ピエロ・デッラ・フランチェスカ
《キリストの降誕》
1480年代初、124.4×122.6cm
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
1698年、ピエロ家の家系最後の男子となったジョヴァンニ・バッティスタ・フランチェスキが、妹のマルゲリータに遺贈する。
マルゲリータの嫁ぎ先、サンセポルクロのマリーニ家が所蔵してきたが、1826年、末裔のジュゼッペ・フランチェスキ・マリーニが、ウフィツィ美術館の館長に手紙を書き、売却を目的とした寄託を依頼する。
絵の保存状態がよくなかったせいか、再三の売り立てにもかかわらず、買い手が見つからない状況であったが、1861年、英国人アレクサンダー・バンカーが購入する。
バンカー死去の翌年、1874年6月、そのコレクションがクリスティーズのオークションにかけられ、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが本作を購入する。
アレクサンダー・バンカー(1797頃-1873)のコレクション。
1874年のオークションで購入したもので13点、それ以外も含め計19点ほどがロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵となっている。
本作のほか、ボッティチェリ《ヴィーナスとマルス》、フィリッポ・リッピ、カルロ・クリヴェッリ4点、コズメ・トゥーラ、ピントゥリッキオ、シニョレッリ2点、スキアヴォーネなど、すべてイタリア絵画である。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー購入前の過度な修復により状態がよくないため、本作は未完成と考える説もある。
3年にわたる修復作業が2022年に完了。現在は、新たな額縁にて新たな姿を見せているらしい。