江戸絵画の華
第1部 若冲と江戸絵画
2023年1月7日〜2月12日
出光美術館
出光美術館は、アメリカの日本美術コレクター、エツコ&ジョー・プライス夫妻(プライス財団)のコレクションの一部、約190件を2019年に購入した。
本展は、そのうち80数件を2部にわけて紹介する。
当初は、購入の翌年、2020年9〜12月に予定されていた御披露目展は、開催中止となっていた。
コロナ禍下、出光美術館は、2020年3月2日より臨時休館となり、2020年度はずっと休館した。
2021年度は、オンラインによる日時指定予約制を導入のうえ、2021年4月13日から1年1ヶ月ぶりに開館するが、僅か2週間後の4月26日から再び休館となり、2021年度はそのままずっと休館。
2022年度は、2022年4月23日に1年ぶりに開館して以降、予定どおり展覧会が開催されてきているところ。
プライス・コレクションといえば、2006年の東京国立博物館「プライスコレクション「若冲と江戸絵画」」展に行った(何を見たかはすっかり忘れている)。
入場者数は317千人で、一日あたり入場者数は、同年の第1位となる6.4千人と、人気の展覧会であった。
2006年の展覧会も、今回の展覧会の第1部も、題名が「若冲と江戸絵画」だということは、プライス・コレクションの特徴を表すにはこの言葉以外には考えられないということなのだろう。
本展は人気があるようで、第1部の会期終盤になって行こうと思って予約サイトをのぞくと、週末は完売状態。
かろうじて最終週の平日午後を確保する。
第1部は、43点の出品。
【第1部の構成】
1 生きものの楽園 - ようこそ、プライス・コレクションの世界へ
2 若冲の墨戯 - 絵筆による冒険
3 浮世と物語 - 躍動をかたちに
個人的には、やはり若冲を楽しむ。
若冲は10点の出品。
《鳥獣花木図屏風》六曲一双
明快な鮮やかさの色彩の世界、右隻に動物たち、左隻に鳥類たちが、枡目描きの画面いっぱいに広がる、まさしく「生きものの楽園」。
枡目描きの発想は、西陣織などの織物の図案から持ってきたのではないか、とのこと。
《鶴図押絵貼屏風》六曲一双
12図の鶴たちの楕円のかたち。かたちを造る墨線。その多様さが見事。
他には、《鯰・双鶏図》《寿老・蜃気楼・梅に鳩図》《黄檗山萬福寺境内図》《松に鷹図》《鶏図》《鯉魚図》《竹梅双鶴図》《群鶴図》。
《黄檗山萬福寺境内図》の岩の描写、面積的には右下隅の少ないスペースなのに、この流動感。
《群鶴図》の鶴の足、なぜこの本数になったのか。
若冲以外の作品では、谷鵬《虎図》の虎のコミカルぶりが印象的。
江戸絵画の虎は、どこまでコミカルに描ききったのか、が鑑賞ポイントになる感。
本展の第2部「京都画壇と江戸琳派」は、2023年2月21日~3月26日の開催。
円山応挙、酒井抱一、鈴木其一を中心に、42点の出品予定。