東京でカラヴァッジョ 日記

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鏑木清方の「幻の幽霊画」を観る。 ー 三遊亭圓朝コレクション・幽霊画展 2017(台東区谷中・全生庵)

2017年08月20日 | 展覧会(日本美術)
三遊亭圓朝コレクション・幽霊画展
台東区谷中・全生庵
✳︎「94年振り  幻の幽霊画  公開」は、11日〜31日
 
 
   毎年8月の1ヶ月間開催される全生庵の三遊亭圓朝コレクション・幽霊画展に行く。
   2年ぶり7回目の訪問となる。
 
 
   お目当ては、鏑木清方(かぶらき  きよかた)の「幻の幽霊画」。94年ぶりに発見!という作品である。
 
 
   ネットのニュースで知って訪問を考えていたところ、朝日新聞8/14夕刊の一面にも掲載されてしまった(そのコピーは全生庵でも配布)ことから、混雑覚悟で訪問する。
 
 
 
   2015年に東藝大美術館にて、全生庵の三遊亭圓朝コレクションを中心とする「うらめしや〜、冥途のみやげ」展が開催された。
 
 
【拙ブログの記事から】
 
    第一会場の最後に、絵葉書7枚が展示されている。明治39年(1906年)、圓朝の7回忌を記念して幽霊画百点余が全生庵で展示された折に作成された《圓朝追福七怪奇絵葉書》である。7枚中3枚は現在の圓朝コレクションに含まれるが、4枚はいずれかの時点で散逸した。絵葉書に選ばれるのだから、コレクションの中の優品であったに違いなく、(省略)その4枚も見たいものである。
 
 
 
   4枚とは、次の4人の画家の「幽霊図」。

鏑木清方(1878〜1972)

久保田米僊(1852〜1906)

石井滴水(生没年不詳)

狩野素川章信(1765〜1826)

 
 
   で、鏑木清方の「幽霊画」が姿を現した。
   鏑木清方は、作品《三遊亭圓朝像》(1930年、東近美蔵)が重要文化財に指定されているなど、圓朝と縁のある画家のようである。
 
 
 
 
   以下、現所有者の加島美術のプレスリリースおよび東京新聞記事を参照。
 
 
    関東大震災(1923年)で焼失したと思われていた作品。
(←だから94年ぶりなのか。つまり、首都圏にて94年間巨大地震が起きていないということか・・・)
 
    圓朝が収集した多数の幽霊画は、圓朝の没後、遺品管理を託された支援者の藤浦家が引き継いだ。藤浦家は関東大震災前に、圓朝の菩提寺の全生庵に幽霊画約五十幅を寄贈したが、その中に含まれていなかったことから、焼失したと考えられていた。
 
    関東在住の浮世絵コレクターから今年6月に加島美術が購入。
 
    盃台に蓋付き茶碗をのせて茶を献上する美しい女性が描かれている。
(←といいつつ、女性は深く頭を下げているため、顔は見えない。)
 
    安村敏信氏が確認・調査。署名や印章、表具部分の特徴などから、圓朝コレクションの一つであり、画家26〜27歳頃の作品と判断。
   タイトルは不明だが、安村氏が公開に合わせて「茶を献ずるお菊さん」と名付けた。
(←つまり、お菊でない可能性もあるということか。)
 
   表具部分は、女性の着物地が使われている。圓朝コレクションの中には、同じ表具のあしらいをされている作品がある。
(←確かに、1点、別画家による同じ表具仕立ての幽霊画が展示されている。他のお客さんの会話で気づく。)
 
 
 
 
2017年(私の訪問日)の状況。
 
 
   圓朝コレクションが27幅(鏑木清方作品を含む)、柳や小さん師匠寄贈の伊藤晴雨の幽霊画が6幅の計33幅の展示。
 
   恐れていたほどの人出ではなく、鏑木清方作品を除けば、作品を独占できるチャンスもある。
 
   2017年のお気に入りは、やっぱり鏑木清方《幽霊図(茶を献ずるお菊さん)》とさせていただく。円山応挙《幽霊図》と三遊亭圓朝《髑髏図自画賛》を両横にする一等地に展示されている。
 
 
 
   絵葉書になった他の、行方不明中の「幽霊画」3幅もいつか姿を現わしてくれるのだろうか?
 


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