東京でカラヴァッジョ 日記

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ゴッホ《コウモリ》《鳥の巣》- 【その4】「ゴッホと静物画」(SOMPO美術館)

2023年11月19日 | 展覧会(西洋美術)
ゴッホと静物画 - 伝統から革新へ -
2023年10月17日〜2024年1月21日
SOMPO美術館
 
 
意外な作品。
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《コウモリ》
1884年10〜11月、41.5×79cm
ファン・ゴッホ美術館
 
 「コウモリ」の剥製。だから、静物画。
 「フルーツコウモリ」と呼ばれる「オオコウモリ」の一種だという。
 
 ヌエメン時代の制作。
 
 当時ゴッホは、もちろん弟テオからの支援をあてにしているが、自分でも収入を得ようと絵の弟子を募る。応じた一人が、ゴッホより30歳ほど年上で、金細工職人として成功し裕福なアントン・ヘルマンス。
 ゴッホは、静物画を教えるほか、彼の邸宅の食堂の装飾画のための油彩スケッチを提供したようである。テーマは、ゴッホの提案により四季を表す農場風景となる。
 「コウモリ」の剥製はヘルマンスから借りたようだ。ゴッホは、剥製以外にも、壺などの骨董品を借りて静物画を描いていたようである。
 
 本作は、ゴッホ美術館のサイトによると、どうやら初来日であるらしい。
 
 
 
2点並ぶとより楽しい。
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《鳥の巣》
1885年9月下旬〜10月上旬、33.5×50.5cm
クレラー=ミュラー美術館
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《鳥の巣のある静物》
1885年、42.4×57cm
ハーグ美術館
 
 ヌエメン時代、ゴッホは、1885年9月下旬〜10月上旬にかけて鳥の巣を描いた作品を5点制作する。うち2点が出品される。
 
 この頃のゴッホは、少なくとも30種類の鳥の巣をコレクションしていた。何年もかけて自ら散歩の時に集めたほか、近所の子供たちにお駄賃と引き換えに集めさせていたらしい。
 
 光の反射も加わって、距離・角度によっては見づらい(撮影しづらい)が、なかなかおもしろい。
 
 1885年10月4日のテオあて手紙で、次のように述べている。
 
 いまは鳥の巣の静物画をさかんに描いている。四枚ほど仕上げた。自然をよく観察している人なら、この苔や枯葉や草や粘土などの色合いからこれらの絵を好きになってくれるかもしれない。
 
 
【参考:他の3点(展示作品ではない)】
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《鳥の巣》
1885年9月〜10月、31.3×43.2cm
ファン・ゴッホ美術館
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《鳥の巣》
1885年9月〜10月、39.3×46.5cm
ファン・ゴッホ美術館
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《鳥の巣》
1885年9月〜10月、33.3×43.3cm
クレラー=ミュラー美術館
 
 
 《鳥の巣》5点すべてがオランダに所在している。


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