会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

上場子会社、社外取締役増員を 統治指針改定で有識者(日経より)

上場子会社、社外取締役増員を 統治指針改定で有識者

金融庁・東証のコーポレートガバナンス・コード改定に向けた有識者会議での議論を取り上げた記事。26日の会議では、上場子会社のガバナンスの問題が議論されたそうです。

「日本は親子上場が多く、東証に上場する企業の約3割が上場子会社など支配株主や主要株主を持つ企業だ。株式を30%以上保有する支配株主がいる上場企業の割合は米国や英国では1%未満であるのに対し、日本は10.7%と高い。

26日の議論では少数株主との間の利益相反を防ぐため、独立した社外取締役を取締役会の過半数とするよう求める意見が相次いだ。独立社外取締役の登用状況は、3分の1以上選任している企業が東証1部全体では4割を超えているが、上場子会社は15%にとどまっている。

有識者からは「社外人材の質を担保するために投資家と対話する機会を増やすべきだ」、「少数株主の利益の保護などを通じて企業価値を高めることで親会社の利益にもなる」といった意見が出た。「上場企業の支配的株主に対して少数株主に対する責任を明確に負わせるべきだ」との指摘も出た。」

日経記事では「親会社と子会社が共に上場する企業のあり方を議論した」とありますが、これは間違いで、親会社が上場していなくても、支配株主と少数株主の利益相反の問題は発生します。金融庁の資料を見ても、「支配株主やそれに準ずる主要株主のいる上場会社」を問題にしています(親会社が上場しているかどうかは関係ない)。

規制に関しては、どうせ経済界が反対するでしょうし、支配株主の判断次第でどうにでもなるという点は、いろいろ規制したところで変わらないでしょうから、例えば、支配株主がいる上場会社という市場区分を設けて、そういうリスクがある会社の株式だということを投資家に注意喚起すればよいのではないでしょうか。当然、プライム市場からも外すべきでしょう。

東証の研究会の報告書が昨年出ています。

当サイトの関連記事(「支配株主及び実質的な支配力を持つ株主を有する上場会社における少数株主保護の在り方等に関する中間整理」について)

当サイトの関連記事(アスクル社長と独立社外取締役の不再任に関する解説記事について)

金融庁の会議資料。

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第23回)議事次第

資料を見ると、この回のテーマとしては、「グループガバナンス/株式の保有構造等」と、「資本効率/経営資源の配分等」の2つがあったようです。

「(5) 本会合でご議論頂きたい事項

 上場子会社等の在り方については、以下のような指摘がある。

• 足下、グループ経営の在り方を検討する動きが出ていることなどを踏まえると、ガバナンス体制の強化等、上場子会社等の少数株主保護の在り方について更に検討を進めるべき

• その際には、上場子会社等としても、支配株主等が存在することにより、経営資源の投入や監督等によるメリットを享受できていることにも十分留意すべき

 また、グループガバナンスに関して、グループ経営の最適化という観点から、事業ポート
フォリオの見直しを含むグループ全体としての最適な経営資源の配分や、子会社のリスク管理が課題であるとの指摘がある。

 以上の視点を踏まえ、グループガバナンスを含めた株式の保有構造等に関する以下の諸課題についてどう考えるか。

上場子会社等における独立社外取締役の関与開示の在り方を含む支配株主からの少数株主保護の枠組みの在り方

• (特にグループ経営を行う上場会社の)取締役会が果たすべき役割や機能

• 政策保有株式の在り方

 その他、グループガバナンスや株式の保有構造等に関する課題として検討すべき論点はあるか。」(金融庁会議資料より)

支配株主がいるメリットがあるとわざわざ書いています。あまりやる気はなさそうです。

また、「開示の在り方」はどういう議論になるのでしょう。

上場子会社は社外取増員を 企業統治指針の改訂へ議論―金融庁会議(時事)
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