バルテュス最後の写真-密室の対話
2014年6月7日~9月7日
三菱一号館美術館
バルテュス展
2014年4月19日~6月22日
東京都美術館
東京都美のバルテュス展も、この週末で終了ということで、バルテュス展巡りを敢行した。
まずは、三菱一号館美へ。
広いとは言えない展示室1室に、約150点のポラロイド写真。
私の滞在した時間帯は、前回と同様、結構な頻度で新たな観客が入室するが、短時間退出の人も多く、平均すると展示室には4~5人(+監視員1人)。一時、10人近くになったが、そのときは窮屈さを感じる。
ガラスケース展示が4台、壁面展示が3箇所。1台(箇所)に2人同時の鑑賞は実質困難なので、邪魔にならぬよう、適宜空いている台(箇所)に移動しながらの鑑賞。
休憩室に書籍『room17』の見本。
20世紀最後の巨匠バルテュスが晩年、鉛筆をカメラに持ちかえて“デッサン”したポラロイド写真。
「最後の習作」と呼ばれる2,000枚の写真群の中から珠玉の作品を厳選し、一対をなす蛇腹式の作品集に収録しました。
日本文化をこよなく愛したバルテュスへのオマージュともいえる屏風型の折り本は、お部屋に飾ってお楽しみいただけるファン待望のコレクターズアイテムです。
タイトルの「room17」とは、バルテュスが8年間にわたってモデルの少女を撮影した、スイスの邸宅グランシャレーの部屋の名前にちなんでいます。
収録品数は、絞りに絞られている。厳選中の厳選。
なお、書籍見本を置く机に椅子が2脚。前回もあったかな?
展示作品の印象は「きれい」。
モデルの少女アンナ・ワーリーは、三大作に取り組むバルテュスのため、8歳~16歳の8年間、毎週水曜日の午後、アトリエに通ったという。
本展は、バルテュス展京都会場の会期終了日である9月7日まで開催。
次に、東京都美へ。
さすが会期末、チケット売り場に列ができ、会場内もたいへんな人。
列につかず、狙いの作品の前の人だかりの後方に立つ。そのうち隙間ができて、充分な鑑賞が可能となる。
そういう鑑賞が可能ということは、作品の大きさも寄与しているが、実はそれほどの混雑ではないのかも。
一番時間をかけたのは、本展の目玉2点。
≪夢見るテレーズ≫
少女は両手を頭に乗せている。その膝の完璧なモデリングとハイライトと陰影。
≪美しい日々≫
手鏡を見ている少女は、右手をまっすぐ伸ばして下げ、片膝を立て、すらりと長い脚を伸ばしている。
あと、2点の風景画、≪夢見るテレーズ≫の対面に展示の、前回はスルーしていた作品に今回は惹かれた。
≪崖≫
≪牛のいる風景≫
バルテュスには、決して題材ゆえにではなく、その技術ゆえに惹かれるものがある。
本展は日本で期待できる最高レベルの回顧展なのだろう。
本展をきっかけに、さらにいろいろな作品を鑑賞し、バルテュスの世界に親しんでいくことができるような環境にいるのならいいのだが。