東京でカラヴァッジョ 日記

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平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち(東京国立博物館)

2016年09月19日 | 展覧会(日本美術)

平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち
2016年9月13日~12月11日
東京国立博物館 本館特別5室

 

   滋賀県甲賀市の「櫟野寺」の平安仏像ワールドを堪能する。

 

   滋賀県南部に位置する甲賀市は、忍者の里、信楽焼で有名である。
   昨年初訪問したMIHO MUSEUMの所在地は甲賀市だった。
   そして、甲賀市は仏像でも知られる地域であるらしい。

 

   今回、櫟野寺(「らくやじ」と読む)に伝わる平安時代の重要文化財の仏像20体すべてが東京にお出ましに。しかも3ヶ月のロングラン。
   櫟野寺の本堂・宝物殿の改修(2016年6月〜18年10月)があって実現したようだ。

 

 

   入場すると、いきなり真正面に巨大な仏像がドカンと、展示室のど真ん中に座っている。


   像高3.12m、台座・光背を含めると約5.3mという大きさ。

   この大きさは、国立新美術館にいらっしゃるヴェネツィアのサン・サルヴァドール聖堂の祭壇画、ティツィアーノ《受胎告知》を上回る。

   櫟野寺の本尊、重文《十一面観音菩薩坐像》平安時代・10世紀、である。

   普段は大きく重い扉に閉ざされている秘仏。かつては33年に一度の開扉だったが、今は年数回の特別公開が行われているらしい。

 

 

   大きな仏像の周りを囲むように、壁に沿って19体の仏像が並ぶ。
   すべてが平安時代の仏像、重要文化財の仏像である。

   大きな仏像の真後ろには、像高2.2mの大作、「甲賀三大仏」の一つ、重文《薬師如来坐像》平安時代・12世紀、がいらっしゃるが、約5.3mの真後ろだと、普通の大きさにしか感じない。

 

 

   20体の仏像は、すべて平安時代の作であるが、制作時期により2つのグループに分けられるという。


   第1グループは、10世紀から11世紀前半の作。

   その特徴は、

・下ぶくれの顔
・目尻を吊り上げた、細く厳しい目
・なで肩で、細身で長身の体つき
・太い鼻、厚い唇


   第2グループは、11世紀後半から12世紀の作。

   第1グループとの違いは、

・穏やか、優しい表情(目尻が吊り上がっていないと理解)
・やや鄙びた表現(そう言われても、見て明らかではない)

 


   そうなのかと、まずは、目尻が吊り上がっているか否かで、第1グループか第2グループかを予想する。
   キャプションを見る。
   なんと100%正解。
   専門家は、どうやら目だけで仏像の制作年代を決めているようだ、と疑念を抱く。


   下ぶくれの顔はほぼ共通。
   なで肩や細身は多少ブレがあるなあ。

 

 

   そんな感じで、仏像20体の顔や体つきの違いをもっぱら眺める楽しい1時間強となる。

 


櫟野寺の本尊、秘仏
「重要文化財の十一面観音菩薩坐像では日本最大」約5.3mの大きさ

重文《十一面観音菩薩坐像》
平安時代・10世紀

 


像高2.2mの大作
「甲賀三大仏」の一つ
重文《薬師如来坐像》
平安時代・12世紀

 

 

目尻を吊り上げた険しい表情
なで肩で、細身で長身の体つき
第1グループの特徴に一番合致
重文《観音菩薩立像》
平安時代・10〜11世紀

 


平安重文仏像のお顔20



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