サヴィニャック
パリにかけたポスターの魔法
2018年2月22日〜4月15日
練馬区立美術館

フランスのポスター作家、レイモン・サヴィニャック(1907-2002)。
芸術新潮2005年6月号の特集記事で関心を持つ。
翌2006年の川崎市市民ミュージアムでの「レイモン・サヴィニャック展」を見る。大阪・天保山のサントリーミュージアムの所蔵品を中心に約90点からなる回顧展。
それから10年以上。久々の大規模なサヴィニャック展となる。
今回の展示品は、パリ市フォルネー図書館などフランスからやってきたものばかり、約200点。
ポスター。
原画。
デッサン。
サヴィニャックのポスターが貼られたパリの街の写真。
ポスターは、貼られる場所に応じて何種類かのサイズが用意されるのだろう。
展示品は、我が家の狭い部屋に貼ってもちょうど良さそうな小型サイズもあれば、3階企画展示室1入口から真正面展示の《マギー・チキン・ブイヨン》(1962年)や企画展示室2入口から真正面展示の《クリームデザート モン・ブラン》(1966年)のように、高さ3メートルとか幅4メートルとか、展示室のキャパに挑戦するかのような巨大ポスターもある。
原画は、小型サイズが主だが、展示品のポスター以上の特大サイズのものもあって感心する。
デッサンは、本人の手によるものではあるが、制作当時のものではなく、後年に描き起こしたものだという。商売ですね。
有名な写真家が撮影した、サヴィニャック・ポスターがあるパリの街の景観写真。ポスターの街での活躍ぶりが伺えて、楽しい。
ポスター、原画、デッサン、写真全てを伴って展示される広告もあるが、ポスターのみあるいは原画のみが展示される広告もある。複数バージョンのポスターが展示される広告はバージョン間の差異が面白い。
本展は2部構成。
第1部は、ポスター画家としてブレイクするまでのサヴィニャックを簡潔に振り返る。サヴィニャックが一時期アシスタントをつとめたカッサンドルの作品も3点展示されている。
第2部は、サヴィニャックのポスターが並ぶ。時系列ではなく、テーマ別に分けられる。
第1部:ポスターの魔術師サヴィニャックが誕生するまで
1.幼年期〜ポスターに魅入られるまで
2.カッサンドルに学ぶ
3.戦時中・戦後の時代
4.サヴィニャックと出版物
第2部:10の項目から見つめるサヴィニャックのポスター
1.動物たち
2.オトコの人、オンナの人
3.働く人
4.製品に命を吹き込む
5.子どもたち
6.指さすヒト
7.自動車とその部品
8.タバコ
9.ビック
10.パリ
日本企業のために制作されたポスターもある。森永ミルクチョコレート(1958年)、サントリービール(1979年)、としまえん(1989年)。全盛期は1950〜1960年代のようである。森永の採用が光る。
本展は、練馬区立美術館のあと、宇都宮美術館、三重県立美術館、兵庫県立美術館および広島県立美術館を巡回する。

