過去の読書記録より。
罪の声 塩田武士 著
グリコ・森永事件をモチーフにした物語で、どこまでが事実?という迫真に迫った内容だった。
しかし、実際の事件については私は「かい人21面相」だとか、毒入りののお菓子が店頭に置かれていたことぐらいしか知らず、脅迫電話の声が子どもの声だったというのは知らなかった。本の前半は登場人物が多すぎて誰がだれだかよくわからず読みにくかったが、後半事件の展開がわかるにつれてぐいぐい引き込まれた。
事件の声に使われた3人の子どもたちのその後の人生のあまりの違いに慄然とさせられる。子どもには罪はないのに、この事件にかかわったがゆえに一家で不幸を背負うことになってしまうとは、人生は本当に不公平だ。そしてこれだけ世間を騒がせた事件なのに結局迷宮入りというのはものすごく不気味なものを感じる。
その後、Youtubeで実際の脅迫電話のテープを聞いて背筋がぞっとした。当時、この音声は公開されていた、とのことだったが、ネットもSNSもない時代、これを実際に聞くことは難しかっただろう。
この子どもたちは今、どこでどうしているだろうか?
彼女は頭が悪いから 姫野カオルコ 著
いやーこんなに胸糞わるい本を読んだのは久々だったよ。 「東大」なだけで天下を取ったような、頭はいいが中身はクズな野郎たちとその親たち。人の気持ちがわからない、人間として最低な奴ら。それをいちいち小ばかにしたような形容詞をつけて表現する書き方はきっと狙っているのだろう。本当にイライラしてきて胸糞悪いのに、読み進んでしまうのだ。
確かに、日本一爽やかでない青春小説だ。一つ言えるのが、これは東大だけでなく、慶応や早稲田でも絶対あると思う。しかし、これほど人の心がわからない人間が育つものなのか。本当に「頭がいい」って何だろう?
しかし私の周りには幸い、そんな「東大野郎」はいなかった。よかった。
また、桜の国で 須賀しのぶ 著
ポーランド関係の本、ということでいつか読もうと思っていた。最初その分厚さに圧倒されたが、意外にも読みやすく、物語も面白く引き込まれ、最後まで読み切れた。 歴史では少ししかふれないポーランドの戦時中の内情が詳しくわかり、耳にしたことのある地名が出てきたりと親しみやすかった。
国を支配されたことのない日本からすると、自国がなくなったり分割されたりする国民の、国に対する意識の強さは並大抵ではないのだろう。ショパンの革命のエチュードを励みに、無謀な蜂起を企てるポーランド国民にその気持ちの強さを思った。
しかし、美しい男女が出てくるのに全く色気がないのはまあ、ある意味高校生向けか(笑)
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