東京でカラヴァッジョ 日記

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「眠り展-アートと生きること」(東京国立近代美術館)

2020年12月07日 | 展覧会(現代美術)
 
眠り展-アートと生きること
2020年11月25日〜2021年2月23日
東京国立近代美術館
 
 
   2010年の「陰影礼讃」展、2015年の「No Museum, No Life? ーこれからの美術館事典」に続く、国立美術館合同展の第3弾は、「眠り展」。国立美術館5館のコレクション(国立新美術館はコレクションなし)から、「眠り」をテーマに生み出された33人約120点が展示される。一部を除き、撮影可能。
 
 
序章:目を閉じて
 
藤田嗣治
《横たわる裸婦(夢)》
1925年、142×123cm
国立国際美術館
 
 
1章:夢かうつつか
 
マン・レイ
《醒めてみる夢の会》
1924/80年
国立国際美術館
 
 
2章:生のかなしみ
 
小林孝亘
《Pillows》
1997年、70×70cm
国立国際美術館
 
 
3章:私はただ眠っているわけではない
 
阿部合成
《百姓の昼寝》
1938年、127.6×144.3cm
東京国立近代美術館
 
   本作は、「出征していく軍人たちではなく、出征を見送る家族のほうを感情表現豊かに描写した」《見送る人々》と同時に発表されたらしい。本作も、「単にのどかな光景を描いている」のではなく、「国が戦争へと向かっている状況下」「いわば一種の抵抗の隠喩として眠りを描いたと考えることもできる」旨の解説。
   画家の出身地にある青森県立美術館では、画家の生誕110周年の回顧展が開催中(11/28〜1/31)である。本作が青森ではなく「眠り展」に出品されるとは、どんなものなのだろう。
 
 
4章:目覚めを待つ
 
 
 
ダヤニータ・シン
《ファイル・ルーム》
2011-13年、写真集70冊
京都国立近代美術館
 
 
5章:河原温 存在の証しとしての眠り
 
河原温
《村田慶之輔氏に宛てた電報、1981 年5月18日、I Am Still Alive (1970–2000) より》
国立国際美術館
 
 
河原温
《MAY 12, 1980, Today (1966–2013) より》
東京国立近代美術館
 
 
 
河原温
《奈良原一高氏に宛てた絵葉書、1974年6月22日、I Got Up (1968–1979) より》
《奈良原一高氏に宛てた絵葉書、1974年6月25日、I Got Up (1968–1979) より》
東京国立近代美術館
 
   「起きるのが遅い」と女性2人連れが笑っている。本シリーズは前後期入替えで各14点ずつ展示される。前期展示のうち、最も遅い時刻と最も早い時刻を選んでみた。彼女たちは最も深い「眠り展」鑑賞者だ。
 
 
終章:もう一度、目を閉じて
 
金明淑
《ミョボン》
1994年、160.5×133.9 cm
東京国立近代美術館
 
 
 
   以上、各章1点を選抜(第5章のみ3点)。
   過去2回の展覧会と比べると、より現代美術の比率が高まった感。そして、私には高度な構成・出品作であった。
 
 
    もう一つ本展の重要なテーマに「持続可能性」(sustainability)があります。「眠り」は生命を維持するために欠かせないものであり、繰り返されるもの。それとリンクする形で、少しでも環境の保全を目指すべく前会期の企画展「ピーター・ドイグ展」の壁面の多くを再利用しています。


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