2023年2月10日、アムステルダム国立美術館にて、「史上最大規模」(Never before have so many Vermeers been brought together)のフェルメール展が開幕した。
VERMEER
2023年2月10日〜6月4日
アムステルダム国立美術館
フェルメール出品数は、なんと28点!
28点すべてが通期展示とは思えず、一部は期間限定展示と想像するが、たいへんな出品数である。
そのなかで、日本から、国立西洋美術館寄託の《聖プラクセディス》が出品されていることは驚き。
しかし、一番の驚きは、ニューヨークのフリック・コレクションの「門外不出」のフェルメール3点すべてが出品されること。
大規模な改築工事のため閉館中(現在は一時的な移転先で作品公開中)であることが関係するのだろうか。
【追記】2/12、早くも会期全日程のチケット完売らしい。
以下、フェルメールの現存作品(真贋グレーを含んで、37点)の所蔵者と、その所蔵点数・本展出品点数、非出品作品を記す。
【オランダ】
アムステルダム国立美術館
所蔵4点中4点出品
マウリッツハイス美術館
所蔵3点中3点出品
【イギリス】
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
所蔵2点中2点出品
ケンウッドハウス
所蔵1点 出品なし
非出品:《ギターを弾く女》 ★
バッキンガム宮廷王室コレクション
所蔵1点 出品なし
非出品:《音楽の稽古》 ★
【スコットランド】
スコットランド国立美術館
所蔵1点中1点出品
【アイルランド】
アイルランド国立美術館
所蔵1点中1点出品
【ドイツ】
ベルリン国立美術館
所蔵2点中2点出品
ドレスデン絵画館
所蔵2点中2点出品
シュテーデル美術館
所蔵1点中1点出品
アントン・ウルリッヒ公爵美術館
所蔵1点中 出品なし
非出品:《ワイングラスを持つ娘》
【フランス】
ルーヴル美術館
所蔵2点中1点出品
非出品:《天文学者》
【オーストリア】
ウィーン美術史美術館
【アメリカ】
メトロポリタン美術館
所蔵5点中2点出品
非出品:《眠る女》★
《少女》★
《水差しを持つ女》
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
所蔵4点中4点出品
フリック・コレクション、NY
所蔵3点中3点出品
ライデン・コレクション、NY
所蔵1点中1点出品
イザベラ・ステュアート・ガードナー美術館
所蔵1点(1990年盗難)
《合奏》★
【日本】
個人蔵(国立西洋美術館寄託)
所蔵1点中1点出品
【合計】
9か国19所蔵者、37点中28点出品
出品されない作品の理由を想像するのもおもしろい。
以下、2023年のフェルメール展の出品作28点。
《手紙を書く女》
1664-67年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《ヴァージナルの前に座る女》
1670–72年頃、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
《ヴァージナルの前に立つ女》★
1670–72年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
《信仰の寓意》
1670–74年、メトロポリタン美術館
《マリアとマルタの家にいるキリスト》
1654–55年、スコットランド国立美術館
《ディアナとニンフたち》
1655–56年、マウリッツハウス美術館
《中断された音楽の稽古》★
1659–61年頃、フリック・コレクション
《窓辺で手紙を読む女》
1657-58年、ドレスデン絵画館
《フルートを持つ女》★
1664–67年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《真珠の耳飾りの少女》
1664–67年、マウリッツハウス美術館
✳︎展示は、3/30まで。
《赤い帽子の女》
1664–67年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《婦人と召使い》★
1665–67年頃、フリック・コレクション
《士官と笑う娘》★
1657-58年、フリック・コレクション
《聖プラクセディス》
1655年、国立西洋美術館(寄託)
《地理学者》
1669年、シュテーデル美術館
《紳士とワインを飲む女》
1659-61年頃、ベルリン絵画館
《レースを編む女》
1666–68年、ルーヴル美術館
《恋文》
1669-70年、アムステルダム国立美術館
《牛乳を注ぐ女》
1658-59年、アムステルダム国立美術館
《取り持ち女》
1656年、ドレスデン絵画館
《デルフトの眺望》★
1660-61年、マウリッツハウス美術館
《小路》
1658-59年、アムステルダム国立美術館
《天秤を持つ女》
1662–64年頃、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《手紙を読む女》
1662-64年、アムステルダム国立美術館
《真珠の首飾りの女》
1662-64年頃、ベルリン国立美術館
《手紙を書く女と召使い》
1670–72年、アイルランド国立美術館
《ヴァージナルに座る若い女》
1670‐72年、ライデン・コレクション、NY
《リュートを持つ若い女》
1662–64年、メトロポリタン美術館
★印は、来日歴のない作品を示す。
(こうして見ると、今後の新規来日の余地はほぼない。)
出品点数を競うというのは、どの画家の回顧展でもあることなのかもしれないが、フェルメールはその傾向が極端な感がある。