気づくのが遅すぎて 酒井順子
週刊誌に連載していたコラムを集めた本。
2015年発行なので、話題が若干古いが、順子節相変わらず。やっぱりこの人すごいな。この着眼点と、この表現力。ふつーに思ったことをさらーっと簡単にそのまま書いているように見えるけど、それは非常に難しいこと。いざ書けといわれたらこの10分の一も表現できないだろう。
そしてやっぱり、この人はソフトフェミニスト。
一番心に残ったのが結婚して苗字を女性が変えることについてのコラム。
男性に結婚するから苗字を変えなさい、といったら「嫌だ」と思う人は多いと思うが、女性は「だって女なら苗字を変えることはうれしいことでしょう?」ということにどうしてなるのか?こういうことにそろそろ気づけよ、と。女性の人権がーとか声高に言わずに、こうやって書いてもらえればそうだよ、と納得できるんじゃないかしら。というか、この時点でここまで話題になっているのに2021年現在、結局選択的夫婦別姓は最高裁で否決されている。全く進歩のない国だよ日本は。
ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾
あまりに有名すぎて、ちゃんと読んだことなかった東野作品。軽い気持ちで図書館で借りて、気づいたら返却日が明日。間に合わないだろうな・・・と思ったら、1日で読み終わってしまった(笑)というくらい面白くてあっという間に読み進んだ本だった。
過去と未来を行き来しつつ、悩み相談をする何人かの登場人物の人生の物語だが、登場人物が多いわりにはこんがらがらずわかりやすいところがいい。そして、ご都合主義と言われようと、全ての登場人物と養護施設がつながっていくところは素直に感動できた。最後の白紙のエピソードは、やられた!という感じだった。ただ、どうして自分の33回忌に相談室を復活させようと思ったのか、もし3人組が雑貨店に来なければ、だれが質問の回答をしたのか、といった疑問が残った。急いて読んで返してしまったので確認できないが、もう一度読めば答えがわかるだろうか。
いきなり出てきたのが廃墟の雑貨屋だったり、途中で夜逃げ一家がでてきたり、と廃墟ブームの私にちょうどハマったのもあったが、東野作品、どうして人気があるのかわかった気がする。ほかの本も読んでみよう。
この作品が世に出たのは2012年。東日本大震災の翌年だ。もしコロナ禍の今、悩み相談に三人組が答えるとしたらどのような回答になるのだろうか?
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