赤い橋の下のぬるい水 辺見 庸
閉館図書館のリサイクル会でもらってきた。
1992年だからだいぶ古い作品で、表題作を含めての3作品。
表題の「赤い橋の・・・」はファンタジーともとれる不思議な世界。全編ほとんどあの事なのに、あまりエロティックな感じがせず、夢の中の世界のような話だ。嫌いではない。しかしなぜか、主人公の男性のイメージがどうしてもお笑いのオズワルドの伊藤で、(女性は思い浮かばなかった)そのイメージのまま読み進んだ。嫌いではない。
しかし読後、これが映画化されていたことにびっくり。配役は役所広司、清水美沙、監督は今村昌平!(うなぎ、か?)イメージ違いすぎ。これは見るべきでないし、見てなくてよかった(笑)
2話目「ナイト・キャラバン」は旅日記としては面白いが、特に盛り上がりもオチもなかったな(;'∀')
3話目 ミュージック・ワイア これが一番面白かった。片づけられない一家と、どこからともなくあらわれた片づけの救世主、三上さん。綺麗になっていく家の描写とともに、どことなく不穏な空気が漂い、きっとハッピーエンドでは終わらず何かが起こるのでは、とページをめくるのがドキドキした。ちょっとブラックでゾゾッとする、いやミスちっくな終わり。この1篇で満足度があがった。
辺見 庸さんといえば「もの食う人々」。これは今までで一番感銘を受けたといっても過言ではない、私にとってバイブルのような作品だ。なので、ジャーナリストとしてのノンフィクション作家なのかと思っていたたら、こういう不思議な小説を書く人でもあったのだ。
これはこれで面白い。
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