東京でカラヴァッジョ 日記

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【画像】ドラクロワ、ピサロ、モンティセリ、マネ、ゴーギャン、イスラエルス - 【その3】「ゴッホと静物画」(SOMPO美術館)

2023年11月17日 | 展覧会(西洋美術)
ゴッホと静物画 - 伝統から革新へ -
2023年10月17日〜2024年1月21日
SOMPO美術館
 
 
 17世紀から20世紀の静物画の流れのなかで、ゴッホを位置付けようとする展覧会を再訪する。
 
 休日の午前。
 朝一番の10:00〜10:30枠は売切で、10:30〜11:30枠を事前予約する。
 10:00過ぎに到着し、入館待ち列に並ぶ。目の前で当日券購入の方々が待つことなく次々と入館していく。事前予約制ではこういうことがある、と悔しく?思っていると、当日券購入者が途絶えた10:20頃に入館させてもらえる。
 最初のフロアは後回しとし、2番目・3番目のフロアを先に見ることで、結構スムーズな鑑賞となる。
 
 本展は、ゴッホの静物画25点が出品される。
 加えて、17世紀オランダの静物画や、ゴッホと同時代前後の画家の静物画等44点が出品され、ゴッホと並べて展示している。
 
 以下、ゴッホと同時代前後の画家の静物画等のうち、撮影可能作品から7選。
 
 
ウジェーヌ・ドラクロワ
《花瓶の花》
1833年、57.7×48.8cm
スコットランド・ナショナル・ギャラリー
 ゴッホは、早くからドラクロワの存在を知っていたようだ。オランダにいた頃から、たびたびドラクロワについて語っている。特に感銘を受けていたのは、ドラクロワが持つ色彩の表現力であったらしい。
 
 
 
カミーユ・ピサロ
《丸太作りの植木鉢と花》
1876年、82×65cm
松岡美術館
 ゴッホはピサロの教えを受けた画家のひとりであったらしい。
 また、画商である弟テオもピサロと交流があった。ゴッホの療養先としてガシェ医師をテオに紹介したのはピサロであったらしい。
✳︎ピサロの1300点以上の作品のうち、静物画は約20点、うち花の静物画は14点とされているとのことで、本作は貴重な存在。
 
 
 
アドルフ=ジョセフ・モンティセリ
《花瓶の花》
1875年頃、52.5×33.5cm
クレラー=ミュラー美術館
 南仏マルセイユ出身の画家モンティセリ。ゴッホは、パリに出てきて間もなくモンティセリ作品と出会い、心酔する。
 ゴッホは、技法の点で多くをモンティセリに負っており、パリ時代の花の静物画には、暗い背景に鮮やかな色の花、厚塗りの絵の具など、モンティセリとの共通点が見出される。とりわけ高く評価していたのがその色彩であったらしい。
 ゴッホは、ロンドンの《黄色い背景のひまわり》の制作にあたり、モンティセリを意識していたものと考えられるとのこと。
✳︎モンティセリは、ゴッホとの関連でしかその名前を聞かない印象。
 
 
 
エドゥアール・マネ
《白いシャクヤクとその他の花のある静物》
1880年頃、26.5×35.5cm
ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館
 ゴッホは、オランダにいた頃から、マネを「巧み」な画家、その作品は「非常に独創的」と高く評価していたという。
 アルルで「明色のうえに明色を重ね」た作品を試みていたとき、印象派や新印象派のような細かい筆触ではなく、マネのような「簡潔な技法」で、同系色を重ねた作品を描こうと考えていた。こうして描かれたのが「黄色い背景の黄色いひまわり」だという。
 
 
 
ポール・ゴーギャン
《ばらと彫像のある静物》
1889年、73.2×54.5cm
ランス美術館
 アルルでのゴッホとの共同生活が破綻した約1年後、1889年の秋、ブルターニュ地方の小村ル・プルデュで制作した作品。
 
✳︎ゴーギャンは、ゴッホあて1889年1月付けの書簡において、「黄色い背景のひまわり」を高く評価し、アルルに残した自分の作品と交換に「黄色い背景のひまわり」を所望している。
 アルルでの共同生活中から言っていたのだろう。ゴッホは、代わりにSOMPO美術館所蔵作品を含む「ひまわり」3点を再制作したようである。しかし、ゴーギャンに渡ることはなかった。
 
 
 
ポール・ゴーギャン
《花束》
1897年、73×93cm
マルモッタン・モネ美術館
 2度目のタヒチ滞在時、滞在開始して2年後の制作。
✳︎本作の状態はあまりよくないように見える。
 
 
 
イサーク・イスラエルス
《「ひまわり」の横で本を読む女性》
1915〜20年、60.6×40.6cm
ファン・ゴッホ美術館
 イサーク・イスラエルスは、ハーグ派を代表する画家ヨーゼフ・イスラエルスの息子。
 イサークは、ゴッホの弟テオの未亡人ヨハンナと親交を結んでおり、ヨハンナからゴッホ《ひまわり》を借り受け、自作に描きこんだ。
 本作に描き込まれたのは、ロンドンの《ひまわり》とされている。白木の額はゴッホが《ひまわり》の額に指定したもので、本作制作当時もそのまま使われていたようである。
 本作以外にも、ゴッホの《ひまわり》を描きこんだ作品を制作している。
 
 
 
そして、本展の目玉作品。
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《ひまわり》
1888年11〜12月、100.5×76.5cm
SOMPO美術館
 
 
フィンセント・ファン・ゴッホ
《アイリス》
1890年5月、92.7×73.9cm
ファン・ゴッホ美術館
 
 
参照:「ゴッホと静物画」展図録


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