約3カ月ぶりの関西プチ美術旅行を敢行する。
最近のプチ美術旅行は展覧会巡りが続いていたが、今回は、晴れ+この時期としては暖かい日であることもあり、決断する。
奈良博の快慶展を見て以降気になっている、安倍文殊院の国宝の快慶仏を見に行こう。
東京6:00発のぞみ1号で京都8:08着。近鉄京都8:15発の特急にギリギリ乗り込む。大和八木駅で乗り換えて、桜井駅9:12到着。
桜井駅から何で行くか。本数の少ないバスは、都合よく9:37発があるが、現地に早く着きたいとの思いから、徒歩を選択する。
期待どおり20分ほどで到着するものの、道中は普通に住宅が並び、案内表示もほとんどなく、ネットの曖昧な地図頼りでは不安だらけ。どうやら駅南口から真っ直ぐ道なりにずっっっと進んで高校のグラウンドのところで右折するのがスムーズなようだが、途中、165号線を右折し、次の左折タイミングがよろしくなく、やや遠回りになったようだ。
安倍文殊院の入口に到着。向かい側には普通の賃貸アパートがある。
ただ、この入口は、車で来られる方のために作ったもので、本来の入口である表山門は別にあるようだ。
拝観料金は次のとおり。
A. 本堂 国宝文殊菩薩(お抹茶・菓子付き)
中学生以上700円 小学生500円
B. 金閣浮御堂霊宝館(七まいりおさめ札・お守り付き)
中学生以上700円 小学生500円
A+B 二ヶ所共通拝観券
中学生以上1,200円 小学生800円
節約したい気持ちもあり、第一目的であるAコースとする。
Aコースに漏れなく付いてくる抹茶と菓子(らくがん)。
この建物、参拝客の休憩所として利用されている「客殿五台閣」の大広間でいただく。
拝観券売場の女性の方からは、今日は普段とは違う場所でお出ししています、との説明があったが、普段は何処でいただけるのだろうか。
本殿。
本殿奥附設の大収蔵庫に、快慶仏がいらっしゃる。
国宝《渡海文殊菩薩》または《木造騎獅文殊菩薩及脇侍像》5躯
本尊である《騎獅文殊菩薩像》は、1203年の制作。文殊菩薩の像高は198cmだが、獅子や後背を含めると7メートルの高さ。これは大きい。光背、蓮華座、獅子は後補とのこと。
脇侍4躯のうち、《優塡王像》、《善財童子像》、《仏陀波利三蔵(須菩堤)像》の3躯は、1220年頃までの制作。
なお、《善財童子像》と《仏陀波利三蔵像》は、2014年東博の日本国宝展に出品されたが、実に勿体ないことに私はスルーしていた。
《最勝老人(維摩居士)像》は、江戸時代初期1607年の補作。
1901年に快慶作の4躯が重要文化財(旧国宝)に指定されていたが、2013年に全5躯が国宝に指定(《最勝老人像》は附指定)。
大収蔵庫の中には入れないが、柵のところまで寄って観ることができる。
と、一人のお坊さんと二人の一般の方がやってきて柵の中に入っていく。なんだろう。
一般の方は、右隅の椅子に座る。お坊さんは本尊の前に座る。そして御祈祷が始まる。
葬式を扱わない(檀家のいない)安倍文殊院は、12-3月の合格祈願や、年間を通じてのボケ・痴呆除けなどの知恵授祈願、魔除け祈願など、御祈祷が重要な収入源となっているようだ。
快慶仏は観光の目玉仏にとどまらず、ご本尊として日々活動なさっているのだ。
御祈祷が終わってしばらくすると、もう一組の方の御祈祷が始まる。結構お忙しいようである。安倍文殊院の御祈祷は、一般観光客以上に国宝快慶仏の近くまで行けるという付加価値もあるのだなあ。
金閣浮御堂。
西古墳。
1時間弱滞在し、安倍文殊院を後にする。