日本公認会計士協会は、IAASBによる「拡張された外部報告(EER)に対する保証業務への国際保証業務基準3000(ISAE 3000)(改訂)の適用に関する規範性のないガイダンス」(原題:Non-Authoritative Guidance on Applying ISAE 3000 (Revised) to Extended External Reporting (EER) Assurance Engagements)の翻訳版を公表しました。
(IAASBのプレスリリース:NEW IAASB GUIDANCE HELPS ADVANCE ASSURANCE FOR NON-FINANCIAL REPORTING)
IAASBプレスリリースより、IAASB会長のコメント。新しい報告領域に実務家が対応できるようにするものだそうです。具体的には、サステナビリティ報告基準制定に向けたグローバルな進展をモニターしていくと述べているので、サステナビリティ報告を対象とした保証業務を考えているのでしょう。
“The IAASB is not a newcomer to assurance of what is commonly referred to as non-financial information reporting. For years, we have been active in this area as the landscape has continued to evolve,” according to IAASB Chair Tom Seidenstein. “Together with ISAE 3000 (Revised) and ISAE 3410, Assurance Engagements on Greenhouse Gas Statements, this guidance forms a strong package that will help enhance confidence in assurance reports and improve their reliability, including enabling practitioners to respond to new reporting regimes. We will continue to closely monitor current global developments to establish a coherent set of sustainability reporting standards, and are prepared to act to enhance our standards, frameworks and guidance to support progress.”
ガイダンスの範囲は...
「国際保証業務基準3000(ISAE 3000)(改訂)「過去財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」(以下「ISAE 3000」という。)に準拠して、業務実施者があらゆる規模の企業の幅広い報告トピックスについて拡張された外部報告(以下「EER」という。)に対して保証業務を実施する際に、それを支援することを目指し実務的な規範性のないガイダンス(以下「本ガイダンス」という。)を提供するもの」(1項)とのことです。
拡張された外部報告(EER)とは...
「EERは、企業活動の財務的及び非財務的な結果に関する情報を提供する様々な形式の報告を包含している。またEERに、これらの事項に関連する未来志向の情報が含まれる場合もある。かかる情報(本書では以下「EER情報」という。)は、企業自体の資源及び関係性に対する企業活動の結果、又は経済、環境若しくは社会、或いはその両方の健全性向上に対する企業活動の結果、又は公共部門若しくは非営利団体のサービス実施の結果の場合もある。EER情報は、企業自体の活動にのみ関連した情報の範疇を超える場合もある。したがって、保証業務の前提条件が満たされているかどうかを判断する際には、関連するEER保証業務範囲を明確に定め、考慮する必要がある」(6項)
「EER情報は、企業又は組織によって発行される主要な定期報告書(例:年次報告書や統合報告書)又は規制当局への提出資料(米国証券取引委員会に対するForm10-Kや英国の戦略報告書等)の一項目として提出されることがある。また、EER情報は、サステナビリティ報告書、企業の社会的責任に関する記述、公共部門の業績報告書又はバリュー・フォー・マネー(VFM)報告書、温室効果ガス報告など、企業によって発行される個別報告書又は記述として提示されることもある。本書では、EER保証業務がEER報告書全体を対象としない場合、EER保証業務の対象となるEER報告書内のEER情報の部分を「EER主題情報」と言う。EER主題情報は、報告書全体よりも少ないことがあり、単一又は複数の指標、項目又は記述の場合がある。また、EER主題情報が企業のEER報告書全体であることもある。」(8項)
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