど滞在し、約24点ほどの作品を制作したらしい。
本展には、ザーンダムの風景画が4点も集められる。
家屋の色彩、水面の表現を見る。
「アルジャントゥィユで取り組む印象派の手法を先取りしている」との説明。
第1章だけでもかなりの見応え。
閉館時刻近くの人の少ない第1章の展示室は、幸せな空間。