奇蹟の芸術都市 バルセロナ展
2020年2月8日〜4月5日
東京ステーションギャラリー
カステーニャ公国の確立、スペイン統一と新大陸の発見、スペイン承継戦争と城砦の建設、産業革命、都市計画の発表、バルセロナ万博、スペイン内戦。
長崎、姫路、札幌、静岡と巡回し、東京にやってきたバルセロナ展は、1859年の都市計画の発表から1889年のバルセロナ万博を経て1936〜39年のスペイン内戦までの約80年間のバルセロナ芸術を取り扱う。
初めて名を聞く芸術家がほとんどだろうなあ、そのなかで一つでも心に残る出会いがあればいいなあ、と思いつつの訪問。
〈本展の構成〉
1章 都市の拡張とバルセロナ万博
2章 コスモポリタンの光と影
3章 パリへの憧憬とムダルニズマ
4章 「四匹の猫」
5章 ノウサンティズマ-地中海へのまなざし
6章 前衛美術の勃興、そして内戦へ
「バルセロナの凱旋門」
1889年のバルセロナ万博の際に会場となる公園への入場門として作られたもの。戦勝等々歴史的な意味合いはない。ネオムデハル様式、総レンガ造り。高さ約30m。現存。
ネオムデハル様式の建築物は、確かにスペイン独特で初めて接すると相当にインパクトがあるなあという印象。
「不和の街区」
ガウディのバッリョー邸
プッチのアマッリェー邸
ドゥメナクのリェオー・ムレラ邸
バルセロナ・アシャンプラのグラシア通り。20世紀初頭に当時の建築家3巨匠が既存の建物を改修。建築家それぞれ独自性を発揮、お互いに異質な建物3棟が隣り合わせで並ぶ様は確かに「不和」。
ミケル・ウトリリョ
《シュザンヌ・ヴァラドン》
1891年、カウ・ファラット美術館
シュザンヌ・ヴァラドン(1865〜1938)は、モーリス・ユトリロの母。
彼女は、母子家庭に生まれ、4歳でパリに移り、サーカスの曲芸師を目指すも空中ブランコに失敗し怪我を負い退団、それを機に画家のモデルを務めるようになり、ルノワールやロートレックなど巨匠たちのミューズとなり、自らも絵を描き始める。ドガに指導を受けるなど研鑽し、やがて認められるようになり、その作品は国家買上げとなるなど、画家として成功を収める。
父親が誰か分からないとされるユトリロを7歳のときに自分の息子として認知したのが、バルセロナ出身の美術家・美術評論家ミケル・ウトリリョである。ユトリロはウトリリョ(Utrillo)から来ている。本作はその翌年頃にヴァラドンを描いたスケッチ。本展には、ウトリリョをモデルニスモの画家ムシニョルが描いた大型油彩画《ムーラン・ド・ラ・ギャレットでのミケル・ウトリリョ》1890-91年、も展示される。
以上、私的3選。
本展は解説が頑張っているなあとの印象。あと、会場の手狭感強い。